カテゴリー
材料

次世代型海外ジェルネイル

RadTech2018

RadTech2018という国際学会に参加してきました。

今年はシカゴで開催され、多くの光硬化に関する最新の技術について紹介がありました。

主にはコーティング分野、3Dプリント分野が目立ちましたが、いくつかジェルネイルに関する発表もあったので紹介したいと思います。

そもそも光硬化樹脂の用途とは

ジェルネイルも同じく光硬化性樹脂です。

光硬化性樹脂はそもそも何に使われていたかと言うと、コーティングの分野が最初かと思います。

例えばフローリングなどが普段目にする光硬化性樹脂です。

木材を着色等の加工したあと、傷をつけにくくするために光硬化性樹脂でコーティングすることがあります。

そこから派生して、展示会などで見られる光沢感のあるパネルなどはUVインクジェットインキと呼ばれる、光硬化性樹脂を利用した2Dプリンターがあります。

プリンターなのでカラーインキが使われており、カラーインキということで顔料を含んでおり、非常にジェルネイルに近いイメージです。

ただ粘度が全く違うので技術レベルはUVインクジェットインキの方が高そうですが、光源の強さなどもまたジェルネイルよりは強いので、固めるということにおいては有利かもしれません。

そして最新技術の一つが3Dプリンターです。

光硬化性樹脂の良いところを生かし、すぐに硬化させ、大きな硬化物を作ることができ、また原料の選定により柔らかいものから、硬いものまで様々なものを作ることができます。

顔料などを含めることもでき、色物もできますが、多色成形はようやく最近できるようになってきたようです。

海外のジェルネイル

海外のジェルネイルといえば、OPIやシェラックなどが有名です。

ジェルポリッシュと呼ばれる、刷毛付きキャップタイプのものが主流です。

細かなアートをするというよりは、短時間でワンカラーをすることが主流なためかと思います。

それでも柄をつけたいといった希望もあるようで、マグネットジェルなどができたのでしょうか。

RadTech2018でのジェルネイルの発表

今回は大学からの発表としてジェルネイルがありました。

テーマとしては天然物由来の成分をジェルネイルに使おうということでした。

欧米では天然物由来の成分を含めた製品はグリーンプラスチックなど、グリーンといった言葉を含められるそうです。

これがあるとないでは、売上が大きく異なるようです。

エコロジー先進国は凄いですね。

ジェルネイルの原料はアクリレートと呼ばれる石油原料由来の為、確かにエコロジーとは言えないかもしれません。

その一部をバイオ原料に変えることは環境負荷を減らす為の一つのアイデアといえるかもしれません。

一時日本でも、トウモロコシ原料等のバイオプラスチックなども話題になったかと思います。

そうした流れが既に欧米ではジェルネイルにも向き始めているということは驚くべきことであり、日本が本当にそうした分野では後進国であることを思い知らされました。

次世代型ジェルネイルとしてバイオ原料を利用したジェルネイル、私も研究してみたいと思います。

カテゴリー
ノンワイプトップ ミスミラージュ

ミス・ミラージュを調査!(続き)

Miss Mirageとは?(続き)

前回はカラージェルの組成について確認しました。

今回は引き続いてミス・ミラージュからトップジェルとマットトップジェルを見ていきたいと思います。

私の個人的な意見にはなりますが、ジェルネイルのラインナップの中で、最も性能差があるのはベースジェルですが、最も組成に差があるのはトップジェルと思っています。

カラージェルは最も差がないものの一つです。

(一番差がないのは、プレップやオフ剤等ですね)

なので、トップジェルを見ると、そのメーカーの設計思想などが見えてくるかもしれません。

ノンワイプトップジェル

引き続き個人的な意見が続いてしまうのですが、ノンワイプトップほどジェルネイルにおいて難しいものはないとも思っています。

ジェルネイルの基本的なお話にはなりますが、ジェルネイルはラジカル重合を利用して硬化させます。

ラジカル重合は酸素により阻害を受ける反応である為、通常表面に未重合層が残ってしまいます。

ベースジェルとか残ってしまいますよね。

それをなんとかしようと試みたのが、ノンワイプトップジェルです。

酸素による重合阻害よりも強力に固めることで、表面に未重合層が残らないというのが基本的な仕組みです。

そうすることのデメリットとしては、硬化した後の硬さが出てしまったり、硬化熱が高い、他にも黄ばむといったことが懸念されます。

アクリレート同士の反応ではカルボカチオンが使われますが、その時に基底状態で励起三重項状態の酸素と結びつき、アクリレート上に発生したカルボカチオンに酸素がついてしまい、オキシラジカルに変換されます。

このオキシラジカルは非常に反応性が低いので、実質上の反応停止となります。

ここでノンワイプトップジェルを考える為に、使われたのがチオールです。

このチオールは水素の引き抜きを受け、チイラジカルが発生します。

このチイラジカルは酸素との結合を生み出しにくい性質があるので、チイラジカルは酸素による阻害をほとんど受けず、アクリレートやビニルに付加重合していくことができます。

ほとんどのノンワイプトップジェルの匂いを嗅ぐと少し硫黄のような匂いがすると思います。

それがこのチオールです。

ミスミラージュのノンワイプトップジェルの全成分表示

ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アリファティックウレタンアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビフェニルスチルベン、紫401

ポリウレタンアクリレートオリゴマーは前回通りに、総称なので何も示してはいません、もちろんリストにも収載されていないのでアウトです。

アリファティックウレタンアクリレートも上記同様です。

イソボルニルメタクリレートは「メタクリル酸イソボルニル」と記載するのが正しいのでグレーです。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは365nmくらいの光重合開始剤です。

ビフェニルスチルベンは蛍光増白剤や増感剤と呼ばれるものですね、380nmくらいの光で電子を渡せるようになります。

紫401は開始剤等による黄みの消しです。

ミスミラージュのノンワイプトップジェルのまとめ

まず光重合開始剤が405nmに対応していないので、これだけの組成では固まるのだろうかと疑問です。固まらないのではないかと思います。

あとはこの配合ではノンワイプトップジェルはできないのではないかと思います。

というのも上記の通り、これだけの組成では酸素阻害に負けてしまい、未重合層が残るような気がします。

あまりにも表示名称がいい加減すぎて再現できないので確認はできないのですが…。

加えて、私は製品を持っていないので確認できないのですが、匂いに少しでも硫黄のような香りがあれば、やはりチオールが含まれていると思うので、それはもちろん記載されていないので、記載違反ですね。

もしお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ匂いを確認して下さい。

カテゴリー
回収事案 安全性

TATの回収事例から今後のジェルネイルのあり方を考える

TATの回収事例概要

『Salon use 4in1 クリアジェル』 『Salon use selectable クリアジェル #1』
自主回収に関するお詫びとお知らせ
謹啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社商品に格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
この度、弊社販売の『Salon use 4in1 クリアジェル』、『Salon use selectable クリアジェル  #1』につきまして、爪に直接塗布するベースジェルとしても使用可能であるため、化粧品として製造販売の届出が必要であったところ 同届出ができておりませんでした。
つきましては、当該商品を自主回収させていただく運びとなりました。
お客様には多大なご迷惑をおかけし、心からお詫び申し上げます。
お手元の商品につきましてはただちにご使用を中止していただき、お手数ですが下部に設置しております返品依頼書のダウンロードボタンより返品依頼書をダウンロードし、必要事項をご記入の 上、返送用送り状にてお手元の商品をご返送頂けますようお願い致します。
なお、化粧品配合禁止成分は一切使用しておらず、現在までに当該商品の使用による健康被害の報告はございません。
【当該商品】
① 65433  Salon use 4in1 クリアジェル 15g
② 89883  Salon use selectable クリアジェル #1 15g
※残容量は問いません。容器をお送りください。

該当ページのURLはこちら→https://www.nailtat.com/oshirase/salonuse.html

TATのジェルネイルに対する判断

化粧品としての販売届出ができてなかったことは置いといて、TATが今回の判断に至ったことについて触れたいと思います。

「爪の直接塗布するベースジェルとしても使える」というところが最も肝心なところですね。

つまりTATは「爪に直接塗布するもの」は全て化粧品であるべきと考えるということです。

「爪に直接塗布するもの」としてはアクリルスカルプなども挙げられますし、プライマーも挙げられます。

果たしてこのあたりの製品が本当に化粧品のものだけTATは取り扱っているでしょうか。

それとも、化粧品以外のものも取り扱っているとするならば、それはどんな理屈で取り扱っているのでしょう。

各メーカーの判断?

販売したTATには全く責任がない?

いやいや…そんな訳無かろう…。

少なくとも販売する限りにおいては、その製品が販売して良いものか判断しますよね。

麻薬売ってくれって言われたからって売ったりしませんよね、それと一緒です。

では、TATは「爪に直接塗布するもの」は化粧品であると考えながらも、なぜ化粧品ではない製品を売るのか。

売上の為しかないですね。

商道徳に反しながらも、売上を挙げようという気持ちが丸見えです。

都合が悪いところは、いやメーカーの判断で…とでも言うんでしょうね。

そりゃあね、メーカーが一番悪いですよ。

いや、実はこれはメーカーが悪いとも言えないんです。

化粧品とはなにか

というのも、「爪に直接塗布するもの」言い換えれば「肌に直接塗布するもの」はすべて化粧品でなければならないなんてことはないんです。

その代表例がマツエク接着剤です。

これらは直接皮膚と接触するものながら、化粧品扱いを受けていません。

しかしそれは問題ではないのです。

医薬品医療機器等法第2条第3項で、化粧品は次のように定義付けられている。 人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

つまり、太字にした部分が達成されない皮膚に接触するものは化粧品でなくても良いのです。

そういう意味ではボディペイントは化粧品ですね。タトゥーシールも。

この定義から考えると、ベースジェルもマツエク接着剤も確かにそのものの性質はこの特性に寄与はしていないので、化粧品ではなくても良いと私も考えます。

そのように考えるメーカーも少なくともいるとは思います。

化粧品と安全性

と言いながらも、じゃあなんでもアリなのかと言えば、それはそれで違うと思います。

少なくとも、化粧品であるかどうか、なんてことよりも、安全性が担保されているのかどうかが重要ではないでしょうか。

化粧品=安全は全くの嘘というか誤解であることは常々当ブログでは語ってきました。

なにせ化粧品として販売する上で安全性のテストなんて存在しないのですから。

全て自主判断にて販売されているのが現状です。

有名な話に「アレルギーパッチテスト済み」がありますね。

「アレルギーパッチテスト」は「済み」でも、その結果がどうだったのか何も記載されていません。

消費者が勝手に「販売されているのだから、アレルギーはなかったのだろう」と誤解しているだけです。

それが問題になったのか最近ではこうも書かれています。

「全ての人にアレルギーが出ないわけではありません」

もう何のことか分からなくなってきます。

ハッキリ言います。

そりゃそうですよ!

人は千差万別、みんな違います。

アレルギーも出る出ない当たり前です。

日光アレルギーがあれば、水アレルギーもあるんです。

そんな体にとって必要そうなものにまでアレルギーがあるんですから、化学品にアレルギーがないなんてことはないんです。

安全性に配慮したジェルネイルを

TATは化粧品かどうかなんてことよりも、そのメーカーがどんな安全性テストを実施し、どんな証拠を以て、その製品を販売するつもりなのかそこを見極めるべきです。

(まあ、売上至上主義みたいな会社には無理でしょうけど)

資生堂の姿勢を見習うべきです。

どんなテストをしているのかはっきり掲示してあります。

その結果まで公開されているかは別ですが…少なくとも、そのくらいの姿勢は必要です。

いや、ぶっちゃけそんな知識がある人はジェルネイルの業界のトップにいないと言っても過言ではありません。

表示名称ですら違反・間違いだらけの業界ですよ?

他の化粧品分野ではありえないですよ…信じられない。

だからこのままではジェルネイル業界は、安全性に全く配慮されていないジェルネイルを販売し続けることしかできません。

最近になりようやく大手のメーカーも参入してきたので、少しづつそうしたメーカーが安全性に関する活動を声高らかにして頂ければ、業界も変わるかもしれませんが…。

消費者にとっては油断ならない製品ばかりが溢れているのがジェルネイル業界です。

くれぐれも安心なさらぬよう。

カテゴリー
ミスミラージュ

ミスミラージュを調査!

Miss Mirageとは?

全色UV/LED両対応 高品質な国産ソークオフジェル
400色を越える豊富なカラージェル
JNAジェルネイル技能検定試験/指定商品
色素やパール、ラメ等が沈みにくく、撹拌不要
NMシリーズは1度塗りでも発色がより鮮やかで繊細なアートが出来る
適度な粘度で伸びが良く操作性が良いので初心者でも安心
化粧品薬事法の製造販売許可取得済み

実は製品自体はほとんど使ったことはないのですが、ソークオフ性の実験をしているときにピンクを試したことがあります。

ソークオフは良かった印象ですね!

ミスミラージュの全成分表示

また見にくくてすみません…。

ポリウレタンアクリレートオリゴマー、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルシリル化シリカ、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、(+/-)顔料等

ミスミラージュの全成分表示を確認

もうこのブログのプロフェッショナルな方はどれがアウトかお分かりかと思います!

ポリウレタンアクリレートオリゴマー、日本化粧品工業連合会のリストに収載されていないのでNGです。

2-ヒドロキシエチルメタクリレート、成分としてはあるのですが、正しい表示名称はHEMAなのでグレーですね、HEMAと書けば良いだけなのになんでそれが出来ないんだろう?分かりません。

ジメチルシリル化シリカ、これはOKですね、リストに収載されています。

ヒドロキシプロピルメタクリレート、これも成分としてはあるのですが、正しい名称はメタクリル酸ヒドロキシプロピルです。

イソボロニルメタクリレート、これは何でしょう。イソボルニルメタクリレートならまだ分かりますが…メタクリル酸イソボルニルが正しいですね。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、これは光重合開始剤です。OKですね。

ミスミラージュはLED対応だと思うのですが、LEDで硬化させる為に必要なトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが見当たりません。

これは絶対入っているはずなので、正しい成分が記載されていない可能性があります。

もちろん内容成分をちゃんと記載していないことは薬機法違反なので、回収レベルの不祥事です。

ミスミラージュも残念ながら行政処分の対象ですね…、回収してラベル正しく見直して欲しいです。

まとめ

ミスミラージュはジェルの性能としては良いのではないかと思います。

しかし表示名称はとてもいい加減で、記載漏れまでありそうなので、回収されておかしくないレベルです。

またこうした成分の漏れが一つでもあると、他にもあるのでは?と疑ってしまいます。

例えばよりアレルギー成分のアクリル酸やメタクリル酸、他酸性モノマーや、もっと書けないような成分も含まれてるんじゃないか…

それがなにか問題になれば?(今なくても数ヶ月後、数年後にでてきたら?)

それはよく知らないお客様だったら良い?常連だったら怖いけど…?

いやいや、そんなことないですよね。

そんなジェルを使って、もし健康被害が出たら?訴えられる可能性はないですか?

またはセルフの方は自分の爪、手、人生に直結する問題です。

安全なジェルを使いましょう。

安全だと確信できるジェルを使いましょう。

少なくとも私は記載漏れのあるようなジェルネイルはおすすめ出来ません。

 

カテゴリー
モアクチュール

モアクチュールはどんなジェルか

モアクチュールとは

“モアクチュール”はネイルの”オートクチュール”を
叶えるために誕生したネイルプロダクトです。

ネイルの完璧な美しさを求めるネイリストは、
まさにネイルのクチュリエ。

サロンワークで、コンテストで、
あなたの最高の
オートクチュール・ネイルを創造してください。

More Couture,Moure Prifessional

モアクチュールは比較的古くからあるジェルの一つですね。

昔はUVライトでしか硬化できませんでしたが、数年前からLEDにも対応するようになりました。

監修は高名な「黒崎えり子」先生ですね。

「erikonail」というネイルサロンも経営されています。

モアクチュールの成分

モアクチュールも化粧品です。

なので全成分表示がしっかりとされていました。

六角の面にシールが貼ってあり、少し見えにくいですが…。

ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル酸イソボルニル、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2-メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、2-メチルプロペン酸、2-プロペン酸、ポリエーテル変性シロキサン

モアクチュールは化粧品としてどうか

相変わらず、ウレタンアクリレートオリゴマーは化粧品の表示としてはNGです。

アクリル酸イソボルニルは良いですね。

2ーヒドロキシエチルメタクリレートは、残念ながら表示としてはNGです。

HEMAのことなので、HEMAと表示されていればOKなのですが…。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドは光重合開始剤で記載としてはOKです。

2-メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートは表示にないのでNGですが、それが何を示すのかはわかるので、グレーですね。

使用されるのであれば、申請してほしいです。

2-メチルプロペン酸はメタクリル酸、2-プロペン酸はアクリル酸のことです。表示としてはNGですね。

ポリエーテル変性シロキサンも表示としはNGです。

これでは原則として化粧品としては販売できません…。

全成分表示から見るモアクチュール

あまりこれといった特徴はありませんが、HEMAが入っているので、アレルギーのある方は注意が必要です。

2-メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートはリン酸で酸ですね。

基本的に私は酸性成分が悪いとは思っていないので、これは決して悪いものではないと思います。

一方で、同じ酸性成分でも、2-メチルプロペン酸と2-プロペン酸は、ちょっとヤバイ成分ですね。

かなり刺激性が高く、皮膚接触すると炎症になる可能性があるので取扱に注意です。

まとめ

相変わらずモアクチュールも化粧品としての表示としてはいい加減で、残念な感じではありました。

薬機法違反なので早々に対処されることを願っています。

もしモアクチュールをお使いのネイルサロン等がございましたら、そういうジェルだということをご認識された上で使われるのが良いかと思います。

カテゴリー
プリジェル

プリジェルを探る

プリジェルとは

理想のネイルデザイン、スピーディーなサロンワーク、自爪にできるだけ負担をかけない安全性を追求しました。 全てを実現するために徹底的に品質と原料にこだわった国産ジェルネイル。
プリジェルが選ばれる理由はここにあります。
トップジェル、ベースジェル、カラージェル、又独自のネイル用品の筆、バッファー、ファイル、ライト、溶剤なども取り揃えております。

私も製品を使ったことがありますが、優等生といった印象があります。

TAT等でも取扱がありますし、価格も安い方で、パッケージデザインも分かりやすいです。

展示会に行くと、いつも大行列なのはプリジェルくらいですね。

(過去にはエースジェルやVETROもすごい時期がありましたが…)

今日本で最も売れているジェルネイルと言えるのではないでしょうか。

すごいですね。

気になる成分表示は…

ごめんなさい、前に市場調査行った時にもちろんプリジェルも見たのですが、プリジェルの製品にはシュリンクフィルムがされており、その上からコードのシールが貼られているのですが、そのシールが成分表示にかかっていて、完全に見ることができなかったんです。

流石に一つ一つ購入する訳にも行かず、プリジェルの確かな成分表示は分かりません。

ただ、消費者がその製品の安全性を確かめる手段の一つとして、この全成分表示を確認することが挙げられ、それは必ず目にとまるところに記載しなければならないルールとなっているので、シール等によって購入するまで見れない状態で売られていることは実は違反です。

もちろんプリジェルにその気はないとは思いますが、とても消費者に不利益な情報を隠すためにシールを貼ったりする悪徳メーカーがいないとも限らないので、こうしたルールが存在しています。

もしプリジェルの方がこのブログを見ていらっしゃったら、是非包装仕様の見直しをお願いします。

どこで作っている?

全成分表示を全て確認することができませんでしたが、確認できた成分もありました。

他社のジェルネイルにも同じように含まれている成分がほとんどでしたが、一つだけ特徴的なものがありました。

それが「エトキシ化~」とかかれた成分です。

これは、モノマーの中に、「エトキシ」と呼ばれる部分を持つものです。

「エトキシ」とは「エタノール」がエステル化したもので、つまりエタノールのような成分で繋がっている、連結部分がエタノールであるということです。

エタノールだからなんか良さそう!という話ではなくて、実はこの「エトキシ」をもつものは、重合収縮率が下がるといった研究結果があります。

重合収縮率とは、塗った時から硬化させたときにいわゆる「縮む」といった話とはちょっと別です。

どちらかと言えば、爪が感じる閉塞感に関わるところです。

ノンワイプトップと爪に塗ったりすると、結構閉塞感を感じませんか?それが重合収縮です。

またベースジェル等では、この重合収縮により発生する内部応力が密着性を低下させる原因になるので、重合収縮はできるだけないに越したことはありません。

そしてこの「エトキシ」を特徴とした特許を見つけました。

JPA_2016023144

スリーボンドファインケミカル株式会社

武本さん

スリーボンド

スリーボンドファインケミカルといえば、スリーボンドのグループ会社です。

スリーボンドは車関係のシール材や接着剤などがメイン商材の会社で、ずっとアクリレート系化合物を取り扱ってきた専門家です。

ジェルネイルを作ることなんてお茶の子さいさいなのでしょう。

更にスリーボンドからすごく勉強になる資料を発見しました。

tech40

アクリレート系のかゆみ等についての資料です。

まとめてしまうと、刺激の少ない材料開発も重要ですが、取扱にも注意が必要ということですね。

是非ネイルをされる方はご覧になって安全にジェルネイルされることを望みます!

カテゴリー
ココイスト

KOKOISTに迫る(続編)

KOKOIST スーパーシャイントップジェル

トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、ジカルバミン酸ジHEMAトリメチルヘキシル、ウレタンアクリレートオリゴマー、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アクリルコポリマー、メトキシメチルブタノール、アクリロイルモルホリン、HEMA、アクリル酸イソボルニル、紫201

製造販売元:九州コーケン

今まで製造販売元はルーランでしたが、トップは九州コーケン…何故でしょうね。

充填先を複数持っていて(リスクヘッジや単純に工場の充填能力の問題で分けることはあります)たまたまトップだけを九州コーケンにお願いしているのでしょうか。

いずれにせよ、九州コーケンも充填請負先なので、ジェルネイル自体を作っているところではないと思います。

全成分表示ですが、トリメタクリル酸トリメチロールプロパンは3官能のモノマーです。

入れることで硬さが出るのが特徴です。

トップなのである程度の硬さが必要とのことで入れているのでしょう。

ジカルバミン酸ジHEMAトリメチルヘキシルは有名なウレタンアクリレートモノマーです。

重合性が高く、柔らかいことが特徴です。

海外メーカーの多くの製品で使われています。

ウレタンアクリレートオリゴマーは日本化粧品工業連合会の表示名称リストに収載されていない、またカテゴリーを示す言葉なので成分表示としては認められない名称です。

薬機法違反なので、しかるところにたれ込めば回収騒ぎになりかねない問題です。

早々に解決して欲しいですね。

トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは光重合開始剤です。

アクリルコポリマーもカテゴリーを示すので、ウレタンアクリレートオリゴマー同様に違反です。

アクリルコポリマーも使うの好きですね、KOKOISTの特徴の一つです。

メトキシメチルブタノールは何のために入っているのでしょうか、溶剤だとは思うのですが、アクリルコポリマーがこの溶剤希釈品とかなのかな…。

アクリロイルモルホリンも表示名称がないですが、この名称から一つの成分を特定はできるので、厳密に言えば違反なのですが、グレーなところです。

いずれにせよ早々に化粧品工業連合会に名称の申請をして、登録された名称にして頂くことが必要です。

HEMA、最近アレルギーで話題の成分の一つです。

アレルギーは皮膚感作性という言葉でSDS中で説明されており、その感作性があることは明らかなので、HEMAアレルギーの方はご使用を控えるべきかもしれません。

アクリル酸イソボルニル、ノルボルネン骨格をもつ単官能モノマーです。

特徴的な匂いがありますが、それ以外に目立った効果もなく、Tg(ガラス転移点)があげられるとかありますが…。

紫201、顔料ですね。

すごく高い顔料です。

確か1kgあたり100万円を越していたような…、とは言えジェルネイルに含まれる紫201の量は0.0001%程度なのでそれほど価格には反映されないと思います。

KOKOIST スーパーシャイントップジェル

トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、ジカルバミン酸ジHEMAトリメチルヘキシル、ウレタンアクリレートオリゴマー、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アクリルコポリマー、メトキシメチルブタノール、アクリロイルモルホリン、HEMA、アクリル酸イソボルニル、紫201

製品名と表示名称が全く同じで、ボトルタイプとコンテナタイプがありました。

購入していないので分からないのですが、これらの二製品は全く同じなのでしょうか。

普通に考えると、ボトルタイプの方が粘度が低く、コンテナタイプの方が粘度が高いような気がするのですが…。

もしご存じの方いらっしゃれば、twitter等でメッセージ頂けると助かります。

もし粘度が違うのであれば、それは成分が違うということで…、たとえ同じ成分が入っているとしても、その比率が変われば、それは別製品です(容器も違いますが、容量違いは同じ製品と見なせるので、そこでは区別できません)。

もし粘度が違うのあれば、別製品の登録が必要で、これは化粧品販売届を怠っているということで、またも回収事案レベルです。

KOKOIST ノンワイプトップコートジェル

ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アリファティックウレタンアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビフェニルスチルベン、紫201

もう皆さんもお分かりになってきたかもしれませんが、ポリウレタンアクリレートオリゴマーは表示名称になく、カテゴリーを表す言葉なので違反です。

アリファティックウレタンアクリレートは、何やらカッコイイ言葉が付いていますが、アリファティックとか脂肪族という意味で、グループを表す言葉です。

ウレタンアクリレートの中の脂肪族をアリファティックウレタンアクリレートとは言いますが、またもこれもカテゴリーを表す言葉なので違反です。

イソボルニルメタクリレート、なぜ、ここにきて、こんな間違いを犯すのか、私には分かりません。

上で似たような名前のものは、アクリル酸イソボルニルが該当します。

アクリル酸○○やメタクリル酸☓☓は成分表示として正しいのですが、○○アクリレートや☓☓メタクリレートは表示名称としては正しくありません。

ただどんな成分かはわかるので、グレーではあるのですが、正しい名称があるのであれば、正しいものを使うことが好ましいので、ちゃんとメタクリル酸イソボルニルと記載して欲しいです。

ビフェニルスチルベンは蛍光増白剤や光増感剤と呼ばれるもので、簡単に言うと、405nmの光を365nmに変換してしまうような成分です。

これによりトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを使わなくても、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンで405nmを利用して硬化させることができるようになります。

ライトに入れると蛍光発色するのが特徴です。

KOKOIST製品まとめ

性能は恐らく皆様の方がよくご存知かと思うので、私からは特に申し上げませんでしたが、一方化粧品として販売することの上では、非常にエラーの多い製品であると言わざるを得ません。

いつも繰り返しで大変恐縮ですが、化粧品の表示ルールも守れないのに、より難しい安全性のルールが守れるのか、私には疑問です。

化粧品の表示ルールは難しそうに見えて、一度覚えてしまえばそう難しいものではありません。

簡単に誰でも習得でき、できるだけ準拠した表示ができるものです。

しかしそれすらもちゃんと出来ていないメーカーがほとんどであり、KOKOISTもその一つでした。

残念です。

私としては、どれだけ製品が良くても、そんなことも守れないメーカーの製品が良い製品とは思えません。

たとえば配合禁止成分が入っていたとしても、バレなければいい、そう考えていてもおかしくないと思います。

(実際回収レベルの間違いを犯しながら、気づいているのか気づいていないのか知りませんが、そのまま販売し続けているのが事実です。)

ネイル業界、特にジェルネイル業界はまだまだ新しい業界であり、各メーカーの経験も浅いと言わざるを得ません。

そして社員100名以下のいわゆる中小企業がほとんどで、薬事に強い専門家を雇うこともなく、化粧品を簡単に販売してしまっているところが多い印象です。

この表示名称を見る限りKOKOISTもその一つです。

化粧品は簡単に販売できますが、対しての消費者への責任は他の雑貨とくらべては大きいものです。

そのリスクを理解せずに、儲かるから、やりたいから、といった理由でされているメーカーは、今一度自分たちに行いに間違いがないのかを確認して貰いたいと思います。

まずはルールを遵守しましょう。

安全性や売れる製品を作るのはその次です。

カテゴリー
ココイスト

KOKOISTに迫る

KOKOISTとは

プロが選ぶ確かな品質と使いやすさのネイルプロダクトにこだわり続けています。

世界中のお客様を相手に、ありとあらゆる新商品・新技術を駆使して、プロフェッショナルの柏木KOKOがプロフェッショナルのみなさまが待ち望んでいる商品を自信を持ってお届けしております。

長年のサロンワークから導き出されたジェルシステムの答え、それがKOKOISTです。
サロンワークでより使いやすく、お客様の喜びがより長く。プロネイリストである柏木KOKOのこだわりを凝縮した製品は、ネイルに関わる全ての方にきっとご満足いただけるはずです。

確かにデビュー当時は真っ黒な容器にクールなロゴで、まるでシャネルの化粧品を思わせるようなデザインでカッコイイなぁと思っていました。

その後も京セラと開発した人工オパールを配合したカラージェルなど真新しいものも展開され、精力的に活動されてるなあといった印象です。

化粧品かどうか

ぼやけてしまって、本当に申し訳ないです…。

ばっちり「爪化粧料」と書かれているので、化粧品として登録されています。

検定にも使えるので間違いありません。

製造販売元は「株式会社ルーラン」となっております。

私が知る限り、この会社は充填請負かまたは名義貸しと思われます。

つまり、中身を本当に作っているメーカーではないと思います。

どこかで作った中身を株式会社ルーランで充填しているか、または充填も別のとこでするが、製造販売元として株式会社ルーランの名前を借りているか、どちらです。

発売元は株式会社KOKO Internationalですね。

KOKOIST ソークオフカラージェルエクセルライン

ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル酸イソボルニル、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリロイルモルホリン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジメチルシリル化シリカ、カルボン酸変性コポリマー(以下顔料等、目立つもので言えば、硫酸Ba、HALS、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、含水シリカ)

以前から申し上げている通り、ウレタンアクリレートオリゴマーといった表示名称はないので、全成分表示のルール違反ですね。

続いてエポキシアクリレートオリゴマーも同様に表示名称外です。

アクリロイルモルホリンはその名称から具体的な成分が想像できるので、完全アウトではないのですが、表示名称はありませんので、グレーです。

※表示名称申請中でも化粧品として販売することはできます。その際、該当する成分名は容易に想像が付く適切な名称を与えなければなりません。アクリロイルモルホリンはそれに該当しますが、はたして日本化粧品工業連合会に申請しているのかは分かりません。

トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドは405nm用の光重合開始剤です。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは365nm用の光重合開始剤です。

ジメチルシリル化シリカは増粘剤です。

細かな微粒子で粘度を上げたり、タレ性を改善したりできます。

カルボン酸変性コポリマーも表示名称にはないので違反です。

KOKOIST ソークオフクリアジェルエクセルラインII

ウレタンアクリレートオリゴマー、HEMA、アクリロイルモルホリン、メタクリル酸、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アクリルコポリマー、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール

ウレタンアクリレートオリゴマーは違反ですね。

HEMAはアレルギー性があるモノマーなので、もしほかのジェル等でアレルギーが出てしまっている方は使用を控えたほうが良いかもしれません。

アクリロイルモルホリンは先程と同様です。

このメーカーはアクリロイルモルホリンを使うことが特徴のようですね。

メタクリル酸は酸で終わっているので、酸性成分です。

pHを測ると1-2くらいの強酸性を示すかもしれませんね。

トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは光重合開始剤。

アクリルコポリマーはまた表示名称のないものなので違反です。

何かもよく分かりません。

3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールは溶剤でしょうか。

KOKOIST ソークオフクリアジェルエクセルマットコートジェル

メタクリル酸エステル系コポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル酸イソボルニル、鳥メタクリル酸トリメチロールプロパン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、アクリルコポリマー、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール

メタクリル酸エステル系コポリマーは恐らくいわゆる樹脂球と呼ばれるものです。

こうした樹脂球をジェルの中に入れることで、拭き取った際に表面がマットに仕上がります(光の乱反射)。

ただし、どんなコポリマーなのかは全くここからは分からないので、表示名称としては違反です。

KOKOISTまとめ

他の名称等がしっかりとルールに則っているにも関わらず、おそらく化粧品としての表示名称のないものを表示する際には、かなりいい加減に適当なネーミングで成分を表示してしまっているのが、この会社のスタンスですね。

全ての原料に化粧品としての表示名称は確かにありません。

ジェルネイルはまだ新しい分野なので、全然表示名称がないのが事実です。

しかし、申請はすることができます。

そして申請の為には、その名称から何であるかを理解できるような名称でなければならないのに、メタクリル酸エステル系ポリマーや、ウレタンアクリレートオリゴマーといった、いえば、食事の中で言えば「主菜」や「副菜」としか表示してないような状態です。

それでは主菜が何か分からないですよね。

ちゃんと「牛肉とピーマンの炒め物」や「麻婆茄子」といったように具体的に書かれていなければ、それが何かを消費者が知ることはできません。

知らない製品を買わされて、損をするのは消費者です。

もう少し配慮した表示名称を付けてくだされば良いのですが…。

長くなってきたので、次回に続きます。

カテゴリー
ベースジェル ライト 材料

なぜジェルネイルは欠けてしまうのか

最終工程はお客様によって

ジェルネイルは、従来のマニキュアとは異なり、爪の上で光当てて硬化させるタイプのネイルです。

工業的には光硬化性樹脂と呼ばれています。

そのメカニズムとしては、数百~数万くらいの分子量のモノマーやオリゴマーが、光重合開始剤により発生するラジカルを使ってお互いに結合(重合)し、数十万数百万あるいはそれ以上の分子量にまで増えていくことで、液状から固体へとその性状を変えていきます。

何をイメージするとわかりやすいのか難しいのですが、例えば、お米は炭水化物と呼ばれることはご存知かと思います。

炭水化物の中には、糖質と呼ばれるものがあり、お米はその一つです。

糖質の漢字の中には、糖という言葉があるように、お米は糖から出来ています。

小さな糖が重合し、分子量が大きくなった為に、お米は水分を含ませる前はすごく硬い、まるで硬化後のジェルネイルのような状態です。

一方でガムシロップは糖の中でも小さいものを中心に構成されており、まるで硬化前のジェルネイルのようです。

つまり、ガムシロップが重合し硬化したものがお米になる(本当になる訳ではないですが、イメージとして)ように、ジェルネイルも、硬化前の液状が、重合し、分子量が大きくなることで硬化した状態になります。

ジェルネイルは液体の状態で完成されたものではなく、未完成の状態で売られており、その未完成の液体をお客様の手で最終工程である硬化をさせることで、最終製品になるイメージです。

原料を作る工程、原料を混ぜる工程、液状のジェルネイルを充填する工程、どれも工程はいい加減なものではいけませんよね。

最終工程も同じです。

光硬化性樹脂の最終工程である硬化をいい加減にしてしまうと、せっかくここまでの工程が完璧でも、思ったような最終製品が出来上がらないのはご理解頂けると思います。

つまりジェルネイルはお客様によって完成される製品ということです。

ジェルネイルの持ちにも最終工程は影響する

ここまでお話をご理解頂けていれば、「ジェルネイルの持ちにも最終工程は影響する」ということがご理解頂けると思います。

どれだけ良いジェルであっても、硬化が十分ではない、または硬化しすぎているなど、設計された、想定されたこと以外の工程をしてしまうと、そのジェルが持っている力を十分に発揮することはできなくなってしまいます。

艶などは顕著でしょうし、カラーの半熟(よれ)なども見てわかりやすいですが、ベースジェルの持ちも同じように影響します。

各社のジェルネイルは、できるだけ各社から出されているライトで規定の時間で硬化させることが重要です。

それ以外の条件で行うと、少なくとも100%の力は発揮できないことが多いと思います。

ベースジェルだけが保ちを決めることはない

ジェルネイルの持ちは、ベースジェルに依存すると思われがちですが、そうではありません。

だいたいの場合において、ジェルネイルが剥がれてしまう時、トップジェルだけがめくれたりするでしょうか。

またはベースジェルとカラージェルが層間剥離をしてしまったりするでしょうか。

あまりそういったケースはないかと思います(ゼロではないです)。

大抵の場合、ジェルネイルが浮いてしまった、剥がれた場合は、トップもカラーもベースも一体となって浮いていませんか。

つまり、ジェルネイルはそれぞれの層として形成しますが、最終的には一体の層として捉える必要があります。

ベースジェルだけ変えて、密着性は変わるかもしれませんが、最終的な保ちはそれだけでは決めることができません。

そのベースジェルに相性の良いカラージェル、そしてそのベースジェルとカラージェルと相性のよいトップジェルを選択することが重要となります。

それぞれの層の硬さやジェルの混ざり具合(未硬化層と次の層は必ず混ざる、そこで相性が良くなければ剥離も起きやすい)なども重要となってきます。

ベースジェルをできるだけ良い状態で硬化させるには

とは言え、直接爪に付着する層がベースジェルであることは事実です。

つまりベースジェルが保ちに大きな影響が与えることが間違いありません。

そこでベースジェルはどのように硬化させることが良いのかですが、先程から申し上げているように、各メーカーそれぞれの思惑があって設計されているので、コレという正解はありません。

ただ、傾向がないわけではないので、それをご紹介しようと思います。

まずベースジェルが十分な密着性を発揮する為に硬化からアプローチできることは、十分に硬化すること硬化が早すぎて硬化収縮が起きないこと、この二点です。

一つめの十分に硬化するは、お分かり頂けると思います。

半熟であれば、スカスカな状態なので少しの力でベースジェルが変形したり、水が入り込んだり、様々なことが起きます。

なので十分に中まで硬化させることは最低条件です。

次に硬化が早すぎて硬化収縮が起きないことですが、LED化にともなって硬化時間は30秒や速いもので20秒または10秒といったものもあります。

こうした硬化速度の上昇は、自ずと硬化収縮にも効いてしまいます。

硬化収縮が大きくなると、爪への閉塞感も強まりますし、なによりベースジェルに応力がかかります。

応力がかかると、少しの力で爪から剥離したり、浮いてしまったりということが起きやすくなります。

つまり、各メーカーの条件で硬化させることが一番とは言え、いくつもライトを買うことができないセルフの方やネイルサロンにおいては、あまりにもハイパワーなLEDライトを使うと、硬化収縮が大きくなってしまい、ベースジェルの保ちの悪さに繋がる可能性があります。

適切な硬化で、安心なジェルネイルライフを

適切な硬化をすることで、ベースジェルの保ちは格段に良くなります。

その結果、浮いた隙間から菌が入ってしまうようなグリーンネイルや、浮いてきたジェルを無理やり剥がして爪が薄くなってしまうといった問題をも解決することができます。

なかなかそのジェルにあったライトを毎度買うのはお金がかかるので大変かと思いますが、ベースジェルを買い換えるだけでは、保ちが劇的に良くなるといったことは逆にないとお考え頂いても良いかもしれません。

ベースジェルも決して安くはないですが、それを何種類も試して数万円を使うくらいならば、いまあるジェルに合わせて、ライトをメーカー推奨のものにする方が結果的には良いかもしれません。

36WのLEDと12WのLEDで硬化させたジェルネイルは決して同じものにはなりません。

もちろんUVでも大きく異なります。

ただただWだけが影響することもなく、そのライトの配置や一つ一つのライトの照度、爪までの距離、いろんなことがライトによって影響します。

硬化はお客様の手でしていただくジェルネイルを最終製品とする最後の工程です。

ぜひそこにもご注力頂ければ幸いです。

 

 

カテゴリー
材料

ジェルネイル材料学:第一回 概要

はじめに

ジェルネイル材料学と題して、ジェルネイルに用いられる材料について解説します。

セルフの方、ネイリストの方含めてどちらにもジェルネイルがどんな材料でできているのかを知ることは、とても重要なことだと思います。

その結果、起きうる危険性についてちゃんと把握できますし、つまり安全性について説明できるようになります。

そうした知識は第一に自分を守る為に、そして施術する人を守る為に使うことができます。

馴染みがあまりないかもしれません化学系の話にはなりますが、ジェルネイルを更に理解する為には化学が避けては通れないことです。

ただ私も所謂トップネイリストの方(エキスポ等で壇上でセミナーされるような方やコンテストで表彰台の常連の方たち)とお仕事をする機会も多く、そうしたトップネイリストの方はほぼ全員よりジェルネイルのことを知るという貪欲さがあり、もちろん彼女らは化学を専攻してきた訳ではないので、とっつきにくい分野だとは思いますが、それでもすごく熱心に勉強されている印象があります。

このブログを読んでくださっている方が、今どのくらいのポジションの方なのかは分かりませんし、今後のビジョンをどのように考えていらっしゃるのかも分かりませんが、一つネイリストとしての格を上げる為の知識として、材料学は必須ではないでしょうか。

ジェルネイルの構成

ジェルネイルは大きく分けて、1.ウレタンアクリレート 2.モノマー 3.光重合開始剤 4.顔料 5.フィラー 6.添加剤の6つに分けられます。

それぞれの役割を一つ一つ確認します。

ウレタンアクリレート

ウレタンアクリレート化学式

(出典:共栄社化学様)

ウレタンアクリレートは塗膜を形成する主成分です。

この種類の選定により塗膜の性質が大きく異なります。

パスタで言えば、オイル系なのかトマト系なのかクリーム系なのかを左右するものです。

モノマー

(出典:三友化学様)

モノマーは基本的には希釈の用途が多いです。

ウレタンアクリレートは水飴のようでどろっとしています。

スプーンをさすと、ささって動かなくなるほど硬いものもあります。

それでは爪に塗ることができないので、緩めるために希釈する必要があります。

従来のマニキュアでは酢酸エチルや酢酸ブチルといった有機溶剤がその役割を果たしていましたが、ジェルネイルは基本的には有機溶剤を含みません。

その代わりにモノマーで希釈しています。

このモノマーはたくさんの種類があり、親水性のものや疎水性のもの、硬化後に硬くなるものや逆に柔らかくなるものなど、様々あります。

しゃばしゃばのものもあれば、とろとろのものもあり、匂いがあるものもあれば、刺激性があるものもあります。

この選択も大きくジェルの性質に影響します。

光重合開始剤

光重合開始剤は読んで字の如く、重合(硬化)を始める材料です。

UVライトの365nmやLEDライトの405nmに対応した光重合開始剤を選ぶことが重要です。

とは言え、使えるものは限られていて、たいていの場合「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」か「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」の二種類です。

前者がUV365nmに対応する光重合開始剤であり、後者がLED405nmに対応します。

どちらも粉末で、「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」の方は少し黄身がかっています。

透明なウレタンアクリレートやモノマーに混ぜると、少し黄身のかかったジェルネイルができるため、トップなどには紫色の顔料を打ったりすることがあります。

顔料

(出典:Kusunoki Sekkai様)

顔料には有機顔料と無機顔料の二種類があり、有機顔料は自然界にはあまりなさそうな色を発色させるために使います。

一方無機顔料とは、金属酸化物で、天然にあるような色のものです。

酸化鉄(黒、茶、黄土)といったものや、酸化チタン(白)がそれらにあたります。

どちらかと言えば有機顔料の方が退色などはしやすいです。

顔料には他にもパール顔料と言われるラメやグリッターがあります。

詳しくは日本光研様のサイトに掲載されているので、そちらも合わせて見ていただくとわかりやすいです。

https://nihonkoken.co.jp/pearl.html

マイカと呼ばれる鉱石に薄く酸化チタンや酸化鉄の膜を張ることで、きらっと輝く粒子が作られます。

パール顔料の構造

(出典:日本光研)

これがラメです。

酸化チタンだけで作ると白く光りますし、酸化鉄を混ぜると、金色などを作ることができます。

グリッターはフィルムの上にアルミニウムなどをコーティングすることでできています。それを細かくカットしたものです。

フィラー

(出典:EVONIK様)

白色の細かな粉体です。

シリカとよばれる粉体がほとんどで、大きさはnmサイズのものから100μmくらいあるものまで様々です。

これを混ぜることでジェルネイルの粘度を上げることができます。

またたくさん入れると、マットトップなどを作ることができます。

ジェルネイルが指に流れてしまうのを防いだりします。

添加剤

その他にも、レベリング性を良くしたり、顔料の沈降を防止させたり、抗菌性だったりと高機能化させるものとして添加剤があります。

かなり幅広いので紹介しきれませんが、ただ化粧品でかつジェルネイルに使えるものはあまり多くはありません。

まとめ

ジェルネイルの材料について、ほんの触りの概要を今回ご紹介させて頂きました。

今後、各項目についてじっくり解説していきたいと思います。

まずはそれぞれがどんな役割で入れられているのか、どんなものなのかを知って頂ければ幸いです。

カテゴリー
ソークオフ

資生堂と富士フイルムからソークオフが簡単なジェルネイルが出る!?

ソークオフとは

ソークオフとは、ジェルネイルを爪から剥がすことです。

通常はアセトンなどを使い、10分から15分ほど浸し、樹脂を膨らませて取ります。

アセトンは協力な脱脂作用があるので、皮脂なども全て溶かしてしまいます。

その結果、指がカサカサになったりと、嫌なこともいっぱいあります。

アセトンに浸す前にも、トップを削ったりと大変です。

できるだけソークオフが簡単になればいいはネイリストからもセルフネイラーからも聞こえる要望です。

セルフの方にとってもソークオフはとても面倒くさいことだと思います。

資生堂がジェルネイルを検討

特開2009-126833 人工爪組成物

簡単に内容をまとめると、イオン性のモノマーを配合して、pH3.5以下の液体(レモン汁のような)でソークオフできるといったものです。

酸性の水溶液に漬けるだけでソークオフできるのはすごく魅力的ですし、そもそも日本最大の化粧品メーカーである資生堂がジェルネイルをやはり検討していたことが驚きです。

この特許は審査請求されていないので、誰でも使える技術です。

どこかのメーカーからこの技術を応用した簡単に落とすことができるジェルが発売される日も遠くないかもしれません。

または資生堂が本腰を入れてジェルネイルの分野に参入してくることも考えられます。

化粧品の安全性に、ジェルネイルのメーカーとは比べ物にならないほど重きをおいている資生堂がジェルネイルの業界に本当の安全性をもたらしてくれるなら、それは消費者にとってすごく素晴らしいことだとは思いますが、一方でジェルネイル研究者として、資生堂の厳しい安全基準をクリアできるジェルネイルを作ることもまた難しいことを知っています。

この特許自体2009年のものにも関わらず、今になっても資生堂はジェルネイルに参入していないことを考えると、自社の安全基準をクリアできないという結論に至ったのかもしれません。

またはもっと単純に売上面の問題等もあるかとは思います。

富士フイルムもジェルネイルを検討

特開2017-141187 光硬化型人工爪用除去液、光硬化型人工爪の除去方法、及び、ネイルアートセット

以前にも富士フイルムがジェルネイルを検討している可能性について記事にしましたが、こちらは資生堂の特許に似たソークオフ性に関する特許です。

除去液が酸性であり、イオン性のモノマーを含むジェルネイルであるところに共通点がありますが、酸性に偏らす為の成分を限定しており、ピログルタミン酸かグルコノラクトンを使用することとされています。

私はどちらの成分も初めて耳にしました。

明細書中では、高極性(高い親水性)の為に、皮膚を保水する成分として働くといったことが書かれていました。

オフしながら、保水するといった、まさに理想的なソークオフだと思います。

富士フイルムがジェルネイルに参入しているのかどうか分かりませんが、(もしかしたらOEM等でもう世の中に出ているのかもしれません)もしこの技術でソークオフが劇的に改善されるなら、早く商品化してほしいですね。

ソークオフの今後

酸性除去液とイオン性のモノマーの組み合わせはどちらの企業も注目しているようですね。

既にジェルネイルに参入しているメーカーもこの技術に注目して貰えれば、新しいジェルが今後直ぐにでも出てくるかもしれませんね。

いずれにせよ、ソークオフが劇的に改善される日も近いかもしれません。

新しいジェルはきっとエキスポやビューティワールドジャパンで発表されると思うので、今後私もチェックを続けて、素晴らしいものがあればいち早く紹介したいと思います。

カテゴリー
ノンワイプトップ

ノンワイプトップジェルの危険性

ノンワイプトップジェルとは

従来のトップジェルは硬化後に未硬化ジェルの拭き取りが必要でした。

それを不要にしたのがノンワイプトップジェルです。

未硬化ジェルの拭き取りは確かに少し技術が必要で、拭き取りに失敗すると指に付着したり(炎症やアレルギーの原因)、ツヤが出なかったりもします。

あまり通常のサロンワークでは使われることはなかったように思いますが、ミラーネイルが流行ったことにより、サロンワークでもノンワイプトップを使うようになりました。

ちなみにミラーネイルとはノンワイプトップの上に薄いラメを均一にのせることでミラーのような光沢を出すことができます。

未硬化樹脂があるとその分沈んだり、均一にのらないので乱反射が起き、ミラーにはなりません。

そんな利点も多いノンワイプトップジェルですが、いくつか危険性もあるのでご紹介します。

硬化熱が高い

そもそもジェルネイルを硬化する時になぜ未硬化ジェルが残るのかというと、ジェルネイルの重合(硬化)はラジカル反応と呼ばれる反応で、このラジカルは酸素と非常に結合しやすく、酸素とラジカルが反応してしまうと、そこから反応が進まなくなってしまいます。

つまり空気に触れている層はラジカル反応が進行しないので未硬化ジェルとして残ってしまいます。

この空気との反応よりも速く硬化させたり、空気と反応しづらい成分を入れたりして出来上がったのがノンワイプトップジェルです。

硬化は従来のものよりも速い為、硬化熱も自ずと高くなってしまい、少しでも厚めに塗ってしまうと、地獄のような熱さを感じることになってしまいます。

その時の温度は局所的に100度を軽く超えるので火傷といって過言ではありません。

皆様も何度か「あつ!」とライトから手を引っこ抜いてしまったことがあるかと思います。

保管安定性が悪い

もう一つは酸素の反応しにくい成分を含むことによって、保管している間に硬化してしまうということです。

ジェルネイルが保管中になぜ硬化しないのかというと、それは光が当たっていないからだけではありません。

重合禁止剤と呼ばれる成分が入っていたり、容器内に酸素があることによって重合が阻害されるため、反応しないのです。

ところがノンワイプトップジェルでは、その酸素と反応しにくいものが入っているお陰で、暗反応と呼ばれる重合が進むことがあります。

暗反応とは光がなくても進む重合のことです。

つまり、保管しているだけで重合が少しずつ進んでしまい、ボトルタイプの口等に重合物が付着するといったことが起きてしまいます。

特に高温になるとこの現象は盛んになるので、ノンワイプトップはできれば冷蔵庫などで保管されると長持ちするかもしれません。

ただ一度重合がある程度進んでしまったものは、ゲルぽくなったり、塗ってもレベリングしなかったり、また光を当てても完全に重合しなかったりするため、取扱に注意が必要です。

酸素と反応しにくい成分「チオール」

ちなみにこの酸素と反応しにくい成分は、「チオール」や「メルカプタン」と呼ばれる成分で、硫黄のことです。

あの効果がありそうな温泉の匂いです。

ノンワイプトップの多くはこの「チオール」を含んでいる為、匂いもあまり良くないのが特徴です。

人によっては気分が悪くなると思うので、取扱には十分にご注意下さい。

過去には回収事例も

実は今は亡き「エースジェル」のノンワイプトップが昔回収されたことがあります。

確かその時は低温時に白濁または固化してしまうといった内容だったと記憶しておりますが、まさに最近の「edit.」と同じ現象ですね。

ノンワイプトップは自然現象である酸素によるラジカル重合の阻害を超えて作られた製品です。

自然に逆らうということは、無理をしているとも言えます。

そんな無理をしながら作られた製品なので、どこかしら欠点が出てきてしまうのは自然なことかもしれません。

オールグッドな製品を目指して研究は続けていますが、全てが化学で解決できるわけではありません。

ノンワイプトップのお取り扱いにはご注意を。

カテゴリー
ベースジェル

ベースジェルと爪との相性

ベースジェルと爪

よく「○○のベースジェルは合わない」「☓☓のベースジェルは合う」といったお話を聞きます。

本当にそうした相性といったものはあるのでしょうか。

そして相性とは何なのか。

どうすれば相性の良いベースジェルに出会うことができるのかについて考えていきたいと思います。

サンディング・ノンサンディング

大きく分けてベースジェルには2種類あります。

サンディングを要するものと、ノンサンディングのものです。

これらの違いは…私は「ない」と思っています。

ベースジェルの基本的な思想としては、爪によく密着するが第一です。

それはサンディングが要るものも要らないものも変わりません。

その次にオフができる(できるだけ簡単に)です。

これもどちらも変わりません。

他にも爪の上で縮まないやカラーが縮まずに乗るや、もちろん匂い、色などもありますが、どの項目もサンディング・ノンサンディングに関わらず求められることです。

つまり、サンディング・ノンサンディングとは成分などの違いというよりは、メーカーのコンセプトであって、基本的には同じベースジェルと言えます。

親水性・疎水性

サンディング・ノンサンディングではベースジェルは分類できないとすると、他にどこで分類できるでしょうか。

その一つは「親水性」「疎水性」だと思います。

親水性とは水に親しみがあるの字の如く、水と馴染みのよいことです。

疎水性とは親水性の逆で水に馴染みにくいことです。

油などが疎水性と言えます。

ジェルネイルは油性樹脂でできているので、基本的には疎水性だと思います。

その中でも水酸基や酸性基といった親水性の成分を多く含むものは水に溶けるとは言えませんが、水との馴染みが良いとは言えます。

一般的にこの親水性の程度は水接触角で計測します。

たとえばジェルネイルであれば、薄い硬化膜を作り、未硬化樹脂を取り除き(場合によっては取り除かなくても)そこに水滴を一滴垂らします。

その時の水滴の広がり具合で評価します。

(ここでの撥水は疎水と同じ意味です)

広がらないぷっくりとしたものは疎水性、べちゃーっと広がっているものは親水性です。

手持ちのベースジェルをクリアファイルなどに塗って硬化させて一滴水を垂らして頂くと、ご自身のもつベースジェルが親水か疎水かすぐにわかります。

または成分として「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」を覗いて、「ヒドロキシ」と書かれた「アクリル酸かメタクリル酸」が入っている場合(例えば、メタクリル酸ヒドロキシプロピルやHEMA)は、比較的親水性です。

接着成分

接着成分は大きく分けて、酸系とシランカップリング系に分けられます。

酸系はいわゆる酸が入っているというベースです。

アクリル酸、メタクリル酸、リン酸(またはフォスフェート)などがそれに当たります。

一方酸フリーと謳っているベースのほとんどはシランカップリング系です。

シランカップリングとは、水分に反応して結合を作る成分です。

成分名としては「メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」のような名前が書かれていればシランカップリング系です。

爪表面に水分と反応することで爪との接着や樹脂間の結合を強くします。

これらの分類は非常に大きく異るので、ご購入される前には見ていただいたほうが良いかもしれません。

爪の中のベースジェル

いままではベースジェルの分類について考えてきましたが、私の一番のおすすめとしては、同じジェルを使い続けるということです。

初めてジェルネイルをされる方は爪がまっさらで綺麗なので、爪に水分も油分もしっかり蓄えられており、ジェルネイルがくっつくのに邪魔な成分でいっぱいです。

なかなかそうした場合にはジェルネイルがよくくっつくことはありません。

ところがジェルネイルをすることで、爪の内部にジェルネイルは入り込み、爪の一部がジェルネイルになっていきます(聞こえは良くないですね)。

そうすることで、爪とジェルネイルの馴染みが良くなり、持ちはどんどん良くなります。

ただこのジェルネイルとの馴染みは、同じようなジェルネイルの場合にのみ発揮されます。

つまり上で分類したような親水性のジェルネイルの次に疎水性のジェルネイルを塗ったり、酸系のジェルネイルの次にシランカップリング系のジェルネイルを塗ったりすると、その効果は全く得られず、むしろかえって剥がれやすくなります。

数回に渡って同じジェルを塗ることで、爪の中にジェルネイルがどんどん浸透し(なんとなく気持ち悪いですが)、そのジェルネイルと相性の良い爪になってきます。

浸透といってもおそらく0.01mmや0.1mmといった膜圧の話だとは思うので、それほど心配することはないと思います。

一度使って合わないとなっても、何度か繰り返すことでどんどん持ちは良くなると思うので、使い続けるというのもありかなと思います。

カテゴリー
ツメコ

千趣会「TSUME.CO」ネイルをプリンターで!

TSUME.COとは?

https://tsume.co/

カワイイ!早い!安い!
5本指同時に施術できるネイルプリンターを使った新しいジェルネイルサービスです。

レンド・シーズン・イベント・・・ツメコでしかできない繊細なアート、クリエイターが描いたイラストなど、今すぐしたいデザインがいっぱい!新作も毎月UP♥

ツメコネイルチップ

人気のフラワー、レース、アニマル柄をはじめ、各クリエイターの個性あふれるデザインが満載。オフィスやイベント、パーティなど、シチュエーションに合わせてお楽しみいただけます。

またツメコはネイルプリンターで爪の大小に関わらず均一に施術するので、爪が小さくてジェルネイルで思うようなアートができなかった方や仕事や家事で爪が伸ばせない方にもおすすめです。

とうとうプリンターでネイルができる時代がやってきました。

しかも千趣会と言えば、通販事業の大手企業です。

そんな企業がネイルに参入、期待できますね。

特許も出願中

日常業務の一貫として、ネイル関係の特許を閲覧している時に、見つけました。

JPA_2017213267

どうやらプリンターで絵柄を書くために必要な塗り方(層の重ね方)に特徴があるようです。

一般的なジェルネイルは、全て同じような「ウレタンアクリレート」系の光硬化性樹脂でできていますが、「TSUME.CO」はプリンターで絵柄を印刷しているようです。

もしこの絵柄が一般のご家庭にもある水性インクジェット式のものであれば、ジェルネイルは撥水性が強いのでインクジェットは乗らないと思います。

そこでインクジェットを載せることができるような層を作ることが重要になっていそうです。

私ならいわゆるUVインキと呼ばれる、光硬化性樹脂でできたインクをプリンターから出す方が良いのではないかと考えます。

UVインキは読んで字の如く、シャバシャバのジェルネイルを紙などに印刷するといった技術です。

「エースジェル」を作っていたと思われる「十条ケミカル」も同じくUVインクを得意とする会社でした。

最近の光沢のある広告パネル等はこうしたUVインキで刷られていることが多いみたいです。

ネイルの上に直接こうしたUVインキで印刷したら、層を重ねる必要なく、筆では書くことができない絵柄(たとえば写真とか)を書くことができるようになるんじゃないかなと思います。

競合にAutoNail

恐らくネイルプリンターとしては、AutoNailの方が先にスタートしたのではないかと記憶しています。

https://autonail.net/

こちらは残念ながら一本ずつしか印刷できないようですが、コトとしては「TSUME.CO」と同じですね。

プリンターも小さく、四角く、なんとなくAppleの製品のようでかっこいいですが、約10万円程するとのことで、少し高い印象があります。

サロン専売とのことで、こちらもサロンが導入して、お客様に施術するスタイルですね。

セルフネイル向けの簡易プリンターなどもあれば、セルフネイルがもっと捗るようになるのではないかなと思います。

ネイルプリンターの今後

いわゆるAI台頭時代に今は入ってきてます。

AIによって奪われる職の一つに「ネイリスト」も挙げられています。

これはまさにこの「ネイルプリンター」に取って代わるということだと思います。

今はまだ「印刷する」といったことしかできないネイルプリンターですが、たしかにAIがこのプリンターに入り、またはスキャナーも含み、そしてUV硬化型になれば、爪の形や厚み、カーブを読み取り、最適なフォームのベースジェルを塗布し、硬化、続いて絵柄の印刷…といったように全てAIスキャナープリンターで賄える時代が来てもおかしくないように思います。

まだ先のことかもしれませんが、ネイルプリンターがネイリストにとっては脅威になる日がきっとくるのではないでしょうか。

それでも、私としてはハンドメイドのネイルサロンは生き残れると思います。

というのは、ネイルサロンはただ施術をすることではないからです。

2時間、3時間といった時間をかけて施術する中でお客様との対話は非常に重要です。

心地よい空間をご提供することでお客様のリピートに繋がります。

それは決してネイルプリンターではできないことです。

いや、AIもお客様に合わせて話すようになるのだろうか…。

それだとハンドメイドの良さが…?

カテゴリー
エディット カラージェル

タカラベルモント「edit.」回収か

edit.とは

2017年11月に開催されたエキスポにてデビューしたジェルネイルです。

タカラベルモントが製造販売元となっています。

タカラベルモントと言えば、バイオスカルプチュアが有名ですね。

バイオスカルプチュア自体は南アフリカ共和国が原産国となっているので、恐らくタカラベルモントは輸入しているだけと思われます。

バイオスカルプチュアやシェラック等の海外ジェルを販売することで得たジェルネイルの知識を持って、満を持しての「edit.」の販売だったのではないかなと思います。

更に豪華な事に、「edit.」はVETROでアートディレクターをされていた「竹原」先生が監修されています。

華々しくデビューし、3~4ヶ月目でようやくTATで買えるようになっており、気になってはいましたが、不具合が起きているとのことです。

edit.の不具合の内容

詳しくは「edit.」の公式サイトに掲載されています。

edit.冷温時における固化について

このプレスリリースによると、どうやら低温になるとツヤがなくなり、粒が見られる様になるようです。

なぜそうなるのかについては「撹拌不要で、縮まない為」と書かれていますが、実際に何がどうなってそうなっているのかについては書かれていません。

40度程度まで加温すると品質上問題ないとのことですが、なかなか40度まで温めるのは難しいような気がします。

お湯に漬けるのは、ジェルに水が入る可能性があるので、チャック袋などに入れて漬けるのが良いかもしれません。

それこそお風呂に入る時に一緒に連れて行くと手間ではないかもしれません。

必殺技としては電子レンジでの加熱ですが、本当にすぐに熱くなってしまうので、頻繁に様子を見ながらされるのは良いかもしれませんが、どうなっても責任は取れませんので、自己責任でお願いします。

私は時々ベースジェルが冬の朝で硬い時とかにやります。

または時間がかかっても良いならば、一緒に寝るのもありかもしれません。

寝間着のポケット等に袋にいれたジェルを入れて寝ると、朝にはすっかり戻っているかもしれません。

ただこのようにして戻したとしても、または戻りきらなかった場合、粒が残っていれば塗った際にボコボコの原因になる気がします。

edit.不具合の理由

ジェルネイルを作る研究者から見て、これはほぼ間違いなく「ウレタンアクリレート」の結晶化だと思います。

「ウレタンアクリレート」の中には、結晶性が高いものがあります。

結晶性とは、見た目固体のようになってしまうことです。

通常の温度では非常に高粘度の液体であることが多いですが(水飴のよう)、時々低温になると結晶化してしまうものがあります。

すると、モロモロとしたゼリー状になります。

まさにedit.のカラージェルがゼリー状になっているように見えます。

「ウレタンアクリレート」同士の引き合う力が強いものを使用した時にこうした結晶化現象は起きやすい印象です。

恐らくedit.に使用された「ウレタンアクリレート」もお互いに引き合う力が強いものだと思います。

その結果、たしかに強靭な塗膜が出来上がったり、硬化性が良かったりと良いこともたくさんありますが、ゼリー状になるのは困ったものです。

こうしたことが起きないように、通常テストとして低温での保存安定性を確認します。

例えば北海道の冬の朝でも使えるのか、または輸出するのであれば空輸に耐えられるのか、などそうした耐久性は見るべきだと思うのですが、もしかしたら見落としていたのかもしれません。

または逆に高温50度程度での劣化促進テストも行います。

夏場の倉庫内は非常に高温になりやすく、局所的には60度になることもあります。

そうした中でジェルネイルが変性したりしないか、または常温で2年保管した時の状態を数ヶ月で再現したりと、そうしたテストも必ず行います。

edit.は回収か?

恐らく回収になるのではないかと思います。

冬だけとは言え、これが春になっても恐らく一度結晶化したものは元に戻りにくいので(40度以上になる真夏まで待てば自然に戻る?)、今倉庫にあるもの等は回収されるだろうと思います。

既に購入された商品については、イメージの問題もあるので回収しないかもしれませんが、そんなジェル買わないと思ってしまうユーザーも多いと思うので、イメージダウンはいずれにせよ免れないところですね。

ただ回収されれば、次はより良い製品になって帰ってくることは間違いないので、次世代のedit.に期待したいと思います。

もしご購入を検討されている方がいらっしゃれば、お気をつけ下さい。

カテゴリー
カラージェル

カラージェルの退色を防ぐ為にできること

カラージェルが退色する?

ジェルネイルをされている方またはサロンで働くネイリストの方の中には、カラージェルが退色してしまう問題に遭遇したことある人が何人かいらっしゃるかと思います。

カラージェルは残念ながら退色してしまうことがあります。

それはある意味自然の摂理でもあります。

古いベンチやポスターの特に赤が薄いピンクになっているのをご覧になったことがあるかと思います。

これも同じようなことが起きています。

なぜ退色するのか

このポスター等の日光が長時間あたることにより退色してしまったものは、顔料の特性によるものです。

顔料のいくつかは光に弱いものがあり、長い時間光に曝されることで顔料が壊れ退色してしまいます。

ジェルネイルでも結果としては同じような現象が起きる為に退色してしまいます。

具体的には、化粧品のジェルネイルには化粧品として認められた顔料しか配合することができません。

それらの顔料は比較的、光などの外部からの攻撃に弱い性質を持っています。

ジェルネイルにおいても、つけている時に太陽の光は浴びますので、同じように光で退色する可能性もありますが、その期間は長くても二ヶ月程度なので、私はあまりそれを原因とは考えておりません。

むしろ、ベースジェルに含まれる酸やカラージェルを硬化させる光重合開始剤による影響が大きいと考えています。

ちなみにネイルパフェのHPにも同じような記載がありました。

化粧品登録をしている色素を使った場合、必ず色が退色する、というわけではありません。
弊社の今までの商品開発上の実験では、ある特定の化粧品の色素が退色しやすいというところがわかっております。
その色は弊社のカラーの、06レザンや、61グリシーヌ、マグネットジェルのS12エマンマロンなどに入っている色素です。なので、全ての化粧品登録の色素が退色するわけではありません。
また、今までの経験から言えることとしては、「酸が強い」と思われる他社のジェルと、ネイルパフェジェルの組み合わせは退色しやすいということがわかっており、これはまた別のことと認識しております。

どうすれば退色を防ぐことができるか

起こる原因を考えると、対策が見えてきます。

1.光による退色

これはあまり気にする必要もないですし、難しいので対策なしです。

2.光重合開始剤による退色

固まりが良いカラージェルは大抵の場合多くの光重合開始剤を含んでいます。

その結果、カラーが退色しやすいといった問題も起きやすくなります。

発色が良いことは素晴らしいことですが、過剰に開始剤を入れて硬化させ、退色が起きてしまうものを選ぶよりは、少し発色が劣っても退色しないものを選んだほうが、サロンワーク等においてクレームに繋がる可能性は低くなります。

3.酸性ベースによる退色

ベースジェルは常に爪から水分が供給されます。ベースジェルに含まれる酸性成分はその水に乗ってカラージェルに入り込むかもしれません。

そうなるとカラージェルが酸性ベースの酸に犯されて、顔料が退色してしまうので、できるだけ酸性度の低いベースジェルを選ぶことが重要です。

ではどのように酸性度を見極めるかですが、ホイルアートを直接ベースジェルに施し、クリアで仕上げて過ごすと、ホイルアートが消えてしまうものは酸性度が高いです。

ホイルアートは、アルミを使用しています。

アルミは酸性のものに触れると溶けてしまうので、ベースジェルが酸性である場合、時間の経過でアルミが犯されしまいます。

または匂いを嗅ぐといった方法もなくはないですが、アクリル酸イソボルニルやメタクリル酸イソボルニルといった「イソボルニル系」は匂いが強いため、酸性の匂いをマスクしてしまう可能性があります。

または少しお高いですが、pHメーターなどを購入し測定してみると、それぞれのジェルの酸性度が分かります。

または、この酸に触れていなければ良いので、カラージェルとベースジェルの間にトップジェルを挟むのも効果的です。

トップジェルは硬いので水分等も簡単には通過することができない為、酸も同じように通過できません。

退色しないものがベストですが、化粧品顔料を使用する以上避けられない問題の一つでもあります。

カテゴリー
ネイルパフェ 材料

ジェルネイル「ネイルパフェ」の秘密を暴く

ネイルパフェとは

製品へのこだわり、使い心地、質感、
ネイリストの理想をネイルパフェジェルは追求しました。

爪と肌にやさしい
アレルギーレス
ジェルアレルギーの方でも使えるように、やさしい配合にこだわっています。
「ネイルは楽しみたいけれど、アレルギーでジェルが使えない…」
ネイルパフェ ジェルは、アレルギーを引き起こすと言われている成分は使用していません。
日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている成分のみ100%配合した、化粧品ジェルです。
さらに、製造も充填もすべて信頼できる日本国内の工場で製造している「こだわりの国産ジェル」です。
(※全ての方にアレルギーが出ないということを保証するものではありません。)
国内製造にこだわり、
日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている成分成分のみで作っています。
成分設計へのこだわり
イソボルニルアクリレート、アクリル酸、HEMAの3つの成分を使用していません。

書いてあることはすごく立派なことだと思いました。

そしてとても大事なことであり、よくある謳い文句としての「良さそうに聞こえること」ではなく、本当に考えるべき内容です。

ただ、書いてあることだけを鵜呑みにするのではなく、本当にそうなのかをちゃんと確認していきたいと思います。

ネイルパフェカラージェルの全成分表示

ウレタンアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ホスフィンオキシド誘導体、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、シリカ、(+/-)顔料等

さっそくこれらの成分を調べたところ、ウレタンアクリレートとホスフィンオキシド誘導体は、「化粧品の成分表示名称リスト」には収載されていませんでした。

収載されている原料でのみ作ってはいるけど、表示は収載されている名称を使用していないということでしょうか。

もちろんそれは薬機法違反です。

別記事でも申し上げましたが、基本的に化粧品として販売する上では、この「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている材料と、その名称をラベルに記載することが義務付けられています。

これを守れていないということは、つまり化粧品としては販売してはならず、自主回収の対象です。

ネイルパフェベースジェルの全成分表示

ウレタンアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ホスフィンオキシド誘導体、メタクリル酸、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン

こちらも先程同様、ウレタンアクリレートとホスフィンオキシド誘導体がリスト外の成分です。

ちなみに、ホスフィンオキシド誘導体とは、恐らくトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのことで、光重合開始剤です。

一般的なLEDライトの波長405nmの光を吸収し、硬化させるための光重合開始剤です。

また一つ気になる成分として「メタクリル酸」が含まれていました。

メタクリル酸はそのまま読んで字の如く「酸」です。

しかも、非常に腐食性が高いと言われている「アクリル酸」にメチル基(炭素1個と水素3個)が増えただけの、それほど大きく異ならない成分です。

私なら絶対にジェルネイルには配合しない成分の一つです。

強烈な不快な匂いがします。

もしかするとネイルパフェのベースジェルからはそんな匂いがするかもしれません。

全成分表示はどこから入手しているのか

ネイルパフェを援護するわけではないのですが、恐らくこのメーカーもいわゆるOEM製造を委託しているのだと思います。

つまり自社で工場は持たず、ジェルネイルを作れるメーカーにお願いしているということです。

そうなると、そのジェルネイルを設計した人(会社)から全成分をもらうことになります。

一般的にこうしたネイルメーカーには薬機法等に強い人がいない可能性が高いので、結果としてOEM先から出てきた全成分をそのまま信じて、それが正しいのか確認することなく、ラベルを作製してしまうといったことが起きているのではないかと思います。

売り文句としてはすごく良い言葉が並んでいましたが、実態は少々残念であると言わざるを得ません。

もしかしたら今はもうラベルが変わっているかもしれませんが、そういった不確かなまま製品化したこともまた事実です。

良いジェル・悪いジェルを見極める術を惜しみなくこれからも公開していきますので、皆様自身で良いものを選んで永くジェルネイルを楽しんで下さいますようお願い申し上げます。

 

カテゴリー
化粧品 材料

ジェルネイルの作り方

ジェルネイルの作り方を考える意味

「ジェルネイルを作ってみよう」といったクックパッド的なお話ではなく、ジェルネイルがどんな材料で、どんな風に作られ、どんな管理が必要かといったことを知っておくことが重要だと私は考えています。

ジェルネイルの材料については別の記事でご紹介しているので、そちらも合わせて読んで頂けると、より理解して使うことができるかなと思います。

ジェルネイルの材料

ジェルネイルの最終的な良し悪しは好みを含めて、使い心地であったり、硬化性だったり、色目だったり、そういった「性質」であることは間違いありません。

ただいくら性質が良いとしても、正しく安全に作られているかどうかといったことは中々消費者には分からないことですが、そこまで考えていくことがプロフェッショナルには必要なんじゃないかなと思います。

少し違った話にはなりますが、最近日本企業のずさんな品質管理などが問題になっています。(タカタ、神戸製鋼、日産自動車等々…)

ジェルネイル業界、化粧品業界においても同じことがないとは言い切れません。

タカタはさておき、神戸製鋼や日産自動車の問題は最終的な「性質」には大きな影響、いや全くといっていいほど影響はなかったのではないでしょうか。

車が走らない、途中で壊れるといったこともなく、作ったアルミ製品が破損したりすることもなく、ただその検査体制等が決められたルールを守っていなかったということです。

それでも、それは間違いなく批判されることです。

ジェルネイルも最終的な「性質」が良いからといって、それで良いのでしょうか。

どんなメーカーがどんな風に作り、どんな品質管理を行い、市場に出しているのか、それを知ることもやはり重要ではないでしょうか。

ジェルネイルの作り方

ジェルネイルの作り方自体は非常に簡単です。

材料であるウレタンアクリレート、アクリルモノマー、光重合開始剤それと顔料やフィラーといった添加剤を入れて混ぜるだけです。

原料を入手することができる製造メーカーであれば、誰でも作ることができます。

ただ作るだけなら。

もちろん、ジェルネイルの良し悪しを決める「性質」はその材料の選択や量といった処方の違いによって生まれてきます。

でも、その「処方」が一緒であっても、「性質」が変わってくるのが、「作り方」です。

これは料理とかと同じですね。

良いジェルネイルの作り方

第一にジェルネイルは化粧品であったり、化粧品に準ずるような雑貨品であることから、埃等の異物が混入すること、菌類が混入すること等を絶対に避けるべきものです。

なのでクリーンルームと呼ばれる設備で作られることが好ましいです。

防護服みたいなものを着て、髪の毛等が入らないように、入室前にはエアーシャワーを浴びて、ダストを飛ばし、靴などもちゃんと履き替え、粘着テープ等で埃を落として、手は消毒をしっかり行い、さらに手袋をすることが望ましいです。

ここまでは一般的な化粧品において製造する環境と同じですが、ジェルネイルは蛍光灯でも硬化する性質があります。

そこでイエロールームと呼ばれる紫外線等を遮断するフィルムを蛍光灯などに巻き付け、ジェルネイルが硬化する波長(405nmくらいまで)をしっかりとカットすることが必要です。

そうした環境で作られたジェルは一切光が当たっていないような条件で作れる為、先日のトリネのジェルのように「日焼けした」や「硬化の恐れが」といった話には絶対になりません。

ジェルネイルを作っているメーカーの中には、あまり資金力がないところも多く、そういった設備を準備できていないところも多いのかもしれません。

どんなところで作られているかを知る術はありませんが、ジェルネイルがどのように作られている可能性があるかを知っておくだけでも違うかなと思います。

最終的な「性質」だけに惑わされず、正しいご判断で「良いジェルネイル」を見つけて下さい。

カテゴリー
材料

新たなジェルネイルメーカーの参入

新たなジェルネイルメーカー

特許をJ Plat Patで調べていたところ、これまでにないメーカーからのジェルネイルに関する特許が出願されていました。

JPA_2018016570

【出願人】ケーエスエム株式会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)~(C)を含有し、組成物不揮発分中の30重量%以上が水酸基含有(メタ)アクリレート (A)であることを特徴とする美爪料。
水酸基含有(メタ)アクリレート (A)
不飽和基を有するシランカップリング剤 (B)
光重合開始剤(C)
【請求項2】
更に、シリカ粒子(D)を含有する請求項1記載の美爪料。
【請求項3】
更に、ウレタンアクリレートオリゴマー(E)を含有する請求項1又は2記載の美爪料。
【請求項4】
ベースコートとして使用されるものである請求項1,2又は3記載の美爪料。

この特許について見ると、全体のうち30%がOHを持つモノマー(HEMAやメタクリル酸ヒドロキシプロピル)であり、シランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)も含む、といったベースジェルを特徴としています。

ちなみにこのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を含むベースジェルとしては、プリジェルやシャイニージェルのベースが該当します。

もしかしてケーエスエム株式会社が作っているのかもしれませんね。

ケーエスエム株式会社とは

ケーエスエム株式会社は”ケミカル・アーティスト”としての自覚と誇りを持つ先端技術頭脳集団が集結し、高付加価値のある新しい高機能性樹脂の研究開発に努めております。

具現化された化合物について、研究プロセス、技術開発プロセス、生産プロセスへと展開し、革新的な高機能性樹脂を世の中に提供します。
また、紫外線硬化型樹脂を中心に、ハードコート、電子材料、水性化樹脂、精密接着剤の分野でも活躍し、人々の生活の質的向上に向けて社会貢献致します。

研究から製造までの幅広い分野で、お客様のニーズにお応えすることをモットーとし、お客様はもちろん、社員にとっても無くてはならない”企業”を目指し続けていきます。

どうやらウレタンアクリレートのメーカーのようです。

電材関係を中心にされているようですが、ジェルネイルも作るようですね。

こうしたウレタンアクリレート等の原材料を作るメーカーがジェルネイルまで作るパターンも多くなって来たように思います。

噂ではVETROを作っているところが、ウレタンアクリレート樹脂を作るメーカーだとか。

今後のジェルメーカーの動向

こうした原材料メーカーがどんどん参入してくると、これまでは電材用途等に設計されてきた原材料が、ジェルネイル用途に設計されるようになるかもしれません。

そうなると今まだ問題になっている、持ちの問題や、オフの問題も解決できる可能性があります。

原料の発展にも大いに期待したいです。

カテゴリー
トリネ 回収事案

トリネ クレンジングジェル回収!!

トリネとは?

TAT専売の2017年に出た新しいジェルネイルです。

TRÏNA=TRIP+NAIL

旅する女性、その非日常的な出来事を毎日感じられように。
非日常な出来事との生活をリンクさせる架け橋になれたらと、TRIP(旅)+NAIL=TRÏNAは誕生しました。

100 色以上有るカラーラインナップの名称にも特徴があります。
施術するネイリストだけではなく、 お客様に伝わりやすく覚えて頂けるよう、世界各地の地名を使用しています。

TRÏNAカラージェルが塗られた爪から連想する、新しい旅立ちをお手伝いします。

エキスポかBWでデビューした時はすごく売れててびっくりしました。

容器も可愛くて、良いなあと思っていましたが、化粧品ではなかったと思います。

(もしお持ちの方がいれば、側面ラベルか裏面ラベルを見て下さい、化粧料とかいてなければ化粧品では基本的にありません。)

トリネの回収内容

回収の内容をTATに確認したところ、もう掲載されていませんでした。

回収事は印象良くないですからね、消したのかもしれません。

別サイトに回収の内容があったので、下記に記します。

「トリネ クレンジングジェル 100mL」で、ごく稀に容器内のクレンジングジェルが硬化してしまう事例が確認されていることから、手元の商品が硬化している場合は返金対応する。黄ばみがかってくるという報告も稀にあるが、 直射日光の照射による「日焼け」のような状態で、商品の品質には影響はないため、そのまま使用できる。

ジェルネイル研究者としては、いやいや…と言いたいです。

硬化するために必要なことは光があたる、または熱がかかることです。

一度光があたったジェルは反応が停止しているようで、暗反応が進行します。

暗反応とは暗いところでも起きる反応です。

つまり、このジェルネイルは遮光された環境等では作られておらず、光あたるような場所または熱がかかるような製造をしている、そのもの自体品質として好ましくない製造方法で作られていると考えられます。

そのようなジェルを使うのが良いのか…ご判断下さい。

今硬化していないとしても、もう光や熱が既に新品の状態なのにかかっている製品であることは間違いありません。

 

 

カテゴリー
プライマー

ジェルネイルの持ちを良くする為にはプライマーを塗るべき!

ベースジェルが浮く理由その1:応力

プレパレーションをしっかりとし、ベースジェルを塗り、規定の時間で照射し、完璧に施術したとしても、2週間くらいで浮いたり、欠けたりしてしまうことがあります。

これはなぜ起きるのでしょうか。

塗られた瞬間は爪とベースジェルはしっかりとくっついているように見えます。

ところが、そこには力がかかっている場合があります。

これが応力と呼ばれるものです。

ジェルネイルは光硬化性樹脂であり、硬化する時に体積が約10%程収縮することが知られています。

つまり、ベースジェルを爪に塗って硬化させても約10%程は収縮してしまうので、爪とジェルの界面に応力がかかります。

その結果、少しの力がジェルネイルに加わるだけで、応力を緩和させようとして爪から剥がれるといったことが起きます。

一見、硬化後に縮み等が見られないベースジェルでも、ほぼ間違いなく硬化収縮は起きており、応力がかかっていることは間違いありません。

比較的硬化後の硬度が高いジェル(トップジェルのような)ものはその硬化収縮も大きくなる傾向にあります。

その点からもベースジェルは爪への追従性が良い、硬化後の硬度が低い、柔らかい(決して粘性・粘度のことではありません)ものを選ぶほうが良いかもしれません。

ベースジェルが浮くその理由2:水分によるソークオフ

爪からは絶えず水分がジェルネイルにも供給されます。

もちろん手を洗うといった外部からの水の侵入も考えられます。

ジェルネイルはどちらかと言えば構造が緩い、すかすかの樹脂です。

つまり、その隙間にはどんどんと水分が侵入できます。

硬化後の硬度が高いものほど、密度が高くなるので、水分の侵入はし辛くなります。

比較的親水性の柔らかいベースジェルを塗って水につけておくと、一日後にはふやけてブヨブヨになってしまいます。

これはもちろん爪の上に乗っているベースジェルにも同じことが言え、目には見えないレベルでブヨブヨとしてしまう為に、爪との剥離が起こる、つまり水でソークオフされたような状態になっていると言えます。

それを防ぐためには、できるだけ疎水性のベースジェルで、かつ密度が高く水分が侵入しにくいジェルを作るほうが好ましいと私は考えています。

一方でカルジェルのように水分を透過させるといったメカニズムや、シャイニージェルのように水分で網目を補強し、強くするといった考え方もあります。

このあたりは各社の思惑もありますし、人それぞれ、爪それぞれの相性もあるので、どのベースジェルが自分にあっているのかを探す一つの目安になるかもしれません。

ベースジェルが浮くその理由3:爪への接着力の低さ

そもそもベースジェルが爪と接着してなければ、爪からは容易に剥離してしまいます。

これもまたベースジェルの設計の難しいところですが、基本的には酸性成分を入れることで、爪表面にある水酸基等の極性基と結合し、接着性が出ます。

決して、爪を溶かしてくっついているといったことはないので、ご安心下さい。

もし、溶かしてくっついているのであれば、そんな簡単には取れません。

ベースジェルの接着力は、酸性成分の選定と、酸性成分の量と言っても過言ではないかもしれません。

もちろん酸性成分以外での密着も考えられますが、基本的には酸性成分です。

なぜプライマーを塗ると接着力が上がるのか

例えばベースジェルに酸性成分を10%配合すると、ベースジェルと爪の界面には10%しか酸性成分が存在しないことになります。

その10%でベースジェルが爪にくっついていると思って下さい。

それでは不十分な人(人差があるので)には、より酸性成分を増やしたベースジェルも考えられます。

ところが、そうなると酸性成分は基本的に親水性なので、水を呼んでしまいます。

そうなると、水でソークオフの危険性が高まります。

そうなると、いかに酸性成分を爪との接着に使えて、かつ水でソークオフされないかが重要となります。

その時に使えるのがプライマーです。

プライマーはベースジェルの接着に生かせないものを省いた、いわば接着する成分だけでできている上、水分除去もしてくれるといった理想的な下処理剤です。

プライマーを塗ることで、ベースジェルに含まれる接着成分だけが爪に乗り、接着力を大幅に上げることができます。

ソークオフ性もほとんどの場合悪化するといったことはありません。

ソークオフは、ベースジェルがアセトンによって膨潤することによって爪から剥がすことができるようになることであり、爪とベースジェルの界面を剥がすことではないからです。

酸が入っていないプライマーなども売られていますが、それは大きな効果が見込めないと思います。

プライマーを塗ることで、しっかりとベースジェルが爪に密着し、その結果外からの菌によって成るグリーンネイルなども防ぐことができるので、是非プライマーを塗って、オフする時までちゃんとくっついたままのジェルネイルを楽しんで下さい。

カテゴリー
カラージェル 材料

色素沈着しやすい顔料が含まれているカラーに要注意!!

色素沈着って?

マニキュアでベースコートを塗らずにそのままカラーを塗る方は多いと思います。

すると特に赤系を使った時に除光液で落としても爪や指が赤く染まったことはありませんか?

これが色素沈着です。

細かく砕かれた顔料が爪や皮膚の微細な隙間に入ることで簡単には取れなくなってしまいます。

これを防ぐ為にもマニキュアでもベースコートは塗った方が良いと思います。

ジェルネイルでも色素沈着は起きる!

ジェルネイルはマニキュアよりも多くのカラージェルを塗る為、顔料自体はマニキュアよりも多くなってしまいます。

つまり色素沈着が起きる可能性も高くなってしまいます。

ジェルネイルではほぼ間違いなくベースジェルを塗ると思いますが、残念ながらベースジェルだけでは色素沈着を防ぐことはできません。

色素沈着は付けている間に起こっているのではなく、アセトンでソークオフする時に、アセトン中に顔料が溶出し、その染まったアセトンがベースジェルに入り、または爪とベースジェルの隙間に入り込み、ソークオフもされますが、同時に色素沈着も起こしてしまいます。

これを防ぐ為には、ソークオフする前にカラージェルをほとんど削り取っておく必要があります。

色素沈着を起こしやすい顔料

化粧品に使える顔料は限られています。

化粧品に使える顔料の一覧

この中でも特に「赤104」と呼ばれる顔料は、非常に鮮やかな青みがかった赤色で、蛍光のような色なのですが、とても染着しやすいといった性質を持っています。

実際に「赤104」が含まれるカラージェル数社のものを試したところ、ほぼ全てのカラージェルが染着するといった結果が得られました。

本当にきれいな赤なのですが、残念です。

鮮やかな赤のカラーで成分表示を確認した時に「赤104」と書かれていたら、染着する可能性があることを覚えておかれると良いかもしれません。

またサロンワークにおいては、リピートの方にこの系統のものを使ってしまうと、オフ時にクレームになる可能性があるので削りを多くするとまだ多少マシかもしれません。

 

カテゴリー
ベトロ 化粧品 回収事案

VETROも自主回収間近か?!

表示と内容が異なる可能性

前回の記事「VETROの真実」に引き続き、VETRO製品を見ていきたいと思います。

VETROの側面ラベルに記載されている全成分表示は、

ウレタンアクリレート、アクリルモノマー、1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、二酸化ケイ素(+/-)酸化鉄、黄色5号、赤色202号、青色2号、ジオキソチタン、マイカ、グンジョウ、カーボンブラック、ベンガラ

となっております。

前回の記事中で、表示されている名称が正しくないものばかりというお話をしましたが、表示だけではなく内容(本当に入っているもの)と異なる可能性があります。

1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン

VETRO製品に記載されている「1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」は、表示名称としては「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」が正しいです。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとは、下図のような材料です。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは光重合開始剤の一つで、これに光が当たることにより、重合(硬化)が始まります。

このヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの吸収波長域がパナソニック様のパテントに掲載されていたので拝借しました。

縦軸が吸収の強さです。

横軸は波長です。

注意深く見ると、気づくことがあるかもしれません。

LEDライトの波長は405nm付近です。

つまり、下図のところに吸収がなければ、反応できないはずです。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの最大吸収波長は380nmくらいまでなので、405nmは吸収することができません。

ところがVETROの成分表示からは他の光重合開始剤は入っておりません。

つまりこの成分表示が正しければ、LEDライトで硬化するはずがないのです。

おかしいですね。

LEDライトで硬化する為に必要な光重合開始剤

ほぼ間違いなくこの光重合開始剤を入れなければならず、それ以外はありえないと私は思っているものがあります。

それは「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」という成分です。

この光重合開始剤の吸収波長もパナソニック様のパテントから拝借しました。

この光重合開始剤であれば、405nmの波長を吸収があるので、重合させることができます。

この光重合開始剤「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」が記載されていないLED対応のジェルネイルは、表示と内容が異なっている可能性が高いと思います。

これは回収に該当する重大事項ですので、そのようなジェルは決してサロン等ではお使い頂かない方が宜しいかと存じます。

消費者庁にこのVETROの製品を持ち込めば、恐らく自主回収になることでしょう。

そうなる前にVETRO自身が表示名称を正しく表示することを強く願います。

カテゴリー
ベトロ 化粧品

VETROの真実

VETROとは

元々は「ベラフォーマ」という名前で販売されていましたね。

いつからか名前を「VETRO」に変えたことは数年ジェルネイルのお仕事に携わっているネイリストの方や、コアなセルフネイラーの方ならご存知かと思います。

名前が変わった理由については、世界進出を考えた時にアメリカで「ベラフォーマ」の商標権が取れなかったとかで、「VETRO」に統一されたと聞いたことがあります。

各国での商標も考えて製品の名称は決めなければなりませんね。

VETROの特徴

ジェルネイル研究者から見てVETROのカラージェルは中々に優秀なジェルです。

静置している時には流動性がなく、顔料やラメ等の沈降が見られず、塗るともっさりしているのかと思いきや伸びが良い。

また顔料濃度が高く薄塗りでも発色が強く、ムラになりにくいです。

特に筆圧をかけやすいキューティクル周りでもムラになることが少なく、初心者の方にもおすすめできるジェルです。

ソークオフ性も悪くなく、アセトンに数分漬けておくだけで十分にふやけてくれます。

硬化後のジェルも伸びが良く、爪への追従性も悪くなさそうです。

VETROの表示名称

いったいどんな成分から、そんな良いジェルができているのでしょうか。

ウレタンアクリレート、アクリルモノマー、1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、二酸化ケイ素(+/-)酸化鉄、黄色5号、赤色202号、青色2号、ジオキソチタン、マイカ、グンジョウ、カーボンブラック、ベンガラ

化粧品登録されていると、全成分表示をする必要があるので、どんなものが使われているかはすぐにわかります。

以前に「ジェルネイルの材料ー表示名称の見方」という記事を書きました。

そちらで細かな表示名称の見方について説明しているので、お時間あればご覧ください。

一つ一つ確認していきます。

使うのは化粧品工業連合会の表示名称リストです。

ここに一つ一つ名前を入力していくと、それがどんなものなのかわかります。

出てこない場合は、それは化粧品としては原則として使えない成分です。

「ウレタンアクリレート」ありませんでした。

「アクリルモノマー」ありませんでした。

「1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」ありませんでした。

「二酸化ケイ素」ありませんでした。

「酸化鉄」ありました。

「黄色5号」ありませんでした。

「赤色202号」ありませんでした。

「青色2号」ありませんでした。

「ジオキソチタン」ありませんでした。

「マイカ」ありました。

「グンジョウ」ありました。

「カーボンブラック」ありました。

「ベンガラ」ありませんでした。

念のためフォローさせて頂くと、例えば、赤色202号は「赤202」と記載することが正しいだけで、使用してはいけない色素ではありません。

ですが、この表示名称のルールに従うことが化粧品として販売する上での原則ですので、ルール違反であることは間違いありません。

VETROは良い製品なのに…

VETROのカラーは本当によくできていると思います。

一方でその表示名称はあまりにも杜撰過ぎて、絶句してしまいました。

決してこれは製品が悪いということではありませんが、会社のコンプライアンス(法令遵守)といった観点においては欠如していると言えます。

そうした会社が、安全性にまで配慮した製品を製造しているかは分かりません。

ただ表示名称すらちゃんと書けない会社により難しい安全性の確保ができるとは私は思いません。

いつか会社の体質が変わり、より良い製品になることを願っています。

 

カテゴリー
材料

ジェルネイルに使える安全なモノマー

ジェルネイルの安全性

ジェルネイルは化粧品中でも、どちらかと言えば安全ではない分類の製品になります。

特に皮膚に接触する、飲み込んでしまう、目に入るなどは重大な被害をもたらす可能性があるので取扱いには十分ご注意下さい。

ジェルネイルが爪に塗る為、どうしても近くに皮膚に接触してしまうことがあったり、光重合は全てが反応するわけではなく、内部には未反応のモノマーなどが必ず残ってしまう為、ソークオフ時にそれが溶出したりと、ほぼ間違いなく続けている限り皮膚に接触してしまうことは必ずあります。

そうした時に皮膚炎やアレルギーを発症しない、させない為にも出来る限り安全なジェルネイルを選びたいところです。

どんなジェルネイルが安全なのか

化粧品登録がされているジェルネイルだから安全とは限らないといった話を別の記事で紹介しました。

ジェルネイルは本当に安全か

ここでは少なくとも化粧品として販売する製品に使うことができる「表示名称」をもつモノマーについて、一次皮膚刺激性を評価して、安全かどうかを判断したいと思います。

一時皮膚刺激性(P.I.I)はできる限り小さい数値の方が好ましく、2以下であれば安全と判断します。

モノマーの安全性評価

【例】一般名称(表示名称)、P.I.I

テトラヒドロフルフリルメタクリレート(メタクリル酸テトラヒドロフルフリル)、3以上

テトラヒドロフルフリルアクリレート(アクリル酸テトラヒドロフルフリル)、3以上

ヒドロキシエチルアクリルアミド(なし)、0

アクリロイルモルフォリン(なし)、0.5

ジメチルアミノアクリルアミド(なし)、3以上

ジエチルアミノアクリルアミド(なし)、3以上

ヒドロキシエチルメタクリレート(メタクリル酸ヒドロキシチル)、0.08

イソボルニルアクリレート(アクリル酸イソボルニル)、0.6

赤字で示したものは一次皮膚刺激性が高く安全ではないもので、青字は表示名称がないもの(化粧品への使用は原則として認められていません)、紫字はその両方に該当するものです。

こう見ると、使えるモノマーは本当に少ないことがわかります。

お手持ちのジェルを確認してみて下さい。

これらの色付きのものが含まれている場合は安全ではない可能性が高いです。

またここには全てのモノマーを列挙できているわけではないので、ここに該当するものがないからと言って、危険ということではないです。

安全に永くジェルネイルをお楽しみ下さい。

カテゴリー
安全性

妊娠中のジェルネイル

妊娠中に避けるべきこと

妊娠されると胎児への影響を考え、いろんなことを避けるようになると思います。

過度な運動やお腹に負担のかかること、カフェインやアルコールなどの摂取など様々ありますが、ジェルネイルについてはいかがでしょうか。

液体でもなく(硬化すれば)、口に入れるものでもなく、お腹とは直接関係のないジェルネイルですが妊娠中にしても良いのか考えてみましょう。

ジェルネイルによる影響

ジェルネイルは作業として、有機溶剤を使います。

もしオフをするのであればアセトンも使いますし、削るのであれば硬化したジェルも粉塵として舞い上がります。(集塵機を使っても0%にすることは到底できません)

アセトン中には硬化した後のジェルネイルに含まれていた未重合成分のモノマーや光重合開始材が溶出します。

削る際も内部に残っていた未重合層が表面に露出することになるので、削りカスが皮膚炎を起こしたり、アレルギー反応を示したりすることが知られています。

またジェルネイルを付けている最中でも、指で唇を触るなどによって口に炎症が出る場合が知られています。

皮膚科学学会等でも挙げられる症例です。

つまり、ジェルネイルをすること=何かしらのダメージを負う可能性は0ではありません。

胎児への影響

硬化前のジェルネイルの匂いを嗅いだことがある方も多いかと思います。

いくつかのモノマーは独特の香りをもつものがあります。

イソボルニルアクリレート(表示名称:アクリル酸イソボルニル)やイソボルニルメタクリレート(表示名称:メタクリル酸イソボルニル)は、独特の香りを持ちます。

表示名称にこれらの名前があるジェルの匂いを嗅いで頂くと、ほぼ間違いなくその匂いを嗅ぐことができるので、覚えておいても良いかもしれません。

その匂いがすれば、どちらかが入っています。

他にもよく言われるのがベースジェルがすっぱい匂いがする、ということです。

これは恐らく酸性モノマーによる匂いです。

ジェルネイルに使われる酸性モノマーはリン酸系が多い印象です。

匂いがあまりしないメジャーなモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート(表示名称:HEMA)やヒドロキシプロピルメタクリレート(表示名称:メタクリル酸ヒドロキシプロピル)が挙げられます。

ただしここで重要なのは、匂いがしない=安全では決してありません。

また匂いがしない=揮発していないでもありません。

一酸化炭素にも匂いはないですが、吸っただけでほぼ死んでしまいます。

つまりジェルネイルに匂いがないものを選んだからといって、その成分は揮発していない訳ではなく、空気中にはかならずモノマーが飛散している状態になるので、モノマーを含んだ空気を吸うことになってしまいます。

そしてそれが胎児に影響があるかどうか、といったことはまだ結論付けられていませんが、それらの成分に皮膚炎を起こすあるいはアレルギー性があることを考えると、決して良いものではないだろうと想像できます。

妊娠中はネイルを控えるべき?

妊娠したからといって今までジェルネイルを楽しまれていた方はすぐに辞めるのは難しいかもしれません。(爪がペラペラ、綺麗でいたい等)

とはいえ、従来のマニキュアと呼ばれるシンナーのような匂いがするものは、ジェルネイルとほぼ同じくらいに良くない成分で構成されています。

なので私からのおすすめとしては最近発売された「水性ネイル」です。

水とエタノールを主成分として(消毒液)、そこにポリマーが分散しています。

溶剤型のマニキュアとは異なり匂いはほぼありません。

主成分が水なので飛んだとしても水蒸気となります。

こうしたものであれば取るのも簡単ですし、まだ差し支えないのかなと思います。

ジェルネイルをこれまで楽しまれていた方にはちょっと苦痛かもしれませんが、その期間はちょっと避けられた方が良いかもしれません。

母子ともに健康にストレスなく妊娠中をお過ごしいただければ幸いです。

 

カテゴリー
特許

どこがジェルネイルを作っているか

ジェルネイルの製造元

業界禁断テーマの一つです。

どこがどこのジェルネイルを作っているか。

出所が定かではない情報としては私もいくつか持っています。

(詳しくは「自主回収となったエースジェルの真実」をご覧ください。)

曖昧な情報をこのブログでは発信したくないので、証拠を揃えてお伝えしようと思います。

(あいまいな情報が飛び交いすぎているジェルネイル業界なので…、ノンサンディングジェルが爪を溶かすとか、化粧品だから安全とか…)

特許検索

どこが作っているかを探すには、「特許検索」しかないと思います。

多分、一般の方であればほぼ馴染みのないことかと思います。

我々研究者は、毎週欠かさず検索してるといっても過言ではありません。

私はほぼ毎日他社特許をチェックしています。

特許の検索には有料ソフトなどもありますが、特許庁の「J-Plat Pat」がタダで使えるのでお勧めです。

ここでテキスト検索や分類等、番号等で検索することができます。

かなり範囲は広くなりますが、「要約+請求の範囲」に「爪」といったキーワードで検索すると、「爪」という言葉が権利化したいことを表した文章に必ず含まれる特許を見ることができます。

結果77,590件見つかりました。

それだけ多くの特許申請が「爪」だけであります。

ここからは検索の妙になりますが、「爪」は「つめ」とも言えますし、「ツメ」とも言えます。

また「ネイル」といった言葉でも表せるので、OR検索(AorB:AかBの言葉で良い)を実施する方が漏れがなくなります。

「爪」だけでの検索では、「爪オイル」なのか「爪切り」なのか、そうしたものも含まれ、ジェルネイルにだけ絞ることは出来ていません。

そこでジェルネイルの特徴を「特許的言葉」で指定することが必要になります。

特許的言葉

なぜそんなことを考えなければならないかというと、「ジェルネイル」で検索すれば早いじゃないかと、そう思われるかもしれませんが、残念ながら皆が共通して「ジェルネイル」のことを「ジェルネイル」と特許上には記載してくれていません。

これはおそらく「ジェルネイル」の定義が曖昧だからだと思います。

「ジェルネイル」って何ですか、と問いかけた時に、範囲に漏れがなく説明できるかどうかは、怪しいと思います。

ある人に言わせればプライマーもジェルネイルかもしれません。

溶剤と光硬化樹脂を含むものもジェルネイルかもしれません。

でも、一方の人はそうではないと思うかもしれません。

そうなると、「ジェルネイル」という言葉が、何を示すのか、人によって解釈が異なることになってしまいます。

つまり、「ジェルネイル」で権利化してしまうと、ある人は「いやいや、この商品はジェルネイルではないので、あなたの特許を侵害していません」といった主張をされてしまうかもしれません。

そうしたことは争いの種になりますし、もちろん重大な損失に繋がったり、会社に体力があれば法廷で争うことで決着は付けられますが、まあそうするよりかはそんな多義的解釈ができる「ジェルネイル」という言葉をあえて選ぶ必要はないのです。

より具体的にことを表す言葉の方が適しているのです。

その一例として「光硬化性樹脂」や「光重合性樹脂」、「ラジカル性樹脂」や「反応性樹脂」といった言葉が挙げられます。

イメージとしてはジェルネイルより大きな範囲を表す言葉がこれらのワードになります。

検索ワード

検索ワードを最適化することは非常に重要です。

「爪」と「光硬化」で検索したとしても、「爪」と「光重合」と記載されている特許は見つけることができません。

「爪」「光重合」「光硬化」と記載しても、「爪」「光反応」の特許は見つけることができません。

なので、関連する思いつくワードをすべて入れてあげることが重要となります。

とりあえず、今日はテストとして「爪 つめ ツメ ネイル」と「光重合 光硬化」で検索してみました。

全部は紹介できませんが、119件ヒットしました。

上から株式会社千趣会、株式会社サクラクレパス、穗曄實業股▲ふん▼有限公司(中国でしょうか)、富士フイルム株式会社…有名な会社が多いですね。

内容まで確認しておりませんが、こうした大手企業が実はジェルネイルを作っているようです。

この特許を一つ一つ確認し、表示名称に当てはめると、どこの製品をどこが作っているっぽいことがわかります。

ぜひまずは検索をして、見てみると勉強になるかもしれません。

化学系のこともぜひ、とっつきにくいと思わず、ちゃんと説明できるネイリストになって頂き、お客様に安心して施術して頂けるようにして下さい。

カテゴリー
トップジェル ライト 材料

ツヤツヤのトップはどうやって作るか

トップだけが艶がでる

トップを塗ってふき取ったときに艶が出なかったら悲しいですよね。

なぜベースジェルでは艶がでないのか(でるものもありますが)。

なぜカラージェルでは艶がでないのか(でるものもありますが…)。

なぜトップなら艶がでるのか、どうしたら艶が出るのかを考えていきたいと思います。

艶がでる仕組み

ご存知の通り、ジェルネイルの硬化(ラジカル重合)は酸素阻害を受けて、表面(酸素に触れている面)に未重合層が発生します。

未重合層の下の層は硬化している層です。

この層がしっかりと硬化しており、未重合層をしっかり取り除くことができれば艶を出すことができます。

つまりトップの艶の差はジェル自身のもつ硬化性と酸素阻害の受けやすさ、それとライトとの相性によります。

さらにふき取り方によっても艶の出方は変わります。

トップのふき取り方とは?

未重合層をしっかり取り除くことが大事とお伝えしましたが、ジェルネイルは基本的に油性の為、水等では除くことができません。

つまり本来手消毒用のエタノール水等ではしっかりと未重合層を取り除くことは難しいです。

ただモノマーの選択によってできる限り水性に近づけることはできる為、そういったジェルの未重合層は水溶性に寄る為ふき取りやすくなります。

例えばHEMAはそれ自身が水に溶けるほどなので、HEMAを多く使っているジェルは未重合層が取り除きやすいです。

また別の方法としては未重合層の量をできるだけ少なくすることでふき取る量を少なくし、艶を出しやすくするといった方法もあります。

こういったジェルはどちらかと言えば硬化熱も高くなる傾向にある為、注意が必要です。

水系では拭えないとすれば、アセトン等でふき取れば良いとなるかもしれませんが、あまりお勧めできません。

光重合系の樹脂はライトに晒されている間だけ重合が進むのではなく、その後もアフターキュアと呼ばれ、ずっと硬化を続けます。

つまりライトから出したばかりのジェルはまだ硬化が十分ではないので、アセトン等で拭いてしまうと硬化層が溶けてしまうので艶がでないことがあります。

どうすれば艶がでるか

どのジェルもこうすれば艶がでるということはありません。

各メーカーの思惑があるので、それに沿った硬化のさせ方、ふき取りの仕方が重要になります。

仕上がりが固めのジェルは、硬化性が良いのでどちらかと言えばふき取りはしっかりした方が艶が出ます。

仕上がりが柔らかいジェルは、逆に優しく吹いてあげないと傷がついてしまうことがあります。

またワイプが良いのかコットンが良いのかもメーカーに依ります。

傾向としては、固めのジェルはワイプでも大丈夫ですが、私の感覚としては多くのジェルはコットンの方が艶がでる印象があります。

おそらく厚みがあるためにしっかり拭き取ることができるのではないかと思います。

5本の指の中で1本だけ曇る!?

ということはありませんか?

サロンワークをしていると、こういうこともあるかなと思います。

これはおそらくふき取りやジェルの問題ではなく(ポリッシュタイプ等であまりにもうっすら塗るとそういうことも起きたりしますが、それは別として)、ライトの問題であることが多いです。

特にLEDライトを使ったときに起きます。

というのは、LEDライトの中身を見ていただけるとわかるのですが、ライトは間隔を空けて設置されています。

この間隔の間やライトの真下に爪がない時に十分な硬化が得られず、艶がでないことがあります。

お手を入れていただく位置をコントロールすることで防げるとは思いますが、正直、そうしたライトは良い製品ではないので、交換されるのもありかなと思います。

艶をしっかり出していくのは難しいですが、ぜひいろいろ試して頂いて、出せる方法を見つけていただければと思います。

 

カテゴリー
安全性 材料

HEMAにアレルギー性はある!

安全性確認のために見るべき項目

ベースジェルやトップジェルに多く用いられているHEMAですが、その安全性について、まずはSDSを確認します。

HEMA SDS

HEMA GHS

SDSで見るべき項目は「11.有害性情報」です。

その材料がどんな有害性を持っているのかはどのSDSにおいてもこの11に記載されています。

昨日の「ジェルネイルは本当に安全か」でもお伝えしましたが、この中でも見るべき項目は「一次皮膚刺激性」と「皮膚感作性」です。

一次皮膚刺激性とは、皮膚等と接触した時にすぐに起こる薬傷のことです。

うるしなどをイメージすると良いかもしれません。

一方で皮膚感作性とはアレルギーのことです。

全員に同じように起こるのが(強い弱いはもちろんありますが)一次皮膚刺激性で、全員には同じように起きないのが皮膚感作性です。

皮膚感作性

なぜ皮膚感作性は全員には同じように起きないかというと、まさしくそれはアレルギーだからです。

花粉アレルギーの方もいれば、卵アレルギーの方もいらっしゃいますよね。

同じように誰にでもアレルギーとは発症するものではありません。

何度接触してもアレルギー性を示さない体質の方もいれば、一度の接触ですぐに示してしまう方もいらっしゃいます。

なので、一度大丈夫だからといって、いつアレルギーになるかは分からないとことが怖いところです。

ちなみにアレルギーは免疫応答が過敏になる為に起こります。

例えば花粉であれば、それほど体に害がないとしても、体が勝手に花粉が入ってきた!すぐに排出しなければ!!と命令を下し、その結果くしゃみや鼻水が多くなり排出しようとします。

HEMAの安全性

HEMAの一次皮膚刺激性と皮膚感作性を見ると、一次皮膚刺激性の値はP.I.Iといった値で洗わすことができ、0~8まであり、0が刺激がなく、8は強い刺激を意味し、HEMAのP.I.Iは0.08と記されています。

一般的に3以上で中程度の刺激があるとされており、2以下が安全性には好ましいとされているため、0.08は安全であると言えます。

ところが皮膚感作性は残念ながらあります。

つまり、接触してもすぐに炎症を起こすといったことはないが、アレルギーを引き起こす可能性はあり、継続して使用することで突然アレルギーになる可能性があります。

 

HEMAは安全ではない?

私の個人的な意見にはなりますが、皮膚感作性があることは確かに残念なことです。

ないにこしたことはないと思います。

しかしアレルギーは卵や小麦粉といった栄養となるものでも発症する可能性があり、更に水や日光といった生きていくために必須と思われるものにすらアレルギーは存在します。

つまりアレルギー性がある=危険とは少し性急すぎる結論とも感じます。

そもそもジェルネイルは皮膚に付着させないことが第一です。

その為にもともとの製品はプロユースとして販売されていました。

※プロであれば、しかるべき技術や知識を身に着けており、誤った使い方をない為、皮膚に接触することなどない、といった前提です。

が、セルフネイラーが増えたことで、そこに市場を感じたメーカーがセルフ向けにも販売したことで、その牙城が崩れてしまったように思います。

どんなものでも誤った使い方をすれば危険になることは明白です。

ぜひ安全に使っていただくようここで正しい知識を身に着けていただければ幸いです。

カテゴリー
化粧品 安全性 材料

ジェルネイルは本当に安全か

ジェルネイルの危険性

ジェルネイルの安全性について、関心が高い話題かと思います。

セルフの方にとっては、自分が使うジェルネイルが安全かどうか気になるでしょう。

プロの方にとっては、お客様への正しいご説明、もちろん安全なジェルネイルの使用等で必要な知識です。

ジェルネイルは本当に安全なのか。

安全性の評価

安全性を評価する上で、具体的に何がどうだから安全なのか、といった基準を決める必要があります。

ますその項目として資生堂の安全項目をご紹介します。

安全性保障項目

①皮膚一次刺激性
化学物質が皮膚に接触した場合に生じる刺激性のことです。

②眼刺激性
化学物質が眼に入った場合に生じる刺激性のことです。

③光毒性
化学物質が日光(特に紫外線)存在下で皮膚に接触した場合に生じる刺激性のことです。

④皮膚感作性
化学物質が皮膚に接触した場合に生じる遅延型アレルギー性のことです。

⑤光感作性
化学物質が日光(特に紫外線)存在下で皮膚に接触した場合に生じる遅延型アレルギー性のことです。

⑥単回投与毒性
化学物質を1回または短時間に反復摂取した場合に生じる毒性のことです。細胞致死量を求めることで、その毒性の強さを分類することができます。

⑦遺伝毒性
化学物質が細胞の染色体や遺伝子・DNAなど遺伝形質を担う物質に及ぼす毒性のことで、発癌性の予測にも用いられる試験項目です。

⑧反復投与毒性
化学物質を一定期間毎日繰り返し投与した場合に生じる全身毒性のことです。毒性の種類や程度を把握するとともに、毒性変化が発現しない量(無毒性量)を推測します。またその物質の全身曝露量を算出して無毒性量と曝露量を比較することにより、全身に対するリスクを評価します。

⑨生殖発生毒性
化学物質が、雌雄の生殖機能または生殖能力の障害や、子孫の死亡、発育遅延、形態的および機能的影響を与える毒性のことです。その程度から毒性変化が発現しない量(無毒性量)を推測します。またその物質の全身曝露量を算出して無毒性量と曝露量を比較することにより、生殖発生毒性に対するリスクを評価します。

この9項目において評価し、安全かどうかを判断します。

ただしこれは国に指定されている、化粧品ならば必ずしなければならない、ということではありません。

少なくとも光毒性や光感作性をジェルネイルで言うのは少し違うようにも思います。

ジェルネイルの安全性評価

これらのテストを行う為には動物試験も可能ですし、代替試験も考案されていますが、いずれにせよ莫大な費用を必要とします。

これらをすべて行うことが確かに好ましいは好ましいですが、難しいのが現状かと思います。

そこで最低限みたい項目が、「一次皮膚刺激性」と「皮膚感作性」です。

基本的にこの安全性の評価は「皮膚」という吸収しやすい組織の上に乗せた時に、吸収されていたものがどう影響するか、ということを調べてみます。

ジェルネイルはもちろん皮膚ではなく「爪」という生きてはいない細胞でもないタンパク質の組織に乗せるイメージの為、これらの試験方法によって得られる安全性の評価がそのままジェルネイルの安全性と言えるかどうかは難しいところです。

もちろん、施術中に皮膚に付着する、オフ時に削ったジェルが皮膚に付着する、アセトン中に溶出したジェルの成分が皮膚に付着するということは十分に考えられる為、皮膚への影響が少ないことに越したことはありません。

どのように安全性を確認するか

本来であればジェルネイルのメーカーがその試験を実施していれば、結果を持っていると思うので、開示をお願いすれば頂ける可能性がありますが、そういったデータは公開する義務はないので難しいかもしれません。

となると、自力でどこまで調べられるかです。

製品としてのデータは当然メーカーしか持ちえないので、含まれている成分からその安全性を確認します。

その為には成分のSDSを入手し、安全性の項目を確認します。

全成分表示に書かれている成分一つ一つのSDSを確認することで、その製品の安全性を評価することができます。

また別記事にてある製品の安全性評価をしてみたいと思います。