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安全性

新型コロナウイルスにより”ビューティーワールドジャパン”中止のお知らせ

ビューティーワールドジャパンの中止

新型コロナウイルスによりネイルだけならず、美容関係の最大のイベントであるビューティーワールドジャパンが中止となってしまいました。

2020年4月20日(月)-22日(水)東京ビッグサイトにて開催を予定しておりましたビューティーワールド ジャパンの開催中止を決定いたしました。

事務局では、新型コロナウィルスの感染拡大のなか、できる限りの感染防止対策を講じた上での開催を目指してまいりましたが、開催における参加者の感染リスクを完全に排除できないとの判断に至りました。開催に向けて準備を進めていただいた出展者様、来場を予定していただいた来場者様のほか、関係者の皆様には誠に恐縮ではございますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

2020年3月17日
メッセフランクフルト ジャパン株式会社
ビューティーワールド ジャパン事務局
東京ネイルフォーラム事務局

新型コロナウイルスとは

新型コロナウイルスは聞き覚えのあるSARSや中東~欧州で流行ったMARSと同じ分類のウイルスです。

現在はCOVID-19という名前で呼ばれています。

COVID-19の大きな特徴は、比較的長い潜在期間(感染してから発症するまでの時間)と非常に強い感染力です。

今のところ空気感染は恐らくないとされていますが、飛沫や接触により容易に感染することが確認され、その結果現在のような世界中で多くの人が感染することに繋がっています。

ただし感染した場合に、健康な方であれば38℃程度の熱が数日続くのみで、比較的重い風邪と同程度です。

重視しなければならないのは、高年齢(70歳以上)の方の感染です。

最も死者の出ているイタリアでは、お亡くなりになった方の年齢の中央値は80歳となっています。

またお亡くなりになった方の大半は既にいくつかの持病(呼吸疾患、心臓疾患、糖尿病、肝疾患等)を抱えていた方がほとんどです。

COVID-19の封鎖は事実上できない

当初、政府はCOVID-19の封鎖を検討しました。

中国では武漢の交通網を遮断し、封鎖を図りましたが、失敗しました。

日本でもダイアモンドプリンセスを横浜港に停泊させ、客員を下ろさないという手段を取り、世界中から非難も浴びましたが、できるだけ封鎖しようという試みでした。

しかし、検査で陰性だった方も後に陽性になるなど、結果的に封鎖に失敗しました。

アメリカの対応は早く、中国や韓国からの入国をすぐに制限しました。

欧州も同じように感染国からの入国を制限し、COVID-19が入ってこないように試みましたが、失敗に終わりました。

となると、封鎖ではなく新たな方法を考える必要があります。

国民総感染による免疫の獲得

日本政府は公言していませんが、国民総感染による免疫の獲得を計画していると思います。

これはUKと同じ政策です。

封じ込めができなければ、抗体を作らせるしかない。幸い、COVID-19は健康であればそれほど重篤化しないので、健康な人が感染するには問題がないという考えです。

昔、近くの子どもがおたふくかぜに罹ったら、貰いに行くという習慣がありました。

それと同じように少なくとも一度罹ることで抗体は作ることができるはずです。

そうして重篤化する前に抗体を作り、今後、重篤化することを防ぐというアイデアです。

この政策にはおよそ国民の40%が感染する必要があり、夏以降まで時間を要することが見込まれています。

隔離すべきは高齢者

このことから、日本政府は欧米などとは大きく異なり、大きな自由の制限をかけず、テレワークを推奨はするものの、レストランなどは通常通り営業し続け、交通網にもほとんど制限をかけていません。

つまり意図的に潜在的な感染者を増やし、不用意に検査を行わず、じっくり蔓延させようという狙いがあります。

そうすることで、健康な人は、穏やかにCOVID-19に感染し、抗体を獲得できます。

一方、本当に見なければならない重篤患者にベッドを用意し、手厚い看護と適切な治療を施すことにより、死者を最低限に留めているため、時期的に早い段階から感染が確認されていたのにも関わらず、死者数が低いという成功を収めています。

一方、イタリアはともかく、感染者数が同程度のUK、首都ロンドンでもlocking downと呼ばれる、町の閉鎖が始まっています。

ドイツでは2人より多い人数で会うことが禁止されています。(家族を除き)

こうした動きは、封じ込めをするために検査を行った結果、その感染力の高さからCOVID-19に感染している人の割合があまりにも多く、隔離を行うべく、入院が不要な患者にまで入院をさせ、ベッド残数を減らし、医療従事者が疲弊し、本来見るべき人々が見れず死者も多くなってしまっています。

サロンでできる新コロナウイルスCOVID-19対策

新コロナウイルスがクラスター(集団感染)する条件として、

人が密集するところ

換気が悪いところ

会話がある

の3条件が揃うところです。

ネイルサロンはそれに該当する為、もし無症状であってもコロナウイルス患者(キャリア)が来店された場合、スタッフや他のお客さんに感染する可能性があります。

そこで、クラスター化を防ぐ方法としては、まずはお客さんに手洗いをして頂くことです。

それが難しければ、消毒用のエタノールでまず手指消毒をまず行うことです。

普段ならばまず手を確認し、オフからまたはデザインの話をする際に手を触ると思いますが、必ずその前に手指消毒をスタッフとお客さんどちらも行うことが必要です。

その上で、お客さんにもマスクの着用をお願いし、できるだけ面と向かって会話しないようにすることです。

また定期的に換気し、外気を取り入れることも重要です。

空気清浄機ではコロナウイルスが死滅するかどうかわからない為、換気にはなりません。

こうした対策はお客さんにも安心感を与え、今のネイルサロン離れも少しは改善できると思います。

COVID-19は大変な影響を世界に与えていますが、それに負けずに頑張りましょう。

 

 

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セルフネイル フルーリア ライト 安全性

UVで上手にジェルネイルを硬化させる方法

ジェルネイルの硬化方法

ジェルネイルの硬化方法にはいくつか種類があります。

昔ながらのUV硬化、最近中心になってきているLED硬化、その間にCCFL硬化といったものもあります。

どのように違うかというと、UV硬化はまずライトが5000円以下でも手に入る程安いです。

一方、ライトの出力は徐々に下がってくるので、気づかないうちに硬化不良を起こす可能性があります。

波長としては365nmの光を使っており、紫外線領域なので目などにはあまり良くないです。

また照度も低いため、硬化させるのに時間を必要とします。

LED硬化はライトが高く、5本指の入るものだと10000円以上します。

時々8Wくらいの簡易LEDのようなものもありますが、それですべてを賄うのは難しいと思います。

LEDの良いところは、一般的な使用の範囲では出力の大幅低下がないことです。

また波長も405nmの可視光を使っており、光自体は悪いものではありません。

一方照度は高いので、短時間で硬化させられますが、一方で強い光を見るということが目にはよくないです。

またベースジェルやトップジェルでは重合に伴う発熱で熱い思いをすることがあります。

フルーリアUV硬化時間延長

多くのネイルサロンではすでにほとんどがLEDに置き換わっていると思います。

一方でセルフの方、または学生などではまだまだUVライトも使われているのではないでしょうか。

そんな中、フルーリアがUV硬化の時間を1分から2~3分に延長するといった発表がありました。


規格変更(2019.07.11)

フルーリアジェル カラージェル一部商品の硬化時間が以下のとおり変更になります。

【対象商品】
27718カラージェル M14 エンジェルホワイト ★受注発注
49245カラージェル 008 ダブルホワイト

<UV>1分 → 2~3分 <LED>20秒(変更なし)
※使用するライトにより硬化時間が異なります。

なお、長期欠品となっておりました「フルーリアジェル カラージェル 008 ダブルホワイト」は7月16日(火)より再販いたします。

今回の発表は特にマットなホワイトに限定されています。

ホワイトは光を反射しやすい色なので、UVライトで硬化させるのが最も難しい色です。

恐らく、UV1分では、いわゆる半熟になるといったクレームが多く、照射時間を延長してもらうようなお願いをすることが多かったため、このような規格変更をしたのだと思います。

一方でLEDの405nmでは、酸化チタンの白色はその領域に反射を持たない為、比較的白を固めやすいという性質があります。

ただし、白色のジェル特にマットなホワイトのものは非常に多くの時には10%程度酸化チタンが含まれているので、それだけ光の透過は悪くなり、いくらLEDで光が通り易いといっても、十分に硬化しない可能性もあります。

ラジカル重合のメカニズム

ジェルネイルはラジカル重合という仕組みで硬化します。

ラジカル重合とは、エキソオレフィン末端にラジカル種が付加することで、連鎖的に起こる重合の一つです。

ジェルネイルには光重合開始剤というものが含まれていて、365nmや405nmの光を吸収し、ラジカル種を発生させます。

つまりジェルネイルに光を当てることで、光重合開始剤からラジカル種が発生し、そのラジカル種がアクリレート末端に付加し、アクリレート末端が連鎖的に重合することで、液体だったものが固体へと変化します。

ここで光を沢山充てることで、光重合開始剤にたくさんの光を当てることができ、ラジカル種を生む光重合開始剤も増えるため、重合性が良くなります。

この光重合開始剤が、硬化時に使われないと、硬化後もジェルネイルの中に光重合開始剤が残ってしまいます。

すると、日常の光で反応し、白のジェルが少し黄色みがかってきた、やジェルネイルがボロボロになってきたといったよくないことも起きます。

なのでジェルネイルを硬化させるときは、できるだけたくさんの光を当てて、光重合開始剤を全部使うようにすることが望ましいです。

そうすることで、後の悪い変化を起こさせないようにすることができます。

UV硬化の危険性

ただし長時間光をただ当てればよいということはありません。

特にUVライトの場合、先の通り、照度が低いため、光が十分にジェルの奥深くまで当たらず、奥底で重合が不十分になることが多いです。

それはいくら光を当てても、透過しないものは透過しないので、変わりません。

また365nmという光が波長としてはエネルギーの強い分類に入ります。

UV光をずっと当て続けることで、今度は逆に固体になったジェルに悪影響を与えます。

外においてあったプラスチック製品が脆く割れやすいのは、太陽光に含まれる紫外線による影響です。

それと同じことがジェルネイルにも起きるので、当てすぎると逆にボロボロになるきっかけを作り出してしまいます。

外に置くことを前提とした樹脂製品には、光吸収剤はHALSとよばれる物質を入れて、対候性に強い樹脂にしていますが、それらの樹脂製品は熱硬化樹脂が多く、基本的に光で固めて作るようなものはありません。

光で固めたいのに、光で影響を受けない樹脂ってあり得ないですよね。

UVライトで上手にジェルネイルを硬化させる方法

UVライトは弱い光しか出ません。

長い時間あてても、逆効果を生むかもしれませんし、光が届かないところにはいくら当てても届きません。

そこでUVライトでも上手く色の濃い、白や黒、黄色を硬化させるためには、薄く何度か重ねるのがオススメです。

実際に薄く塗ると、膜厚も均一になるので、見た目も綺麗に仕上がります。

カラージェルがボコボコとしてしまうと、それをトップジェルを厚く塗り覆い隠そうとしますが、そうすると硬化熱で痛いといった問題や、トップジェルの厚みに差があるので、結局光が綺麗に入らず、なんだかボコボコしているといったことになります。

薄く、何度か2度3度または4度と塗り重ねることで、綺麗なカラージェル層が作れますし、そうすることでジェルネイル自体のモチも良くなります。

UVライトでもジェルネイルはちゃんと楽しめるので、ご安心ください。

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つめ ベースジェル 安全性

酸性のジェルネイルは本当に爪に悪いのか?

酸性のベースジェル

ベースジェルは爪に密着させる為に酸性成分が入っています。

全成分表示の「アクリル酸(2-プロペン酸)」や「メタクロイルエチルホスフェート」「メタクロイルエチルフタル酸」などがそれに該当します。

アクリル酸やフタル酸はカルボン酸。

ホスフェートはリン酸です。

酸性度で言うとリン酸の方が強いです。

爪組織はケラチノサイトと呼ばれており、その組織に酸が入り込むことにより、アンカー効果を生み、ベースジェルと爪が接着します。

ベースジェルのような親油性の高いものを、生体組織に接着させるためには、こうした親水性の高い成分を入れる必要があります。

酸は爪に悪い?

レモン汁は酸性です。

コーラも酸性です。

昔、コーラを飲むと骨が溶けるといった眉唾ものの話がありました。

もちろんそんなことはありません。

もしそれが本当ならば、コーラ死やコーラによる骨消失死みたいな話題がもっと挙がるのではないでしょうか。

私は聞いたことがありません。

医者が死因はコーラです。と言っていたら少しシュールですね。

もっと言えば、胃液も酸性です。

もともとが酸性の胃に酸性のものを入れて、影響があるのでしょうか。

そもそもコーラやレモン汁は食品です。

食べても大丈夫な酸性のものを爪に塗ると悪いというのはどういうことなのでしょうか。

つまり、酸性だから悪いということは決してありません。

ジェルネイルはそもそも爪に悪い

そもそも酸性のベースジェルといいよりも、ジェルネイル自体が爪に良いことではありません。

ジェルネイルが爪に蓋をすることで、水分が入ってこなかったり、爪から水分が抜けてしまうことで、爪がペラペラになってしまいます。

それを補う為にジェルネイルで補強する、そしてその結果爪がペラペラになるということを繰り返してしまいます。

それを感じさせない為にフィルインといった技術も開発されました。

これはアセトンを使わないという点で皮膚には良いことですが、根本的な問題を解決しているわけではありません。

弱酸性であることを謳ったベースジェルや、アクリル酸を使っていないベースジェルが安全であるかのような広告を良く見ますが、間違った知識です。

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プレスト 安全性

硬化熱のないジェルネイルがとうとう開発された?!

ジェルネイルの硬化熱とは

ジェルネイルをされたことがある方ならば、恐らく誰しもがジェルネイルの硬化熱で熱い思いをされたことがあると思います。

私も開発段階で、特にハードジェルを作って欲しいという依頼があった時に、多官能アクリレートを多く入れた組成を検討し、自爪に塗ってLEDライトで硬化させた時に、ライトから勢いよく手を引っこ抜き、悶えるほどの痛みを経験したことがあります。

カラージェルではあまり感じることのない硬化熱ですが、爪に近いベースジェルや、厚みを持たせることの多いトップジェルでは硬化熱を感じることが多いと思います。

ジェルネイルの硬化は、化学反応です。

化学反応は、多くの場合熱力学にコントロールされています。

つまり熱が発生するということです。

例えば、カイロなどは鉄粉と酸素との化合(酸化)によって酸化鉄になることにより、熱が発生しし、温かく感じます。

これと同じようにジェルネイルも硬化する際に、アクリレート基の二重結合同志がラジカル種によって結合する時に熱が発生します。

つまりアクリレート基が結合する分だけ熱が発生します。

アクリレート基の結合は多ければ多いほど硬化後に硬いジェルネイルが得られます。

硬さを必要とするトップジェルには多くのアクリレート基が含まれており、更に厚く盛る為、使用するトップジェルも多くなり、含まれるアクリレート基も多くなって、結果として異常な熱さを派生させることに繋がっています。

しかしトップジェルからアクリレート基を減らすと、硬化後に柔らかいトップジェルとなってしまい、傷がつきやすい、艶が出にくいなどの問題が起きます。

なので各メーカーはそのバランスを考えながら、トップジェルの設計をしています。

硬化熱を減らすためにできること

今あるジェルネイルを使って硬化熱を減らすことはできるでしょうか。

答えはイエスです。

先ほど述べた様に、トップジェルで特に熱いと感じるのは、盛る為です。

美しい見た目のジェルネイルにするためにはハイポイントを作る必要もありますし、爪がガタガタの人の場合、ベースジェルですべてを埋められれば良いですが、埋めることができなかった場合、カラージェルにもそれが反映され、結果的にトップジェルでその段差を埋める必要があるかもしれません。

更にラメ系のカラーを使った時にはカラーがボコボコになりやすく、またストーンなどを埋めた時には顕著にその付近にトップジェルを沢山使う必要があります。

ではどのように減らすことができるのかと言うと、一度に使うトップジェルの量を減らすことが一番の手です。

ストーンを埋めるのであれば、まずストーン周りだけ止めてしまい、次に薄く全体にトップジェルを乗せ、最後に段差を埋めるようにトップジェルを更に掛けるといった方法が考えられます。

または通常のカラーであっても、まずはカラージェルの保護として薄くトップジェルを乗せ、硬化後そのあとでハイポイントを作るようのトップジェルを乗せるような方法が好ましいです。

しかし、こうした方法はセルフネイラーであればできるかもしれませんが、時間との勝負があるサロンワークにおいては難しいと思います。

そこでサロンワークでは、低照度のライトと高照度のライトを使い分けることをオススメします。

具体的には、6W程度のLEDライトでまず硬化させ、続いて32WLEDなどを用いてしっかり固めるのが良いと思います。

32WLEDライトに1秒だけ入れるといった手法もなくはないですが、それでもその瞬間に硬化は始まるので、熱さを感じることは大いにあり得ます。

ネイル用のライトが、6Wモードと32Wモードのどちらも携えていて、仮硬化に5秒だけ6W照射とかできたら良いと思います。

ぜひ各メーカー様、そのアイデアでライトの製造お願いします。

ネイルラボを運営する松風から硬化熱の少ないトップジェルの特許が申請されていた

トップジェルの硬化熱は研究者として、何とか下げたい気持ちでいっぱいですが、艶や硬さとのトレードオフであることを考えるとできることが少ないというのが現状でした。

アクリレート基の結合だから発熱が大きいのであって、アクリレート基でなければ硬化熱が少ないのではないか?と考えられて近年ジェルネイルでも取り入れられているのがチオールです。

チオール(SH)とはアルコール(OH)のO(酸素)がS(硫黄)に変えられたものです。

硫黄はご存知の通り、温泉などにも含まれているところがあり、独特の匂いがあります。

チオールもまた独特の匂いがあり、決して良い匂いとは言えません。

ただアクリレートも匂いがあるので、配合率によってはそこまで気づくほど臭いの匂いがするということもありません。

このチオールを配合することで、トップジェルの硬化熱はぐんと下げることができます。

松風から申請された特許は、

【請求項1】 (A)1分子内に、少なくとも1個以上の(メタ)アクリレート基、及び少なくとも1個以 上のウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー (B)1分子内に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物 (C)(A)成分及び(B)成分に該当しない、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和結合 を有するラジカル重合性化合物 (D)光重合開始剤 (E)連鎖移動剤、 を含有することを特徴とする光硬化性人工爪組成物。

といった第一クレームになっており、チオールが含まれていることがわかります。

加えて、連鎖移動剤がミソです。

松風の申請された特許によると、

 光重合促進剤を使用する場合の含有量は、用いる光重合促進剤の種類等に応じて適宜設定することができるが、(A)~(C)成分の合計を100重量部として、通常は0.1~5. 0重量部とすることが好ましく、特に0.1~2.0重量部とすることがより好ましい。 これらかかる範囲内に設定することによって、さらに優れた表面硬化性や内部硬化性を発 現すると共に、低い黄変性を有するという効果を得ることができる。

これら連鎖移動剤の添加量は(A)~(C)成分の合計を100重量部として、0.001~1 .0重量部であることが好ましく、また、特に0.01重量部以上0.5重量部以下であ ることが好ましい。これらかかる範囲に設定することによって、さらに光重合に伴う硬化熱による熱痛を低減する事ができ、機械的強度が担保される。

とされています。

表面硬化性が良くなることで、ふき取る未硬化成分が少なくなり、皮膚への付着の可能性も減りますし、艶が出ないといったリスクも減らすことができます。

もしかするとチオールの反応は酸素による重合阻害を受けない為、ノンワイプトップとして使うことができるかもしれません。

サクラクレパスからチオールを含むジェルネイルの保管安定性について特許が申請された

このようにチオールを使ったジェルネイルはいいところばかりのようにも見えますが、大きなデメリットもあります。

チオールはチイラジカルを経由して反応しますが、ラジカル重合というより、付加重合であり、光重合開始剤を必要としない反応です。

つまり保管中に暗所であっても、重合が進む可能性があります。

店頭で、または倉庫で保管しているだけでも重合してしまう可能性がありますし、購入した時に問題なくても、購入後に硬化してしまう可能性もあります。

また反応は基本的に高温化で促進されるため、夏の暑い日に家に置きっぱなしにしておいたり、直射日光のあたる位置にあるだけで温度があがり、硬化してしまう可能性もあります。

そういった危険性をサクラクレパスは懸念してか、チオールを含むジェルネイルの保管安定性に関する特許を申請していました。

 多官能チオール化合物、及びtert-ブチルヒドロキノンを含有し、該tert-ブチルヒドロ
キノンの含有量が300~4,500ppmである光硬化性人工爪組成物。

上記のように、公知の光硬化性人工爪組成物は、硬化性に優れ、かつ塗布し硬化した後
の特性に優れるものである。しかしながら、光硬化性人工爪組成物入り容器を一旦開封す
ると、通常は使い切るまでに長期間を要するので、その保存期間を経過するにつれて、内
容物である光硬化性人工爪組成物が少しずつ硬化
する。その結果として、光硬化性人工爪
組成物の粘度が高くなり、塗布性に劣り、ひいては、十分に綺麗に塗布することが困難に
なる。
 本発明は、このような支障の発生を防止するために、一旦開封した光硬化性人工爪組成
物入り容器を長期間にわたって保存しても、硬化することがなく、粘度が上昇して、塗布
性に劣ることがない光硬化性人工爪組成物を得ることを課題とする

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成物からなる光
硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。

これがまた面白いことに、先の松風の特許は2017年6月22日に申請されており、このサクラクレパスの特許は2017年8月10日に申請されています。

つまり同時期に同じような研究を二社はしていたということです。

それほどその技術がトレンドであったのか、実は同じようなコンセプトの製品開発をしていたのか、または実は共同研究状態で、松風にサクラクレパスが技術提供をしていたのか定かではありませんが、非常に興味深いです。

昔はシャイニージェルからサクラクレパスのジェルネイルが販売されていましたが、今現在ジェルネイルがサクラクレパスからは販売されていないので、松風と共同研究をしており、松風からネイルラボ・プレストブランドで製品が発売されている可能性があると思います。

二社の協業により、硬化熱がなく、保管安定性の高いトップジェルが発売されることを楽しみにしましょう。

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安全性 材料

白い容器のジェルネイルは、中身が硬化しているかもしれない

ストーリージェル365ボンダー容器の変更

ストーリージェル365から販売されているボンダーの容器が白から黒に変更になるそうです。

一体なぜでしょうか。

ストーリージェル365のオフィシャルwebサイトを見ると、


ボンダー
爪とジェルの密着性を高めるためのジェル用下地剤。
酸を含んでいないため、爪に優しいボンダーです。

硬化して使用するジェルタイプのプライマー。

5ml/¥1,790 [17-90]
LED硬化時間30秒 / UV硬化時間120秒

https://www.storyjel365.com/product

つまりストーリージェル365のボンダーは、ベースジェルと同じように光で硬化する樹脂と言えそうです。

そうすると、光が容器を透過してしまうと、中身が硬化してしまう可能性があります。

おそらくストーリージェル365のボンダーも、蛍光灯の下で保管されていたりすると、容器を光が透過して、粘度があがったり、糸引きが見られたりするようになるのだと思います。

ボンダーに含まれる光重合開始剤に光があたり、ラジカル種が生成され、密着性モノマーが重合して、そういった状態になると考えられます。

そうなると、密着性モノマーの分子量が上がってしまうので、爪へ浸透しなくなり、密着性が失われてしまいます。

つまりボンダーとしての効果を発揮できなくなります。

白い容器には要注意

白い容器は見た目にとても良く、清潔感などを与えます。

なので、各メーカー様も最初に白い容器で商品化したいと仰られることが多いです。

白い容器とはつまり、ガラスであれば、スプレー等で白い顔料(多くの場合酸化チタン)を吹き付け、白くしています。

プラスチックであれば、同様に白い顔料を樹脂に混ぜ成型したものになります。

酸化チタンは、日焼け止めなどにも使われることもあるくらいには、光を反射する性質があります。

ホワイトのカラージェルがUVライト等で硬化しにくいことを体験された方も多いのではないでしょうか。

ただ酸化チタンの被覆力(下地を覆い隠す力)は白の顔料の中では高い方ですが、黒の顔料と比べると高くありません。

例えば、カラージェルで真っ白のジェルを作ろうと思うと、酸化チタンを10%ほど入れる必要があります。

一方で真っ黒のジェルを作ろうと思うと、酸化鉄を使う場合は4%ほど、カーボンブラックを使う場合は1%も必要ないかもしれません。

それほど酸化チタンの被覆力は低く、酸化鉄やカーボンブラックの被覆力は高いです。

つまりガラス容器にスプレーで白のインクを吹き付けるにしても、高濃度の酸化チタン等が入ったものであれば十分な遮光性が得られる可能性はありますが、一般的には白くなれば良いという考えが当たり前ですので、光を通す通さないという観点はなく、白く見える容器でも光が通るという事態が起きます。

一方黒い容器であれば、被覆力=遮光性と言い換えれるくらいに遮光性が高いので、下地が隠れるくらい吹き付ければ、自ずと光も通らなくなります。

なので、ほとんどのジェルネイルの容器は黒です。

もし白い容器のジェルネイルをお持ちで、もし要らないのであれば、特にクリアジェル系が入ってる場合、蛍光灯などに近づけておくだけで中身が硬化することを確認できると思います。

そこまでしなくても、容器を通して光の明るさが感じられるのであれば、つまりそれは光を通しているということです。

白い容器でもジェルネイルを長持ちさせる方法

それでもお気に入りのジェルが白い容器で売られていて、でも長く使いたい場合にはどうすれば良いでしょうか。

光が当たることで、容器を透過して、ジェルネイルが固まるというメカニズムなので、アルミホイルなどで包んで光が当たらないような状態にする。

または遮光性のある黒いトレーなどで保管するといったことが挙げられます。

いずれにせよ使用されるときには、できるだけ蛍光灯などからも離して使う、LEDライトやUVライトの光が当たらない場所に移動させることが必要です。

そして使い終わったら、すぐに光が当たらないところへ仕舞う。

そうすることでぐっと製品寿命は伸びると思います。

ただし注意点として、この容器を透過してジェルネイルが硬化するのは、お客様の手に渡ったときから始まることではないということです。

つまりTATなどでお買い物された場合には、陳列されていたものをご購入されると思うので、店頭ですでにほぼ毎日蛍光灯の光を浴びた製品となっています。

インターネットで購入する場合も、どのような状況で保管されているのかわからないため、同じだと考えて良いです。

倉庫等で毎日光があたっているかもしれません。

買った直後なのに、なんとなくどろっとしている、糸引きがある場合にはもう重合が始まっている可能性があります。

つまり製品の性能が発揮されない状態にあるので、使っても効果はないかもしれません。

そういった場合にはすぐにクレームに出して、交換してもらうのが一番だと思います。

私としては白い容器に入ってる製品はおすすめできません。

なぜならば、その製品を売り出したメーカーは、それだけ製品の安定性などを考えずに、見栄えだけの為に白い容器を選んでいるからです。

つまり売れれば良い、と考えていると言い換えれると思います。

または気づいてなかったと申すなら、それだけ見通しが甘く、知識も乏しいメーカーということです。

そんなメーカーに良い製品が作れるでしょうか。

白い容器を採用しているジェルネイルにはご注意を。

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ミスミラージュ 安全性 材料

ミスミラージュ ETトップジェル 一部商品に欠陥

ETトップジェルの欠陥とは

度々化粧品に見られる回収ですが、今回はミスミラージュにて起きたようです。

対外的な発表としては、

「ミスミラージュ ETトップジェル」が原材料メーカー変更に伴う検品不備のため、一部商品がソークオフではなくセミハードであった。溶剤等でオフをするのが困難なため、該当商品を回収・交換。

とされています。

つまり、オフしようと思っても、いくらアセトンにつけていても、セミハードなのでほとんどオフできない状態になってしまうようです。

そうするとトップジェルを削るしかなく、サロンワークや慣れたセルフネイラーの方であればできると思いますが、あまり慣れていない方であれば、爪ではなく皮膚を削ってしまったりする可能性があるので、扱いづらいと思います。

そうして指に傷などを作ってしまうことにより、アセトンでさらにオフしようとすると、アセトンが染みて痛いといったことが考えられます。

それ以上に悪いことは、皮膚は外敵から身を護る為にあるので、削ったりしてしまうと、そこからアセトンに溶出したモノマーが皮膚に侵入し、炎症を起こす、またはアレルギーを引き起こす可能性も高くなります。

皮膚は厚みがあるとはいえ、その構造は同層の積層ではありません。

最表層に少し硬い身を守る層があり、その少し下には柔らかい層があります。

一見、同じ皮膚のように見えますが、削ってしまって、肉が見えていなくても、もちろん血がでていなくても、身を護るはずの最表層はいなくなってしまっているので、いろんなものが浸透しやすくなります。

それは決して良いことばかりではなく、むしろ悪いことのほうが多いのでご注意下さい。

原材料メーカーの変更

ジェルネイルはウレタンアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、光重合開始剤の大きく分けて3つで構成されています。

今回のETトップジェルはソークオフタイプからセミハードになってしまったということで、物理的な物性が変わっているようです。

つまり物理的物性に大きな影響のある成分が変更されたと考えられます。

そうするとアクリレートモノマーかウレタンアクリレートオリゴマーのどちらかであると考えられます。

ウレタンアクリレートオリゴマーの日本国内のサプライヤーはそれほど多くなく、数社ほどです。

アクリレートモノマーも同様で数社ほどですが、ウレタンアクリレートオリゴマーは、各社それぞれ特徴をもたせた構造となっている場合が多いです。

ウレタンアクリレートオリゴマーはその名前の通り、「ウレタン」と「アクリレート」が「オリゴマー」になった構造です。

「ウレタン結合」と「アクリレート末端」を持ち、分子量が少し大きいものをウレタンアクリレートオリゴマーと読んでいます。

どのようなウレタン結合をいくつもたせるか、その間を何で繋ぐか、アクリレート末端をいくつ持たせるかなどによってその性質が変わります。

つまりバリエーションが非常に多いです。

そうすると、あるメーカーのウレタンアクリレートオリゴマーを購入していたとして、原材料を変更したいとなっても、同製品を作っているメーカーはない可能性が高いです。

例えると、ウレタンアクリレートオリゴマーは「テレビ」であり、アクリレートモノマーは「液晶パネルや外側のプラスチック」とも言えます。

東芝のテレビ、シャープのテレビ、ソニーのテレビと同じテレビは別のメーカーからは出ていないはずです。

一方、それに使われている液晶はもともとはシャープですべて製造されていたり、またはLG製だったりと意外と遡ると同じサプライヤーであることもあるかもしれません。

そうなってくると、ETトップジェルの原材料変更はアクリレートモノマーかもしれません。

アクリレートモノマーであれば、同じ構造のものをいくつものメーカーが作っているので、切り替えが容易です。

一方、それだけ構造が明らかで同じようなモノにはなるので、切り替えたところで物性が大きく変化するとも思えません。

同じような構造と思い、ウレタンアクリレートオリゴマーを分子量違いとかで変えたとなれば、ソークオフできたものがセミハードになるなどは理解できます。

どちらかは掴みきれませんでした。

そもそもソークオフやセミハードとは

私もジェルネイルを作る仕事をしている中で、ソークオフなのか、セミハードなのかということを考える機会があります。

厳密に言えば、ソークオフかセミハードか、といったことに定義はありません。

強いていうなれば、ソークオフとは15分ほどアセトンに浸けていおいてウッドスティック等で容易に剥がせるものとなるでしょうか。

ではいったいセミハードとはなんなのか。

ハードではない、でもソフトでもない、それがセミハードなのでしょうか。

ではいったいどれくらいハードより柔らかければ、またはソークオフより硬ければセミハードなのでしょうか。

これはそれぞれの人の感性によるところです。

ある人はアセトン15分漬けて、見た目に変化がなくても、メタルプッシャーで押せばもろもろとトップジェルが削れる状態であればソークオフできていると言うでしょうし、

ある人はアセトン15分漬けて、トップジェルからベースジェルまでつるんと剥がせる状態がソークオフできていると言うでしょう。

ではこのセミハードとはいったいなんのことを指しているのか、私にはわかりません。

メーカーの担当者が「これはセミハード」といえば、セミハードになりますし、「ソークオフ」といえば、ソークオフとして売り出されます。ただそれだけです。

A社のセミハードとB社のセミハードでは硬さが全く違い可能性があるということです。

ある意味、とてもいい加減な指標とも言えます。

とはいえ、ミスミラージュは一体なにをしているのか

というのが、私の本音です。

研究者として、もし原材料を変更するとなれば、ほぼすべてのテストをし直します。

たとえばトップジェルであれば、粘度、レオロジー、トポロジー、硬化性、色、硬度、オフのしやすさ、拭き取りのしやすさ、艶の出方、保管安定性など様々なテストが必要です。

同じようであっても、製造工程で入ってくる触媒が異なる、または原料由来でなにか微量成分が入ってくるということがあっても、最終製品に性能差が出てくる可能性があります。

例えば具体的には、重合禁止剤などが挙げられます。

重合禁止剤はその名の通り、重合を抑制するものです。

サロンワークでライトの下でジェルネイルを扱うとなると、そのライトで硬化してしまってはいけません。

また作業性の面から、容器を開けたまま作業される方もいらっしゃると思います。

そうなるとずっと光に当たることになり、本来であれば硬化してしまいますが、この重合禁止剤を入れることで弱い光にあててもすぐには硬化しないようにできています。

一方でこれは諸刃の剣で、LEDライトやUVライトで硬化させたいときにも硬化させにくくもします。

たくさん重合禁止剤を入れてしまうと、硬化しなくなることがあります。

もともとの原材料よりも変更後の原材料の重合禁止剤が少なければ、環境光で硬化してしまう、または出来上がりの物性に差がでるといったこともあります。

そういったところまで吟味しなければ原材料の変更はできません。

ミスミラージュもそういったところまでちゃんと確認していれば、こうした回収にはならなかったのではないでしょうか。

いつもながらですが、たったこんな簡単な確認ですら行えない(時間的に?人的に?)のであれば、より難しい安全性に関する確認など行えるのでしょうか。

他の会社も同じような原材料使って売ってるし、うちも大丈夫だろうで販売しているような気がしてなりません。

またはそれを考えるのは研究の仕事でしょう?と思っていらっしゃるかもしれません。

その研究は社外の可能性があります。(OEMやODM)

製品供給してきているんだから、そっちで安全を担保できたものだけと勝手に思い込んでいるかもしれません。

製品の最終的な安全を担保するのは、「製造販売元」です。

もちろん契約上、何かあった場合に負債を分け合うや過失割合に応じて支払うといった条項を定めている可能性はありますが、いずれにせよメディア的に矢面に立つのは、「エースジェルの件」同様に製造販売元です。(あのときはネイルパートナーでした)

誰かの健康を損なう可能性があるような製品を、「売れるから」「ビジネスだから」という理由で確認もろくにせずに販売していませんか。

ジェルネイルを購入する際には、価格や色、性能だけでなく、こうしたことも考える必要があるかもしれません。

賢者の選択を。

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セルフネイル 安全性

セルフネイルを長く楽しむための3つの秘訣

セルフネイルを楽しみましょう

セルフネイルは、ご自宅でネイルを楽しまれることです。

ネイルは従来のマニキュアを含み、ジェルネイルのことも含みます。

ここではジェルネイルのセルフネイルについて書かせていただきます。

マニキュアやペディキュア、つまり乾燥させることが必要なタイプのネイルは数日すると欠けたり、削れたりしてしまいますが、一方で手軽といったメリットがありました。

ジェルネイルはそのメリットとデメリットが真逆で、3週間から一ヶ月ほど見た目に大きな変化なく持ちますが、一方で少し知識が必要です。

そこで少し二の足を踏まれてジェルネイルに挑戦されていない方も多いのではないでしょうか。

道具を揃える必要などがありますが、ジェルネイルも基本的には普通のネイルと一緒なので、是非、少しでも興味があれば挑戦してみて下さい。

セルフジェルネイルを楽しむために必要なもの:まずは筆

セルフジェルネイルを楽しむためには、マニュキュアのように、その材料だけを買ってくれば良いというものではありません。

まず、その材料が刷毛付きキャップのマニキュアと似たような形状のものであれば、筆は必要ありませんが、もしコンテナタイプのものであれば、筆が必要になります。

ジェリッシュ 刷毛付きキャップ
ベティジェル コンテナタイプ 筆が必要

筆にもいくつか毛先の違いで種類がありますが、初めてで慣れていない方であれば、ラウンドカットの筆がおすすめです。

ラウンド筆

少し慣れてきた方であれば、スクエアやアンギュラー、アート筆なども揃えると良いと思いますが、まずはラウンドがあれば良いのではないかと思います。

スクエアではなくラウンドを進める理由は、ラウンドであればキューティクル周りが塗りやすい為です。

ラウンドしていることでキューティクルのカーブに沿ってそのまま塗ることができます。

スクエアであればエッヂを使い、キューティクルの際までジェルネイルを塗ることができるようにはなりますが、はみ出してしまう、指にジェルネイルが付着してしまうといった危険性も上がる為、十分に練習してから使うようにして下さい。

このブログで何度も警告していますが、ジェルネイルが皮膚に付着すると、皮膚炎を発症することがあります。

最悪のケースではアレルギーになり、二度とジェルネイルができない体になってしまう可能性があるので、一度でもジェルネイルを付着させないことが重要となります。

セルフジェルネイルを楽しむために必要なもの:つぎにライト

ジェルネイルはマニキュアのように黙って待っていれば乾燥しさわれるようになるものではありません。

必ず光に当てる必要があります。

光といっても蛍光灯などの弱い光ではなく、近視外光付近の光(365~405nm)を当てる必要があります。

つまりネイル専用のライトが必要です。

ネイルライトには大きく分けて2つあり、UV蛍光灯を利用した365nmの光が出るものと、LEDを利用した405nmの光が出るものと2つあります。

ご存知の通り、LEDは長寿命であることが特徴です。

またUV蛍光灯と比べて出力も強い為、短時間で硬化させることができます。

具体的にはUV蛍光灯では2分硬化にかかるところ、20秒で硬化させることができます。

こう聞くとLEDが全てに優れているようにも見えますが、実はそうではありません。

LEDは強力な光を照射し、一気に硬化させるために、硬化熱と呼ばれる重合による発熱が伴います。

特に爪に直接塗るベースジェルや硬さを出すトップジェルを硬化させる際には、非常に高い重合熱を感じることがあります。

うまく塗れずに厚くなってしまった際には耐えられないほどの熱さを感じることもあるので、注意が必要です。

またLEDライトは1万円くらいか良いものは2、3万円しますが、UV蛍光灯のものは安いもので3000円程度からあるので、最初はUV蛍光灯のものでも良いかもしれません。

ただやはりこちらにもデメリットがあり、光が強くない為に、光が通りにくいカラージェルを硬化させにくいということがあります。

黄色や黒といった濃い色は光を透過しにくい為、一見硬化しているように見えて下の方は硬化していない状態になることがあります。

いずれにせよ、カラージェルも薄く塗り、十分に硬化させることが必要です。

セルフジェルネイルを楽しむために必要なもの:溶剤等

マニキュアを落とすときに使う除光液やコットンがジェルネイルをするときにも必要になります。

まずジェルネイルを塗る前に爪をキレイにするための消毒液等、そしてジェルネイルを落とす為のアセトンです。

加えてあれば良いのは爪表面を整えるバッファと呼ばれるスポンジやすりや、エメリーボードと呼ばれる紙やすり、メタルプッシャーなどです。

ただこれらは適当に使っても逆効果ですし、むしろ皮膚や爪を痛めることに繋がる為、気をつける必要があります。

十分に慣れた、または習ってから使うほうが良いと思います。

セルフジェルネイルを長く楽しむためには?

セルフジェルネイルを始めると、きっと初めは色々なことが大変です。

左手が塗りにくい、はみ出してしまう、すぐに剥がれてしまう、オフがしにくい。

ただこれらは腕が上がらないとどうしようもないことです。

まず長く付いている為には、適切な状態の爪を作る必要があります。

ジェルネイルがある程度浸透し、ジェルネイルの床ができた爪でなければジェルネイルはハジいてしまいます。

はみ出してしまう等はすべて浮きの原因となるので、絶対に避けなければなりません。

キューティクル際まで塗ることよりも、絶対につけないことを目標にしたほうが完成度は高いと思います。

またアセトンでのオフは爪に大きな負担がかかります。

15分以上置いて下さいと書かれているのにもかかわらず、10分で無理やりメタルプッシャーで落としたり、寒い日でも15分のままでしたり、そういうことをすればジェルネイルが十分に取れる状態になる前に落とすことになり、爪を痛めてしまいます。

爪が痛めばそれだけもろくなるので、ジェルネイルも欠けやすくなり、剥がれやすくなります。

寒い日や手が冷たければ20分、30分置くほうが良いでしょうし、できれば10分でもつるんと落ちるようなオフのできるジェルを選んで使うのが良いと思います。

セルフジェルネイルはお金があまりかからないので、おすすめではありますが、その分プロが請け負うはずの様々な責任(病気、怪我、持ち、アレルギー等)も自分にかかってきます。

是非安全に楽しくジェルネイルを楽しんで下さい。

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安全性

フィルインって本当に爪に良いの?

フィルインとは

フィルインは少し前から流行りだしたベースジェルをオフせず、付いたベースジェルをそのまま活かし、カラーを変える方法です。

トップとカラーをマシン等で削ってしまいます。

すると無色透明のベースジェル層が出てきます。

そのベースジェル層も少し削り、薄くしておきます。

その上から新たに伸びたキューティクル側を埋めるようにベースジェルを塗っていきます。

いつものように硬化させ、カラー→トップと仕上げていきます。

つまりアセトン等でのソークオフを行わない、いわゆる「リタッチ」のような使い方になります。

ソークオフしないことのメリット

常々、このブログではソークオフがジェルネイルにとって大敵であることを申し上げてきました。

アセトンは未重合のモノマーをジェルネイルから出してきますし、そうすると、モノマーが指に付着することになります。

それは皮膚炎やアレルギーの原因になります。

つまり、アセトンでオフしないということは、そういったリスクを回避することができるようになります。

これは非常に大きなメリットです。

ソークオフしないことのデメリット

ただし、やはりメリットがある反面デメリットもあります。

それはグリーンネイル等の爪に関する病気です。

ネイリストの資格を取られた方ならお分かりかと思いますが、爪にはたくさんの病気があります。

代表例としてグリーンネイルがあります。

グリーンネイルは緑膿菌とよばれる菌が爪表面で繁殖してしまうことにより、爪がグリーンに見えることから名付けられました。

爪が常に清潔な状態が保たれていればもちろんこういった病気になる心配はありません。

しかしジェルネイルをすると、手を洗う時にもちろん爪は洗えていません。

少しでもベースジェルに浮き等があれば、そこから汚染された水などが入り込み、緑膿菌類が繁殖してしまう可能性があります。

フィルインできるかどうかは、本当にベースジェルが全く少しでも浮いていないことが重要となります。

強力密着ベースジェルの安全性

ベースジェルが爪に密着するためには、いくつかの条件があります。

具体的にはモノマーが爪に入り込むことも重要です。

モノマーが入り込むことで、アンカー効果が生まれ、密着します。

しかしこの入り込むためには分子量(分子サイズ)が重要となります。

できるだけ小さな分子にすることで、爪への入り込みは良くなります。

一方、モノマーが小さくなれば小さくなるほど基本的には皮膚炎やアレルギーのリスクは高まります。

なぜならば、それだけ同じように皮膚へも浸透する可能性があるからです。

代表例として、HEMAやアクリル酸、メタクリル酸などは分子量が小さく、密着性を付与しますが、それだけリスクもあります。

まとめ

ソークオフをしないという観点から見ると、フィルインは素晴らしいアイデアです。

一方、ベースジェルに少しでも浮き等が見られる(目では見えないレベルでも)場合には病気になる可能性があります。

更にフィルインに使用されるような強力密着なベースジェルは、皮膚炎やアレルギーを引き起こすリスクの高いモノマーを使っている可能性があるので、取扱に注意が必要です。

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安全性

ジェルネイルをすると爪がぺらぺらになるのはなぜか

無理にジェルネイルを剥がすと?

ジェルネイルをされている方ならご存知かと思いますが、ジェルネイルを剥がす為には「ソークオフ」と呼ばれるアセトンを染み込ませたコットンを爪の上に置き、10~15分ほどアルミホイルで包んでおくことをしなければなりません。

そうせずに無理に剥がしたりすると、爪の表層が剥がれてしまいます。

爪は積層した構造をしており、特に表層は脆く、無理に剥がすと簡単に剥がれてしまい、爪が薄くなってしまいます。

それこそサンディングで削れる厚みと比べても、全く異なります。

ソークオフをせずに無理に剥がした時のジェルネイルの裏側、ベースジェル側には爪の表層がついていることがあります。

それほど目に見える層が剥がれてしまうので、それを繰り返すことでどんどん爪は薄くなっていってしまいます。

それが爪がペラペラになる理由の一つです。

爪が乾燥状態になると?

もう一つの理由は、ジェルネイルをすることにより、爪に蓋がされている状態となり、水分や油分の供給がすくなくなってしまいます。

そうなると、爪の中からどんどん水分や油分が抜けていき、カスカスになってしまいます。

結果として、爪がペラペラになるような感じを受けます。

またそうした乾燥状態になると割れやすくもなります。

生爪の時にお風呂にはいると、柔らかくなるのは、熱のせいだけではなく、水分がたっぷり供給されているからです。

ジェルネイルをするとその真逆のことがおきます。

爪を柔らかく、ぺらぺらにしないようにするためには

まずは絶対にジェルネイルが剥がれかけているからといって、無理に剥がしたりしないことです。

ちゃんとソークオフをすることです。

そしてソークオフにつかうアセトンは凄く水や油を吸い取る性質があるので、しっかりと水分と油分を爪に補給することが大事となります。

しかし、すぐにジェルネイルをまたつける場合にはそうすることができないので、施術後に爪根本にオイルを塗って少しでもオイルが爪にはいるようにして下さい。

確かに水分を爪に与えすぎると、今度はベースジェルが剥がれてしまうかもしれないというリスクはありますが、それでも爪がペラペラになってしまうよりは良いと思います。

ベースジェルも日々進化しており、水分にも強くなってきたので、ちゃんとしたジェルネイルを選べば今はもう大丈夫だと思います。

 

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安全性

HEMAは非常に危険なモノマーなのか?

ジェルネイル成分の一つ、HEMA

ジェルネイルはいわゆるモノマーと開始剤から作られています。

そのモノマーのうち、ジェルネイルによく使われているのがHEMAです。

HEMAとは、ヒドロキシエチルメタクリレートという化合物の略称で、表示名称としては、HEMAとなります。

他のモノマーと同じような書き方をすると、メタクリル酸ヒドロキシエチルとも言えます。

比較的小さな分子構造で、ヒドロキシ基(=水酸基)を持つことから、肌なじみが良く、爪への塗り心地の良さから使われることが多いです。

アレルギーとは

HEMAはアレルギー物質である、という噂を聞いたことはないでしょうか。

これは正しくもあり、間違ってもいます。

大前提として、すべての人は、この世に存在する物質のほとんどのものにアレルギー反応を示す可能性があります。

例えば、小麦、花粉、卵、ハウスダストなどが有名ですね、他にも、水、太陽光などもあります。

つまりHEMAに限らず、ジェルネイルに含まれているものはすべてアレルギー反応を起こす可能性があります。

ただしその起こりやすさはそれぞれの物質と、その人によって異なります。

10人中10人がアレルギー反応を示す物質もあれば、10人中1人しか示さない物質もあります。

どちらが安全かはおわかり頂けると思います。

HEMAアレルギー

では実際にHEMAはどうなのか、というのを調べてみるとさっそく文献がヒットしました。

HEMA感作性

これはゴム手袋をした上で、HEMAがゴム手袋に付着した場合、皮膚に炎症が起きたという事例を報告しています。

つまり素手なんてもっての他、ゴム手袋をしていてもHEMAに接触すればアレルギー反応が起きる可能性があるということです。

SDSという、その物質の説明書があります。

そこの皮膚感作性(アレルギー性)の項目には、

GHS分類: 区分1
本物質を取扱うことにより接触性皮膚炎を発症した歯科技工士、及び本物質の80%溶液を扱う実験技術者がパッチテストで本物質に対して陽性であったとの報告や、電子顕微鏡包埋剤やソフトコンタクトレンズ製造者が本物質に感作された事例の他に複数の事例の記載 (SIDS (2005)、DFGOT vol. 13 (1999)) がある。モルモットを用いた皮膚感作性試験では、陽性と陰性の試験結果が複数報告されている (SIDS (2005))。これらの結果から本物質は感作性を有すると考え、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1, H317に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。

とされており、感作性があるとの結果です。

HEMAだけが危ないわけじゃない

単純にHEMAだけが危ない訳ではありません。

他のモノマーも同じように刺激性やアレルギー性を示すかもしれません。

それだけジェルネイルは危険なものだということです。

爪は死んだ細胞です。

つまり爪に付くだけであれば、おそらく人体に影響は少ないと思います。

しかし塗っている最中に指に付いた、アセトンでソークオフした、ということをすれば、絶対にHEMAや他のモノマーは指と接触し、いつかアレルギー性を示すかもしれません。

そうすればもうその物質が入ったジェルネイルは使うことができなくなるでしょう。

そういう事態を避けるためにも、成分表示を確認し、安全なジェルネイルを使うようにしましょう。

このジェルネイルは安心か?という質問があれば、Twitterの方にメッセージを送ってください。

私が分かる範囲で回答させて頂きたく存じます。

ネイリストの方はこれまで以上に絶対に皮膚につけないということを守ってください。

付いたら拭えば良いなんて考えはやめてください。

キューティクルキワキワまで塗れているジェルネイルは確かに美しく、まさしくプロの技です。

素人セルフネイラーには真似できない芸当です。

ですが、それがプロに求められていることでしょうか。

それ以上に、セルフネイラーが持ちえない、安全に対する知識や、正しいジェルネイルの使い方で、安全に長くジェルネイルを楽しんで頂くようにすることがプロではないでしょうか。

トップの未硬化ジェルの拭き取りもそうです。

一度拭いた面で何度も擦ったりすれば、いつか皮膚と接触します。

恥ずかしい話

お恥ずかしい話ですが、最近、私がやってしまいました。

おそらくゴム手袋にモノマーが付着していたのだと思います。

目の下が痒くなり、その手でかいてしまいました。

すると、何分後かに目が見えづらくなってきました。

なにかゴミでも入ったのかなと思い、トイレの鏡で自分の顔を確認したところ、

目の下が赤く腫れ上がり、水ぶくれのようになっていました。

すぐにその箇所を水で流しましたが、その後2時間ほどその腫れは続きました。

目ということもあって凄く怖かったです。

幸いにも今はなんともありませんが、同じようなことがどなたにも起きる可能性があります。

決して、決して皮膚にはつけないように心がけて下さい。

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安全性

ジェルネイルの粉末吸っていい事あるはずがない

ジェルネイルの粉末

なんのことかと思われたかもしれませんが、主にオフの時に舞うあの粉のことです。

最近はマシンで一気に削っていくサロンワークも多くなったように思います。

すると自ずと発生するジェルネイルの粉。

手は当たり前ながら、机の上もエプロンも髪の毛にまでジェルネイルの粉がついてしまうほどです。

一部サロンでは集塵機を導入し、粉を吸っていますがもちろん完璧ではないです。

では、一体そのジェルネイルの粉を吸うとどうなってしまうでしょうか。

ジェルネイルの硬化率

その前に、ジェルネイルの硬化率についてお話します。

ジェルネイルはアクリレートと呼ばれる化合物が重合して、液体から固体になります。

その時にすべてが反応してくれれば良いのですが、いくつかは十分に反応しないまま残ってしまいます。

特にカラージェルで見た目硬化していても、ウッドスティックなどでつつくと中は十分に硬化していないということをご経験された方も多いと思います。

それほど見た目でわかるほどではなくても、ジェルネイルはクリアであっても、100%反応しません。

つまり、未反応のアクリレートモノマーがあの固体の中には残っています。

それが手を洗う、食器を洗う、お風呂に入る、メイクを落とす、化粧水を塗るなどで溶出してきて、皮膚炎を起こす場合があります。

ジェルネイルの粉には未反応のアクリレートモノマーが大量に含まれる

ジェルネイルの粉の中には、このいつもは表にでてきていない未反応のアクリレートモノマーが大量に含まれています。

なのでこの粉が手につくだけでも、皮膚炎やアレルギーを引き起こす可能性が非常に高いです。

ネイリストの方にヒアリングしたところ、粉が接触して手が荒れてしまった方が何人もいらっしゃいました。

もちろん、この化学の知識がないため、粉が良くないとしか思っていらっしゃいませんでした。

勘の良い読者の方はもうお気づきかと思いますが、この粉が手についただけでアレルギーや皮膚炎を引き起こすのであれば、吸い込んでしまった時にどうなるか、おわかりいただけると思います。

全身がアレルギー体質になることも考えられますし、肺などへの影響も心配されます。

対策

できるだけ目の細かい、安いマスクではなく、PM2.5などを排除できるマスクをすること。

メガネをすること。裸眼やコンタクトは最悪、この粉が目に入り、目から炎症を起こす可能性があります。

手袋をして作業すること。

できればお客様にも爪だけでているような手袋をしてもらい、お客様の手も保護すること。

集塵機をできるだけ近くに置くこと。

好ましくはマシンを使わないこと。

使うとしても、透明なカバーの下で行うや、工夫をすること。

削らないことが一番です。

 

一度発症したら、アレルギーは基本的には治りません。

なるまえに、ならないようにすることが何よりも重要です。

自分の身は自分でしっかり守ってください。

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安全性

ジェルネイルの危険性

ジェルネイルの危険性

ジェルネイルはアクリレートと呼ばれる刺激性があったり、アレルギー性があるモノマーからできております。

それに光を当てて硬化させることで、ポリマーにします。

ポリマーになると、皮膚に接触しても刺激性を示したり、アレルギー性を示すことは少なくなります。

しかしネイル用のライトは出力が低く、またアクリレートの重合反応は100%反応するわけではないので、どうしても中に未反応のモノマーが残ります。

そのモノマーが溶出してくる可能性があります。

米研ぎ

PIXTA

お米を研ぐ時に多くの方は素手で作業されると思います。

この時にジェルネイルからモノマーが溶出する可能性があります。

するとお米にモノマーが付着することになり、それを食すことになります。

とても気分が良いものとは言えません。

他にもジェルネイル自体を包丁等で切ってしまうことや、化粧落とし等のアルコール等に触れることでもモノマーは溶出してきます。

溶出が起きなくとも、唇等の敏感な粘膜はポリマーに触れるだけでも、炎症を起こす可能性があります。

近年、皮膚学会ではジェルネイルによる口唇の炎症について議論されています。

口唇の炎症が起きた患者がジェルネイルをしていた場合、ジェルネイルをやめることで口唇の炎症が収まったという事例があります。

これは直接ジェルネイルが触れることでアレルギーを引き起こしたというより、施術等で触れる、またはこうした料理等の過程で少しずつ生体に接触することでアレルギーを発症するようになり、ポリマー化したジェルネイルが付着するだけでも炎症を起こすようになったのではないかと考えています。

ジェルネイルを長く楽しむ為に

アレルギーや皮膚炎を一度起こしてしまうと、ジェルネイルのメーカーを変えても大きくは改善できない可能性が高いです。

つまり、一度でも発症させないことが重要です。

そのためにはモノマーとの接触をゼロにする必要があります。

つまり、施術では絶対に皮膚に付けない。

ワイプで拭き取れば良いやと考えているネイリストの方は改めてください。

皮膚に付けてしまうかもしれないと思う技術レベルの方はセルフでやらない。

そして食材等に触れる場合は、できるだけ手袋等をして直接接触しないようにする。

安全なジェルネイルを目指して

我々研究者はもちろん、より安全なジェルネイルを目指して研究を進めます。

しかし残念ながら今以上の性能を発揮できる安全なジェルネイルはまだ世の中に存在しておりません。

なにやら巷ではオーガニックジェルネイルなるものも出ているようですが、オーガニック=安全では決してありません。

牛の糞はそれ自体オーガニックですが、安全でしょうか?

化学肥料を使わず、牛の糞を撒いた畑で作った作物はすべて安全なのでしょうか?

アクリレートに変わる、より刺激性の低い反応性のものを探して研究を続けます。

それまではできるだけ接触を避けるようにお願い致します。

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ライト 安全性 材料

LEDライトで硬化させてUVライトで除去できるジェルネイル

European Symposium of Photopolymer Science

先日、フランスで開催されたEuropean Symposium of Photopolymer Scienceに参加してきました。

Photopolymer、つまり光硬化樹脂に関するシンポジウムでした。

講演者の方もアカデミックの方が多く、最新の光硬化技術について聞くことができました。

その中に非常に興味深いものがあったので、少しだけご紹介させて頂きます。

光硬化のトレンドは長波長化?

ジェルネイルも歴史的に365nmを使っていた頃から、今はLEDの405nmを使うようになってきました。

しかしある分野においてはそれ以上の500nmに近い光を使って硬化をさせようとしているようです。

ご存知の通り、波長が短くなればなるほど、人体への影響も大きくなります。

そこでジェルネイル業界でもLEDが今は推奨されています。

ところが405nmは可視光と紫外線のギリギリに属しており、まだ十分に安全とは言えません。

そこでより安全である長波長化が検討されています。

これによりお客様には安心してライトをご使用頂けます。

(今でもジェルネイルで手が日焼けするのではないか?といった疑問を持たれている方はいらっしゃると思います。)

また長波長化させることで、内部への光の侵入が良くなる為、内部硬化が良くなります。

つまり、所謂半熟とよばれるカラーの硬化不良などが防げるようになります。

特に黄色や黒で半熟を経験された方は多いと思います。

これらの色は特に今のLEDでは硬めにくい為です。

LEDで硬化させ、UVで除去するジェルネイル

先の話と少し矛盾してしまうのですが、ライトによる人体の影響よりも、もっと直接的に人体に影響を与えている行為が、アセトンによるソークオフです。

アセトンはご存知の通り、有機溶剤で、シンナーやガソリンといったものと同じような分類です。

そのようなものを爪につけて、しかも15分といった長い時間皮膚にも付着することは、非常に危険な行為です。

またこういった有機溶剤が直接人体に触れることも問題ですが、ジェルネイルがアセトンにより膨潤して来た時に、未反応のモノマーが溶出してくることも問題です。

つまりソークオフ時にアセトンが触れている皮膚にはモノマーが直接触れる可能性が高いということです。

モノマーは皮膚炎症を起こしたり、アレルギーを引き起こす可能性が高い物質です。

ソークオフの間、15分間もの間、こうした物質に触れることで、炎症やアレルギーになる可能性は非常に高くなります。

そこでピールオフやアセトン意外での除去なども検討されていますが、持ちがイマイチであったり、ソークオフ性が悪かったり、と品質面で従来のジェルネイルに劣っています。

そこで、新たな技術である405nmを用いて硬化させ、365nmで除去するといった反応をジェルネイルに応用することで、光だけを用いたオフが可能になると考えています。

これは新技術なので、ここでは公開できませんが、いち早く商品化できるように努めますので、期待してお待ち下さい。

 

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回収事案 安全性

TATの回収事例から今後のジェルネイルのあり方を考える

TATの回収事例概要

『Salon use 4in1 クリアジェル』 『Salon use selectable クリアジェル #1』
自主回収に関するお詫びとお知らせ
謹啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社商品に格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
この度、弊社販売の『Salon use 4in1 クリアジェル』、『Salon use selectable クリアジェル  #1』につきまして、爪に直接塗布するベースジェルとしても使用可能であるため、化粧品として製造販売の届出が必要であったところ 同届出ができておりませんでした。
つきましては、当該商品を自主回収させていただく運びとなりました。
お客様には多大なご迷惑をおかけし、心からお詫び申し上げます。
お手元の商品につきましてはただちにご使用を中止していただき、お手数ですが下部に設置しております返品依頼書のダウンロードボタンより返品依頼書をダウンロードし、必要事項をご記入の 上、返送用送り状にてお手元の商品をご返送頂けますようお願い致します。
なお、化粧品配合禁止成分は一切使用しておらず、現在までに当該商品の使用による健康被害の報告はございません。
【当該商品】
① 65433  Salon use 4in1 クリアジェル 15g
② 89883  Salon use selectable クリアジェル #1 15g
※残容量は問いません。容器をお送りください。

該当ページのURLはこちら→https://www.nailtat.com/oshirase/salonuse.html

TATのジェルネイルに対する判断

化粧品としての販売届出ができてなかったことは置いといて、TATが今回の判断に至ったことについて触れたいと思います。

「爪の直接塗布するベースジェルとしても使える」というところが最も肝心なところですね。

つまりTATは「爪に直接塗布するもの」は全て化粧品であるべきと考えるということです。

「爪に直接塗布するもの」としてはアクリルスカルプなども挙げられますし、プライマーも挙げられます。

果たしてこのあたりの製品が本当に化粧品のものだけTATは取り扱っているでしょうか。

それとも、化粧品以外のものも取り扱っているとするならば、それはどんな理屈で取り扱っているのでしょう。

各メーカーの判断?

販売したTATには全く責任がない?

いやいや…そんな訳無かろう…。

少なくとも販売する限りにおいては、その製品が販売して良いものか判断しますよね。

麻薬売ってくれって言われたからって売ったりしませんよね、それと一緒です。

では、TATは「爪に直接塗布するもの」は化粧品であると考えながらも、なぜ化粧品ではない製品を売るのか。

売上の為しかないですね。

商道徳に反しながらも、売上を挙げようという気持ちが丸見えです。

都合が悪いところは、いやメーカーの判断で…とでも言うんでしょうね。

そりゃあね、メーカーが一番悪いですよ。

いや、実はこれはメーカーが悪いとも言えないんです。

化粧品とはなにか

というのも、「爪に直接塗布するもの」言い換えれば「肌に直接塗布するもの」はすべて化粧品でなければならないなんてことはないんです。

その代表例がマツエク接着剤です。

これらは直接皮膚と接触するものながら、化粧品扱いを受けていません。

しかしそれは問題ではないのです。

医薬品医療機器等法第2条第3項で、化粧品は次のように定義付けられている。 人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

つまり、太字にした部分が達成されない皮膚に接触するものは化粧品でなくても良いのです。

そういう意味ではボディペイントは化粧品ですね。タトゥーシールも。

この定義から考えると、ベースジェルもマツエク接着剤も確かにそのものの性質はこの特性に寄与はしていないので、化粧品ではなくても良いと私も考えます。

そのように考えるメーカーも少なくともいるとは思います。

化粧品と安全性

と言いながらも、じゃあなんでもアリなのかと言えば、それはそれで違うと思います。

少なくとも、化粧品であるかどうか、なんてことよりも、安全性が担保されているのかどうかが重要ではないでしょうか。

化粧品=安全は全くの嘘というか誤解であることは常々当ブログでは語ってきました。

なにせ化粧品として販売する上で安全性のテストなんて存在しないのですから。

全て自主判断にて販売されているのが現状です。

有名な話に「アレルギーパッチテスト済み」がありますね。

「アレルギーパッチテスト」は「済み」でも、その結果がどうだったのか何も記載されていません。

消費者が勝手に「販売されているのだから、アレルギーはなかったのだろう」と誤解しているだけです。

それが問題になったのか最近ではこうも書かれています。

「全ての人にアレルギーが出ないわけではありません」

もう何のことか分からなくなってきます。

ハッキリ言います。

そりゃそうですよ!

人は千差万別、みんな違います。

アレルギーも出る出ない当たり前です。

日光アレルギーがあれば、水アレルギーもあるんです。

そんな体にとって必要そうなものにまでアレルギーがあるんですから、化学品にアレルギーがないなんてことはないんです。

安全性に配慮したジェルネイルを

TATは化粧品かどうかなんてことよりも、そのメーカーがどんな安全性テストを実施し、どんな証拠を以て、その製品を販売するつもりなのかそこを見極めるべきです。

(まあ、売上至上主義みたいな会社には無理でしょうけど)

資生堂の姿勢を見習うべきです。

どんなテストをしているのかはっきり掲示してあります。

その結果まで公開されているかは別ですが…少なくとも、そのくらいの姿勢は必要です。

いや、ぶっちゃけそんな知識がある人はジェルネイルの業界のトップにいないと言っても過言ではありません。

表示名称ですら違反・間違いだらけの業界ですよ?

他の化粧品分野ではありえないですよ…信じられない。

だからこのままではジェルネイル業界は、安全性に全く配慮されていないジェルネイルを販売し続けることしかできません。

最近になりようやく大手のメーカーも参入してきたので、少しづつそうしたメーカーが安全性に関する活動を声高らかにして頂ければ、業界も変わるかもしれませんが…。

消費者にとっては油断ならない製品ばかりが溢れているのがジェルネイル業界です。

くれぐれも安心なさらぬよう。

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安全性

妊娠中のジェルネイル

妊娠中に避けるべきこと

妊娠されると胎児への影響を考え、いろんなことを避けるようになると思います。

過度な運動やお腹に負担のかかること、カフェインやアルコールなどの摂取など様々ありますが、ジェルネイルについてはいかがでしょうか。

液体でもなく(硬化すれば)、口に入れるものでもなく、お腹とは直接関係のないジェルネイルですが妊娠中にしても良いのか考えてみましょう。

ジェルネイルによる影響

ジェルネイルは作業として、有機溶剤を使います。

もしオフをするのであればアセトンも使いますし、削るのであれば硬化したジェルも粉塵として舞い上がります。(集塵機を使っても0%にすることは到底できません)

アセトン中には硬化した後のジェルネイルに含まれていた未重合成分のモノマーや光重合開始材が溶出します。

削る際も内部に残っていた未重合層が表面に露出することになるので、削りカスが皮膚炎を起こしたり、アレルギー反応を示したりすることが知られています。

またジェルネイルを付けている最中でも、指で唇を触るなどによって口に炎症が出る場合が知られています。

皮膚科学学会等でも挙げられる症例です。

つまり、ジェルネイルをすること=何かしらのダメージを負う可能性は0ではありません。

胎児への影響

硬化前のジェルネイルの匂いを嗅いだことがある方も多いかと思います。

いくつかのモノマーは独特の香りをもつものがあります。

イソボルニルアクリレート(表示名称:アクリル酸イソボルニル)やイソボルニルメタクリレート(表示名称:メタクリル酸イソボルニル)は、独特の香りを持ちます。

表示名称にこれらの名前があるジェルの匂いを嗅いで頂くと、ほぼ間違いなくその匂いを嗅ぐことができるので、覚えておいても良いかもしれません。

その匂いがすれば、どちらかが入っています。

他にもよく言われるのがベースジェルがすっぱい匂いがする、ということです。

これは恐らく酸性モノマーによる匂いです。

ジェルネイルに使われる酸性モノマーはリン酸系が多い印象です。

匂いがあまりしないメジャーなモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート(表示名称:HEMA)やヒドロキシプロピルメタクリレート(表示名称:メタクリル酸ヒドロキシプロピル)が挙げられます。

ただしここで重要なのは、匂いがしない=安全では決してありません。

また匂いがしない=揮発していないでもありません。

一酸化炭素にも匂いはないですが、吸っただけでほぼ死んでしまいます。

つまりジェルネイルに匂いがないものを選んだからといって、その成分は揮発していない訳ではなく、空気中にはかならずモノマーが飛散している状態になるので、モノマーを含んだ空気を吸うことになってしまいます。

そしてそれが胎児に影響があるかどうか、といったことはまだ結論付けられていませんが、それらの成分に皮膚炎を起こすあるいはアレルギー性があることを考えると、決して良いものではないだろうと想像できます。

妊娠中はネイルを控えるべき?

妊娠したからといって今までジェルネイルを楽しまれていた方はすぐに辞めるのは難しいかもしれません。(爪がペラペラ、綺麗でいたい等)

とはいえ、従来のマニキュアと呼ばれるシンナーのような匂いがするものは、ジェルネイルとほぼ同じくらいに良くない成分で構成されています。

なので私からのおすすめとしては最近発売された「水性ネイル」です。

水とエタノールを主成分として(消毒液)、そこにポリマーが分散しています。

溶剤型のマニキュアとは異なり匂いはほぼありません。

主成分が水なので飛んだとしても水蒸気となります。

こうしたものであれば取るのも簡単ですし、まだ差し支えないのかなと思います。

ジェルネイルをこれまで楽しまれていた方にはちょっと苦痛かもしれませんが、その期間はちょっと避けられた方が良いかもしれません。

母子ともに健康にストレスなく妊娠中をお過ごしいただければ幸いです。

 

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安全性 材料

HEMAにアレルギー性はある!

安全性確認のために見るべき項目

ベースジェルやトップジェルに多く用いられているHEMAですが、その安全性について、まずはSDSを確認します。

HEMA SDS

HEMA GHS

SDSで見るべき項目は「11.有害性情報」です。

その材料がどんな有害性を持っているのかはどのSDSにおいてもこの11に記載されています。

昨日の「ジェルネイルは本当に安全か」でもお伝えしましたが、この中でも見るべき項目は「一次皮膚刺激性」と「皮膚感作性」です。

一次皮膚刺激性とは、皮膚等と接触した時にすぐに起こる薬傷のことです。

うるしなどをイメージすると良いかもしれません。

一方で皮膚感作性とはアレルギーのことです。

全員に同じように起こるのが(強い弱いはもちろんありますが)一次皮膚刺激性で、全員には同じように起きないのが皮膚感作性です。

皮膚感作性

なぜ皮膚感作性は全員には同じように起きないかというと、まさしくそれはアレルギーだからです。

花粉アレルギーの方もいれば、卵アレルギーの方もいらっしゃいますよね。

同じように誰にでもアレルギーとは発症するものではありません。

何度接触してもアレルギー性を示さない体質の方もいれば、一度の接触ですぐに示してしまう方もいらっしゃいます。

なので、一度大丈夫だからといって、いつアレルギーになるかは分からないとことが怖いところです。

ちなみにアレルギーは免疫応答が過敏になる為に起こります。

例えば花粉であれば、それほど体に害がないとしても、体が勝手に花粉が入ってきた!すぐに排出しなければ!!と命令を下し、その結果くしゃみや鼻水が多くなり排出しようとします。

HEMAの安全性

HEMAの一次皮膚刺激性と皮膚感作性を見ると、一次皮膚刺激性の値はP.I.Iといった値で洗わすことができ、0~8まであり、0が刺激がなく、8は強い刺激を意味し、HEMAのP.I.Iは0.08と記されています。

一般的に3以上で中程度の刺激があるとされており、2以下が安全性には好ましいとされているため、0.08は安全であると言えます。

ところが皮膚感作性は残念ながらあります。

つまり、接触してもすぐに炎症を起こすといったことはないが、アレルギーを引き起こす可能性はあり、継続して使用することで突然アレルギーになる可能性があります。

 

HEMAは安全ではない?

私の個人的な意見にはなりますが、皮膚感作性があることは確かに残念なことです。

ないにこしたことはないと思います。

しかしアレルギーは卵や小麦粉といった栄養となるものでも発症する可能性があり、更に水や日光といった生きていくために必須と思われるものにすらアレルギーは存在します。

つまりアレルギー性がある=危険とは少し性急すぎる結論とも感じます。

そもそもジェルネイルは皮膚に付着させないことが第一です。

その為にもともとの製品はプロユースとして販売されていました。

※プロであれば、しかるべき技術や知識を身に着けており、誤った使い方をない為、皮膚に接触することなどない、といった前提です。

が、セルフネイラーが増えたことで、そこに市場を感じたメーカーがセルフ向けにも販売したことで、その牙城が崩れてしまったように思います。

どんなものでも誤った使い方をすれば危険になることは明白です。

ぜひ安全に使っていただくようここで正しい知識を身に着けていただければ幸いです。

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化粧品 安全性 材料

ジェルネイルは本当に安全か

ジェルネイルの危険性

ジェルネイルの安全性について、関心が高い話題かと思います。

セルフの方にとっては、自分が使うジェルネイルが安全かどうか気になるでしょう。

プロの方にとっては、お客様への正しいご説明、もちろん安全なジェルネイルの使用等で必要な知識です。

ジェルネイルは本当に安全なのか。

安全性の評価

安全性を評価する上で、具体的に何がどうだから安全なのか、といった基準を決める必要があります。

ますその項目として資生堂の安全項目をご紹介します。

安全性保障項目

①皮膚一次刺激性
化学物質が皮膚に接触した場合に生じる刺激性のことです。

②眼刺激性
化学物質が眼に入った場合に生じる刺激性のことです。

③光毒性
化学物質が日光(特に紫外線)存在下で皮膚に接触した場合に生じる刺激性のことです。

④皮膚感作性
化学物質が皮膚に接触した場合に生じる遅延型アレルギー性のことです。

⑤光感作性
化学物質が日光(特に紫外線)存在下で皮膚に接触した場合に生じる遅延型アレルギー性のことです。

⑥単回投与毒性
化学物質を1回または短時間に反復摂取した場合に生じる毒性のことです。細胞致死量を求めることで、その毒性の強さを分類することができます。

⑦遺伝毒性
化学物質が細胞の染色体や遺伝子・DNAなど遺伝形質を担う物質に及ぼす毒性のことで、発癌性の予測にも用いられる試験項目です。

⑧反復投与毒性
化学物質を一定期間毎日繰り返し投与した場合に生じる全身毒性のことです。毒性の種類や程度を把握するとともに、毒性変化が発現しない量(無毒性量)を推測します。またその物質の全身曝露量を算出して無毒性量と曝露量を比較することにより、全身に対するリスクを評価します。

⑨生殖発生毒性
化学物質が、雌雄の生殖機能または生殖能力の障害や、子孫の死亡、発育遅延、形態的および機能的影響を与える毒性のことです。その程度から毒性変化が発現しない量(無毒性量)を推測します。またその物質の全身曝露量を算出して無毒性量と曝露量を比較することにより、生殖発生毒性に対するリスクを評価します。

この9項目において評価し、安全かどうかを判断します。

ただしこれは国に指定されている、化粧品ならば必ずしなければならない、ということではありません。

少なくとも光毒性や光感作性をジェルネイルで言うのは少し違うようにも思います。

ジェルネイルの安全性評価

これらのテストを行う為には動物試験も可能ですし、代替試験も考案されていますが、いずれにせよ莫大な費用を必要とします。

これらをすべて行うことが確かに好ましいは好ましいですが、難しいのが現状かと思います。

そこで最低限みたい項目が、「一次皮膚刺激性」と「皮膚感作性」です。

基本的にこの安全性の評価は「皮膚」という吸収しやすい組織の上に乗せた時に、吸収されていたものがどう影響するか、ということを調べてみます。

ジェルネイルはもちろん皮膚ではなく「爪」という生きてはいない細胞でもないタンパク質の組織に乗せるイメージの為、これらの試験方法によって得られる安全性の評価がそのままジェルネイルの安全性と言えるかどうかは難しいところです。

もちろん、施術中に皮膚に付着する、オフ時に削ったジェルが皮膚に付着する、アセトン中に溶出したジェルの成分が皮膚に付着するということは十分に考えられる為、皮膚への影響が少ないことに越したことはありません。

どのように安全性を確認するか

本来であればジェルネイルのメーカーがその試験を実施していれば、結果を持っていると思うので、開示をお願いすれば頂ける可能性がありますが、そういったデータは公開する義務はないので難しいかもしれません。

となると、自力でどこまで調べられるかです。

製品としてのデータは当然メーカーしか持ちえないので、含まれている成分からその安全性を確認します。

その為には成分のSDSを入手し、安全性の項目を確認します。

全成分表示に書かれている成分一つ一つのSDSを確認することで、その製品の安全性を評価することができます。

また別記事にてある製品の安全性評価をしてみたいと思います。