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ベトロ 化粧品 回収事案

VETROも自主回収間近か?!

表示と内容が異なる可能性

前回の記事「VETROの真実」に引き続き、VETRO製品を見ていきたいと思います。

VETROの側面ラベルに記載されている全成分表示は、

ウレタンアクリレート、アクリルモノマー、1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、二酸化ケイ素(+/-)酸化鉄、黄色5号、赤色202号、青色2号、ジオキソチタン、マイカ、グンジョウ、カーボンブラック、ベンガラ

となっております。

前回の記事中で、表示されている名称が正しくないものばかりというお話をしましたが、表示だけではなく内容(本当に入っているもの)と異なる可能性があります。

1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン

VETRO製品に記載されている「1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」は、表示名称としては「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」が正しいです。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとは、下図のような材料です。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは光重合開始剤の一つで、これに光が当たることにより、重合(硬化)が始まります。

このヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの吸収波長域がパナソニック様のパテントに掲載されていたので拝借しました。

縦軸が吸収の強さです。

横軸は波長です。

注意深く見ると、気づくことがあるかもしれません。

LEDライトの波長は405nm付近です。

つまり、下図のところに吸収がなければ、反応できないはずです。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの最大吸収波長は380nmくらいまでなので、405nmは吸収することができません。

ところがVETROの成分表示からは他の光重合開始剤は入っておりません。

つまりこの成分表示が正しければ、LEDライトで硬化するはずがないのです。

おかしいですね。

LEDライトで硬化する為に必要な光重合開始剤

ほぼ間違いなくこの光重合開始剤を入れなければならず、それ以外はありえないと私は思っているものがあります。

それは「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」という成分です。

この光重合開始剤の吸収波長もパナソニック様のパテントから拝借しました。

この光重合開始剤であれば、405nmの波長を吸収があるので、重合させることができます。

この光重合開始剤「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」が記載されていないLED対応のジェルネイルは、表示と内容が異なっている可能性が高いと思います。

これは回収に該当する重大事項ですので、そのようなジェルは決してサロン等ではお使い頂かない方が宜しいかと存じます。

消費者庁にこのVETROの製品を持ち込めば、恐らく自主回収になることでしょう。

そうなる前にVETRO自身が表示名称を正しく表示することを強く願います。

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VETROの真実

VETROとは

元々は「ベラフォーマ」という名前で販売されていましたね。

いつからか名前を「VETRO」に変えたことは数年ジェルネイルのお仕事に携わっているネイリストの方や、コアなセルフネイラーの方ならご存知かと思います。

名前が変わった理由については、世界進出を考えた時にアメリカで「ベラフォーマ」の商標権が取れなかったとかで、「VETRO」に統一されたと聞いたことがあります。

各国での商標も考えて製品の名称は決めなければなりませんね。

VETROの特徴

ジェルネイル研究者から見てVETROのカラージェルは中々に優秀なジェルです。

静置している時には流動性がなく、顔料やラメ等の沈降が見られず、塗るともっさりしているのかと思いきや伸びが良い。

また顔料濃度が高く薄塗りでも発色が強く、ムラになりにくいです。

特に筆圧をかけやすいキューティクル周りでもムラになることが少なく、初心者の方にもおすすめできるジェルです。

ソークオフ性も悪くなく、アセトンに数分漬けておくだけで十分にふやけてくれます。

硬化後のジェルも伸びが良く、爪への追従性も悪くなさそうです。

VETROの表示名称

いったいどんな成分から、そんな良いジェルができているのでしょうか。

ウレタンアクリレート、アクリルモノマー、1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、二酸化ケイ素(+/-)酸化鉄、黄色5号、赤色202号、青色2号、ジオキソチタン、マイカ、グンジョウ、カーボンブラック、ベンガラ

化粧品登録されていると、全成分表示をする必要があるので、どんなものが使われているかはすぐにわかります。

以前に「ジェルネイルの材料ー表示名称の見方」という記事を書きました。

そちらで細かな表示名称の見方について説明しているので、お時間あればご覧ください。

一つ一つ確認していきます。

使うのは化粧品工業連合会の表示名称リストです。

ここに一つ一つ名前を入力していくと、それがどんなものなのかわかります。

出てこない場合は、それは化粧品としては原則として使えない成分です。

「ウレタンアクリレート」ありませんでした。

「アクリルモノマー」ありませんでした。

「1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」ありませんでした。

「二酸化ケイ素」ありませんでした。

「酸化鉄」ありました。

「黄色5号」ありませんでした。

「赤色202号」ありませんでした。

「青色2号」ありませんでした。

「ジオキソチタン」ありませんでした。

「マイカ」ありました。

「グンジョウ」ありました。

「カーボンブラック」ありました。

「ベンガラ」ありませんでした。

念のためフォローさせて頂くと、例えば、赤色202号は「赤202」と記載することが正しいだけで、使用してはいけない色素ではありません。

ですが、この表示名称のルールに従うことが化粧品として販売する上での原則ですので、ルール違反であることは間違いありません。

VETROは良い製品なのに…

VETROのカラーは本当によくできていると思います。

一方でその表示名称はあまりにも杜撰過ぎて、絶句してしまいました。

決してこれは製品が悪いということではありませんが、会社のコンプライアンス(法令遵守)といった観点においては欠如していると言えます。

そうした会社が、安全性にまで配慮した製品を製造しているかは分かりません。

ただ表示名称すらちゃんと書けない会社により難しい安全性の確保ができるとは私は思いません。

いつか会社の体質が変わり、より良い製品になることを願っています。