ジェルネイルの硬化時間
最近のジェルネイルはLED対応のものがほとんどで、その硬化時間は10秒や20秒と記載されているものが多いです。
またUVライトを使う場合は1分~2分と記載されているものが多いと思います。
これらの時間は、どのように決められているのでしょうか。
ジェルネイルにはJIS規格やISOといった決まった試験がありません。
JIS規格は名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、下記のように記載されています。
日本工業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)。日本の工業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のことです。自動車や電化製品などの工業製品生産に関するものから、文字コードやプログラムコードといった情報処理に関する規格などもあります。
標準には、強制的なものと任意のものがあり、一般的には任意のものを「標準(=規格)」と呼んでいます。標準化の意義は、自由に放置すれば、多様化・複雑化・無秩序化してしまうモノやコトについて
経済・社会活動の利便性の確保(互換性の確保等)
生産の効率化(品種削減を通じての量産化等)
公正性を確保(消費者の利益の確保、取引の単純化等)
技術進歩の促進(新しい知識の創造や新技術の開発・普及の支援等)
安全や健康の保持
環境の保全等
上記の観点から、技術文書として国レベルの「規格」を制定し、これを全国的に「統一」または「単純化」することです。
一例ですが、トイレットペーパーのサイズは日本のJIS規格によって標準化されています。114mmと決められています。真ん中の空洞部分の直径は38mmのものが主流です。直径はロールの状態で120mm以下と定められています。この標準化により、日常生活でどこのメーカーの商品を買ってもホルダーに取りつけることができ、困ることなく使用することができます。
というように、共通の規格といったものがジェルネイルにありません。
つまり硬化時間も各社独自の判断で決められています。
もっと言えば、商品開発をしている研究やマーケティング部の人が「20秒くらいで固まるんじゃない?」と言って、決めてます。
ベティジェルクリスタルトップの硬化時間が変更
ネイルパートナーのサイトを見ていると、ベティジェルクリスタルトップの硬化時間が変更になっていました。
「ベティジェル クリスタルトップ」の硬化時間の表記が以下のとおり変更になりました。
【LED】10~30秒 → 30~60秒
【CCFL】1分 → 1~2分
【UV】1分 → 1~2分
※塗布量や色味によって長めに時間を調節してください。
こういうことが起きる背景にはいくつか考えられることがあります。
1つ目は、ベティジェルの担当者がベティジェルに最適なライトを用いて検証し、その時の結果が短い20秒や1分だった場合です。
その結果を以って、パンフレット等に記載してしまったが、サロン等から1分や20秒で固まらないといったクレームが上がってきたのではないでしょうか。
そして別のライト等で試したところ、固まらないことが分かり、記載する時間を伸ばしたのではないでしょうか。
2つ目は、組成変更による規格変更です。
硬化を早めるために光重合開始剤を多く入れることがあります。
ただそれは諸刃の剣で、光重合開始剤を多くすることにより、硬化後に黄色に変色したりすることがあります。
また硬化速度も上がる為、重合熱も多くなり、熱いと感じるリスクもあります。
そういったクレームがサロン等から上がり、見直したりしたのではないでしょうか。
ただ、こうした組成変更を行った場合、本来化粧品販売届け出をし直さなければなりません。
たとえ記載されている全成分表示が変わらなくても、本来成分量が変われば届け出をし直さなければなりません。
配合量の変更により、全成分表示の順位が入れ替わっている場合はもっての他です。
製品を確認していないのでたしかなことはわかりませんが、おそらくベティジェルは販売届け出をし直していないのではないでしょうか。
そうなった場合、配合が前のモノと後のモノを見分けるのはロットだけになり、どちらの成分か同定するのは非常に難しくなります。
硬化時間はあくまでも目安
これまでにご説明してきた通り、硬化時間はメーカーの担当者の一存で決まります。
特に決まった試験方法もなく、各社で共通化された試験もないため、どの状態を硬化したと判断するかもそれぞれです。
また試験に使われるライトもそれぞれのメーカーに推奨のものがまず対象となります。
例えば32W LEDライトと一口にいっても、4Wが8個なのか、0.5Wが64個なのかで全く異なります。
そうした違いも考慮しなければなりません。
硬化時間はあくまでも目安としてお考え下さい。