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ココイスト

KOKOISTに迫る

KOKOISTとは

プロが選ぶ確かな品質と使いやすさのネイルプロダクトにこだわり続けています。

世界中のお客様を相手に、ありとあらゆる新商品・新技術を駆使して、プロフェッショナルの柏木KOKOがプロフェッショナルのみなさまが待ち望んでいる商品を自信を持ってお届けしております。

長年のサロンワークから導き出されたジェルシステムの答え、それがKOKOISTです。
サロンワークでより使いやすく、お客様の喜びがより長く。プロネイリストである柏木KOKOのこだわりを凝縮した製品は、ネイルに関わる全ての方にきっとご満足いただけるはずです。

確かにデビュー当時は真っ黒な容器にクールなロゴで、まるでシャネルの化粧品を思わせるようなデザインでカッコイイなぁと思っていました。

その後も京セラと開発した人工オパールを配合したカラージェルなど真新しいものも展開され、精力的に活動されてるなあといった印象です。

化粧品かどうか

ぼやけてしまって、本当に申し訳ないです…。

ばっちり「爪化粧料」と書かれているので、化粧品として登録されています。

検定にも使えるので間違いありません。

製造販売元は「株式会社ルーラン」となっております。

私が知る限り、この会社は充填請負かまたは名義貸しと思われます。

つまり、中身を本当に作っているメーカーではないと思います。

どこかで作った中身を株式会社ルーランで充填しているか、または充填も別のとこでするが、製造販売元として株式会社ルーランの名前を借りているか、どちらです。

発売元は株式会社KOKO Internationalですね。

KOKOIST ソークオフカラージェルエクセルライン

ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル酸イソボルニル、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリロイルモルホリン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジメチルシリル化シリカ、カルボン酸変性コポリマー(以下顔料等、目立つもので言えば、硫酸Ba、HALS、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、含水シリカ)

以前から申し上げている通り、ウレタンアクリレートオリゴマーといった表示名称はないので、全成分表示のルール違反ですね。

続いてエポキシアクリレートオリゴマーも同様に表示名称外です。

アクリロイルモルホリンはその名称から具体的な成分が想像できるので、完全アウトではないのですが、表示名称はありませんので、グレーです。

※表示名称申請中でも化粧品として販売することはできます。その際、該当する成分名は容易に想像が付く適切な名称を与えなければなりません。アクリロイルモルホリンはそれに該当しますが、はたして日本化粧品工業連合会に申請しているのかは分かりません。

トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドは405nm用の光重合開始剤です。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは365nm用の光重合開始剤です。

ジメチルシリル化シリカは増粘剤です。

細かな微粒子で粘度を上げたり、タレ性を改善したりできます。

カルボン酸変性コポリマーも表示名称にはないので違反です。

KOKOIST ソークオフクリアジェルエクセルラインII

ウレタンアクリレートオリゴマー、HEMA、アクリロイルモルホリン、メタクリル酸、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アクリルコポリマー、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール

ウレタンアクリレートオリゴマーは違反ですね。

HEMAはアレルギー性があるモノマーなので、もしほかのジェル等でアレルギーが出てしまっている方は使用を控えたほうが良いかもしれません。

アクリロイルモルホリンは先程と同様です。

このメーカーはアクリロイルモルホリンを使うことが特徴のようですね。

メタクリル酸は酸で終わっているので、酸性成分です。

pHを測ると1-2くらいの強酸性を示すかもしれませんね。

トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは光重合開始剤。

アクリルコポリマーはまた表示名称のないものなので違反です。

何かもよく分かりません。

3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールは溶剤でしょうか。

KOKOIST ソークオフクリアジェルエクセルマットコートジェル

メタクリル酸エステル系コポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル酸イソボルニル、鳥メタクリル酸トリメチロールプロパン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、アクリルコポリマー、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール

メタクリル酸エステル系コポリマーは恐らくいわゆる樹脂球と呼ばれるものです。

こうした樹脂球をジェルの中に入れることで、拭き取った際に表面がマットに仕上がります(光の乱反射)。

ただし、どんなコポリマーなのかは全くここからは分からないので、表示名称としては違反です。

KOKOISTまとめ

他の名称等がしっかりとルールに則っているにも関わらず、おそらく化粧品としての表示名称のないものを表示する際には、かなりいい加減に適当なネーミングで成分を表示してしまっているのが、この会社のスタンスですね。

全ての原料に化粧品としての表示名称は確かにありません。

ジェルネイルはまだ新しい分野なので、全然表示名称がないのが事実です。

しかし、申請はすることができます。

そして申請の為には、その名称から何であるかを理解できるような名称でなければならないのに、メタクリル酸エステル系ポリマーや、ウレタンアクリレートオリゴマーといった、いえば、食事の中で言えば「主菜」や「副菜」としか表示してないような状態です。

それでは主菜が何か分からないですよね。

ちゃんと「牛肉とピーマンの炒め物」や「麻婆茄子」といったように具体的に書かれていなければ、それが何かを消費者が知ることはできません。

知らない製品を買わされて、損をするのは消費者です。

もう少し配慮した表示名称を付けてくだされば良いのですが…。

長くなってきたので、次回に続きます。

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ベースジェル ライト 材料

なぜジェルネイルは欠けてしまうのか

最終工程はお客様によって

ジェルネイルは、従来のマニキュアとは異なり、爪の上で光当てて硬化させるタイプのネイルです。

工業的には光硬化性樹脂と呼ばれています。

そのメカニズムとしては、数百~数万くらいの分子量のモノマーやオリゴマーが、光重合開始剤により発生するラジカルを使ってお互いに結合(重合)し、数十万数百万あるいはそれ以上の分子量にまで増えていくことで、液状から固体へとその性状を変えていきます。

何をイメージするとわかりやすいのか難しいのですが、例えば、お米は炭水化物と呼ばれることはご存知かと思います。

炭水化物の中には、糖質と呼ばれるものがあり、お米はその一つです。

糖質の漢字の中には、糖という言葉があるように、お米は糖から出来ています。

小さな糖が重合し、分子量が大きくなった為に、お米は水分を含ませる前はすごく硬い、まるで硬化後のジェルネイルのような状態です。

一方でガムシロップは糖の中でも小さいものを中心に構成されており、まるで硬化前のジェルネイルのようです。

つまり、ガムシロップが重合し硬化したものがお米になる(本当になる訳ではないですが、イメージとして)ように、ジェルネイルも、硬化前の液状が、重合し、分子量が大きくなることで硬化した状態になります。

ジェルネイルは液体の状態で完成されたものではなく、未完成の状態で売られており、その未完成の液体をお客様の手で最終工程である硬化をさせることで、最終製品になるイメージです。

原料を作る工程、原料を混ぜる工程、液状のジェルネイルを充填する工程、どれも工程はいい加減なものではいけませんよね。

最終工程も同じです。

光硬化性樹脂の最終工程である硬化をいい加減にしてしまうと、せっかくここまでの工程が完璧でも、思ったような最終製品が出来上がらないのはご理解頂けると思います。

つまりジェルネイルはお客様によって完成される製品ということです。

ジェルネイルの持ちにも最終工程は影響する

ここまでお話をご理解頂けていれば、「ジェルネイルの持ちにも最終工程は影響する」ということがご理解頂けると思います。

どれだけ良いジェルであっても、硬化が十分ではない、または硬化しすぎているなど、設計された、想定されたこと以外の工程をしてしまうと、そのジェルが持っている力を十分に発揮することはできなくなってしまいます。

艶などは顕著でしょうし、カラーの半熟(よれ)なども見てわかりやすいですが、ベースジェルの持ちも同じように影響します。

各社のジェルネイルは、できるだけ各社から出されているライトで規定の時間で硬化させることが重要です。

それ以外の条件で行うと、少なくとも100%の力は発揮できないことが多いと思います。

ベースジェルだけが保ちを決めることはない

ジェルネイルの持ちは、ベースジェルに依存すると思われがちですが、そうではありません。

だいたいの場合において、ジェルネイルが剥がれてしまう時、トップジェルだけがめくれたりするでしょうか。

またはベースジェルとカラージェルが層間剥離をしてしまったりするでしょうか。

あまりそういったケースはないかと思います(ゼロではないです)。

大抵の場合、ジェルネイルが浮いてしまった、剥がれた場合は、トップもカラーもベースも一体となって浮いていませんか。

つまり、ジェルネイルはそれぞれの層として形成しますが、最終的には一体の層として捉える必要があります。

ベースジェルだけ変えて、密着性は変わるかもしれませんが、最終的な保ちはそれだけでは決めることができません。

そのベースジェルに相性の良いカラージェル、そしてそのベースジェルとカラージェルと相性のよいトップジェルを選択することが重要となります。

それぞれの層の硬さやジェルの混ざり具合(未硬化層と次の層は必ず混ざる、そこで相性が良くなければ剥離も起きやすい)なども重要となってきます。

ベースジェルをできるだけ良い状態で硬化させるには

とは言え、直接爪に付着する層がベースジェルであることは事実です。

つまりベースジェルが保ちに大きな影響が与えることが間違いありません。

そこでベースジェルはどのように硬化させることが良いのかですが、先程から申し上げているように、各メーカーそれぞれの思惑があって設計されているので、コレという正解はありません。

ただ、傾向がないわけではないので、それをご紹介しようと思います。

まずベースジェルが十分な密着性を発揮する為に硬化からアプローチできることは、十分に硬化すること硬化が早すぎて硬化収縮が起きないこと、この二点です。

一つめの十分に硬化するは、お分かり頂けると思います。

半熟であれば、スカスカな状態なので少しの力でベースジェルが変形したり、水が入り込んだり、様々なことが起きます。

なので十分に中まで硬化させることは最低条件です。

次に硬化が早すぎて硬化収縮が起きないことですが、LED化にともなって硬化時間は30秒や速いもので20秒または10秒といったものもあります。

こうした硬化速度の上昇は、自ずと硬化収縮にも効いてしまいます。

硬化収縮が大きくなると、爪への閉塞感も強まりますし、なによりベースジェルに応力がかかります。

応力がかかると、少しの力で爪から剥離したり、浮いてしまったりということが起きやすくなります。

つまり、各メーカーの条件で硬化させることが一番とは言え、いくつもライトを買うことができないセルフの方やネイルサロンにおいては、あまりにもハイパワーなLEDライトを使うと、硬化収縮が大きくなってしまい、ベースジェルの保ちの悪さに繋がる可能性があります。

適切な硬化で、安心なジェルネイルライフを

適切な硬化をすることで、ベースジェルの保ちは格段に良くなります。

その結果、浮いた隙間から菌が入ってしまうようなグリーンネイルや、浮いてきたジェルを無理やり剥がして爪が薄くなってしまうといった問題をも解決することができます。

なかなかそのジェルにあったライトを毎度買うのはお金がかかるので大変かと思いますが、ベースジェルを買い換えるだけでは、保ちが劇的に良くなるといったことは逆にないとお考え頂いても良いかもしれません。

ベースジェルも決して安くはないですが、それを何種類も試して数万円を使うくらいならば、いまあるジェルに合わせて、ライトをメーカー推奨のものにする方が結果的には良いかもしれません。

36WのLEDと12WのLEDで硬化させたジェルネイルは決して同じものにはなりません。

もちろんUVでも大きく異なります。

ただただWだけが影響することもなく、そのライトの配置や一つ一つのライトの照度、爪までの距離、いろんなことがライトによって影響します。

硬化はお客様の手でしていただくジェルネイルを最終製品とする最後の工程です。

ぜひそこにもご注力頂ければ幸いです。

 

 

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材料

ジェルネイル材料学:第一回 概要

はじめに

ジェルネイル材料学と題して、ジェルネイルに用いられる材料について解説します。

セルフの方、ネイリストの方含めてどちらにもジェルネイルがどんな材料でできているのかを知ることは、とても重要なことだと思います。

その結果、起きうる危険性についてちゃんと把握できますし、つまり安全性について説明できるようになります。

そうした知識は第一に自分を守る為に、そして施術する人を守る為に使うことができます。

馴染みがあまりないかもしれません化学系の話にはなりますが、ジェルネイルを更に理解する為には化学が避けては通れないことです。

ただ私も所謂トップネイリストの方(エキスポ等で壇上でセミナーされるような方やコンテストで表彰台の常連の方たち)とお仕事をする機会も多く、そうしたトップネイリストの方はほぼ全員よりジェルネイルのことを知るという貪欲さがあり、もちろん彼女らは化学を専攻してきた訳ではないので、とっつきにくい分野だとは思いますが、それでもすごく熱心に勉強されている印象があります。

このブログを読んでくださっている方が、今どのくらいのポジションの方なのかは分かりませんし、今後のビジョンをどのように考えていらっしゃるのかも分かりませんが、一つネイリストとしての格を上げる為の知識として、材料学は必須ではないでしょうか。

ジェルネイルの構成

ジェルネイルは大きく分けて、1.ウレタンアクリレート 2.モノマー 3.光重合開始剤 4.顔料 5.フィラー 6.添加剤の6つに分けられます。

それぞれの役割を一つ一つ確認します。

ウレタンアクリレート

ウレタンアクリレート化学式

(出典:共栄社化学様)

ウレタンアクリレートは塗膜を形成する主成分です。

この種類の選定により塗膜の性質が大きく異なります。

パスタで言えば、オイル系なのかトマト系なのかクリーム系なのかを左右するものです。

モノマー

(出典:三友化学様)

モノマーは基本的には希釈の用途が多いです。

ウレタンアクリレートは水飴のようでどろっとしています。

スプーンをさすと、ささって動かなくなるほど硬いものもあります。

それでは爪に塗ることができないので、緩めるために希釈する必要があります。

従来のマニキュアでは酢酸エチルや酢酸ブチルといった有機溶剤がその役割を果たしていましたが、ジェルネイルは基本的には有機溶剤を含みません。

その代わりにモノマーで希釈しています。

このモノマーはたくさんの種類があり、親水性のものや疎水性のもの、硬化後に硬くなるものや逆に柔らかくなるものなど、様々あります。

しゃばしゃばのものもあれば、とろとろのものもあり、匂いがあるものもあれば、刺激性があるものもあります。

この選択も大きくジェルの性質に影響します。

光重合開始剤

光重合開始剤は読んで字の如く、重合(硬化)を始める材料です。

UVライトの365nmやLEDライトの405nmに対応した光重合開始剤を選ぶことが重要です。

とは言え、使えるものは限られていて、たいていの場合「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」か「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」の二種類です。

前者がUV365nmに対応する光重合開始剤であり、後者がLED405nmに対応します。

どちらも粉末で、「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」の方は少し黄身がかっています。

透明なウレタンアクリレートやモノマーに混ぜると、少し黄身のかかったジェルネイルができるため、トップなどには紫色の顔料を打ったりすることがあります。

顔料

(出典:Kusunoki Sekkai様)

顔料には有機顔料と無機顔料の二種類があり、有機顔料は自然界にはあまりなさそうな色を発色させるために使います。

一方無機顔料とは、金属酸化物で、天然にあるような色のものです。

酸化鉄(黒、茶、黄土)といったものや、酸化チタン(白)がそれらにあたります。

どちらかと言えば有機顔料の方が退色などはしやすいです。

顔料には他にもパール顔料と言われるラメやグリッターがあります。

詳しくは日本光研様のサイトに掲載されているので、そちらも合わせて見ていただくとわかりやすいです。

https://nihonkoken.co.jp/pearl.html

マイカと呼ばれる鉱石に薄く酸化チタンや酸化鉄の膜を張ることで、きらっと輝く粒子が作られます。

パール顔料の構造

(出典:日本光研)

これがラメです。

酸化チタンだけで作ると白く光りますし、酸化鉄を混ぜると、金色などを作ることができます。

グリッターはフィルムの上にアルミニウムなどをコーティングすることでできています。それを細かくカットしたものです。

フィラー

(出典:EVONIK様)

白色の細かな粉体です。

シリカとよばれる粉体がほとんどで、大きさはnmサイズのものから100μmくらいあるものまで様々です。

これを混ぜることでジェルネイルの粘度を上げることができます。

またたくさん入れると、マットトップなどを作ることができます。

ジェルネイルが指に流れてしまうのを防いだりします。

添加剤

その他にも、レベリング性を良くしたり、顔料の沈降を防止させたり、抗菌性だったりと高機能化させるものとして添加剤があります。

かなり幅広いので紹介しきれませんが、ただ化粧品でかつジェルネイルに使えるものはあまり多くはありません。

まとめ

ジェルネイルの材料について、ほんの触りの概要を今回ご紹介させて頂きました。

今後、各項目についてじっくり解説していきたいと思います。

まずはそれぞれがどんな役割で入れられているのか、どんなものなのかを知って頂ければ幸いです。

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ソークオフ

資生堂と富士フイルムからソークオフが簡単なジェルネイルが出る!?

ソークオフとは

ソークオフとは、ジェルネイルを爪から剥がすことです。

通常はアセトンなどを使い、10分から15分ほど浸し、樹脂を膨らませて取ります。

アセトンは協力な脱脂作用があるので、皮脂なども全て溶かしてしまいます。

その結果、指がカサカサになったりと、嫌なこともいっぱいあります。

アセトンに浸す前にも、トップを削ったりと大変です。

できるだけソークオフが簡単になればいいはネイリストからもセルフネイラーからも聞こえる要望です。

セルフの方にとってもソークオフはとても面倒くさいことだと思います。

資生堂がジェルネイルを検討

特開2009-126833 人工爪組成物

簡単に内容をまとめると、イオン性のモノマーを配合して、pH3.5以下の液体(レモン汁のような)でソークオフできるといったものです。

酸性の水溶液に漬けるだけでソークオフできるのはすごく魅力的ですし、そもそも日本最大の化粧品メーカーである資生堂がジェルネイルをやはり検討していたことが驚きです。

この特許は審査請求されていないので、誰でも使える技術です。

どこかのメーカーからこの技術を応用した簡単に落とすことができるジェルが発売される日も遠くないかもしれません。

または資生堂が本腰を入れてジェルネイルの分野に参入してくることも考えられます。

化粧品の安全性に、ジェルネイルのメーカーとは比べ物にならないほど重きをおいている資生堂がジェルネイルの業界に本当の安全性をもたらしてくれるなら、それは消費者にとってすごく素晴らしいことだとは思いますが、一方でジェルネイル研究者として、資生堂の厳しい安全基準をクリアできるジェルネイルを作ることもまた難しいことを知っています。

この特許自体2009年のものにも関わらず、今になっても資生堂はジェルネイルに参入していないことを考えると、自社の安全基準をクリアできないという結論に至ったのかもしれません。

またはもっと単純に売上面の問題等もあるかとは思います。

富士フイルムもジェルネイルを検討

特開2017-141187 光硬化型人工爪用除去液、光硬化型人工爪の除去方法、及び、ネイルアートセット

以前にも富士フイルムがジェルネイルを検討している可能性について記事にしましたが、こちらは資生堂の特許に似たソークオフ性に関する特許です。

除去液が酸性であり、イオン性のモノマーを含むジェルネイルであるところに共通点がありますが、酸性に偏らす為の成分を限定しており、ピログルタミン酸かグルコノラクトンを使用することとされています。

私はどちらの成分も初めて耳にしました。

明細書中では、高極性(高い親水性)の為に、皮膚を保水する成分として働くといったことが書かれていました。

オフしながら、保水するといった、まさに理想的なソークオフだと思います。

富士フイルムがジェルネイルに参入しているのかどうか分かりませんが、(もしかしたらOEM等でもう世の中に出ているのかもしれません)もしこの技術でソークオフが劇的に改善されるなら、早く商品化してほしいですね。

ソークオフの今後

酸性除去液とイオン性のモノマーの組み合わせはどちらの企業も注目しているようですね。

既にジェルネイルに参入しているメーカーもこの技術に注目して貰えれば、新しいジェルが今後直ぐにでも出てくるかもしれませんね。

いずれにせよ、ソークオフが劇的に改善される日も近いかもしれません。

新しいジェルはきっとエキスポやビューティワールドジャパンで発表されると思うので、今後私もチェックを続けて、素晴らしいものがあればいち早く紹介したいと思います。

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ノンワイプトップ

ノンワイプトップジェルの危険性

ノンワイプトップジェルとは

従来のトップジェルは硬化後に未硬化ジェルの拭き取りが必要でした。

それを不要にしたのがノンワイプトップジェルです。

未硬化ジェルの拭き取りは確かに少し技術が必要で、拭き取りに失敗すると指に付着したり(炎症やアレルギーの原因)、ツヤが出なかったりもします。

あまり通常のサロンワークでは使われることはなかったように思いますが、ミラーネイルが流行ったことにより、サロンワークでもノンワイプトップを使うようになりました。

ちなみにミラーネイルとはノンワイプトップの上に薄いラメを均一にのせることでミラーのような光沢を出すことができます。

未硬化樹脂があるとその分沈んだり、均一にのらないので乱反射が起き、ミラーにはなりません。

そんな利点も多いノンワイプトップジェルですが、いくつか危険性もあるのでご紹介します。

硬化熱が高い

そもそもジェルネイルを硬化する時になぜ未硬化ジェルが残るのかというと、ジェルネイルの重合(硬化)はラジカル反応と呼ばれる反応で、このラジカルは酸素と非常に結合しやすく、酸素とラジカルが反応してしまうと、そこから反応が進まなくなってしまいます。

つまり空気に触れている層はラジカル反応が進行しないので未硬化ジェルとして残ってしまいます。

この空気との反応よりも速く硬化させたり、空気と反応しづらい成分を入れたりして出来上がったのがノンワイプトップジェルです。

硬化は従来のものよりも速い為、硬化熱も自ずと高くなってしまい、少しでも厚めに塗ってしまうと、地獄のような熱さを感じることになってしまいます。

その時の温度は局所的に100度を軽く超えるので火傷といって過言ではありません。

皆様も何度か「あつ!」とライトから手を引っこ抜いてしまったことがあるかと思います。

保管安定性が悪い

もう一つは酸素の反応しにくい成分を含むことによって、保管している間に硬化してしまうということです。

ジェルネイルが保管中になぜ硬化しないのかというと、それは光が当たっていないからだけではありません。

重合禁止剤と呼ばれる成分が入っていたり、容器内に酸素があることによって重合が阻害されるため、反応しないのです。

ところがノンワイプトップジェルでは、その酸素と反応しにくいものが入っているお陰で、暗反応と呼ばれる重合が進むことがあります。

暗反応とは光がなくても進む重合のことです。

つまり、保管しているだけで重合が少しずつ進んでしまい、ボトルタイプの口等に重合物が付着するといったことが起きてしまいます。

特に高温になるとこの現象は盛んになるので、ノンワイプトップはできれば冷蔵庫などで保管されると長持ちするかもしれません。

ただ一度重合がある程度進んでしまったものは、ゲルぽくなったり、塗ってもレベリングしなかったり、また光を当てても完全に重合しなかったりするため、取扱に注意が必要です。

酸素と反応しにくい成分「チオール」

ちなみにこの酸素と反応しにくい成分は、「チオール」や「メルカプタン」と呼ばれる成分で、硫黄のことです。

あの効果がありそうな温泉の匂いです。

ノンワイプトップの多くはこの「チオール」を含んでいる為、匂いもあまり良くないのが特徴です。

人によっては気分が悪くなると思うので、取扱には十分にご注意下さい。

過去には回収事例も

実は今は亡き「エースジェル」のノンワイプトップが昔回収されたことがあります。

確かその時は低温時に白濁または固化してしまうといった内容だったと記憶しておりますが、まさに最近の「edit.」と同じ現象ですね。

ノンワイプトップは自然現象である酸素によるラジカル重合の阻害を超えて作られた製品です。

自然に逆らうということは、無理をしているとも言えます。

そんな無理をしながら作られた製品なので、どこかしら欠点が出てきてしまうのは自然なことかもしれません。

オールグッドな製品を目指して研究は続けていますが、全てが化学で解決できるわけではありません。

ノンワイプトップのお取り扱いにはご注意を。

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ベースジェル

ベースジェルと爪との相性

ベースジェルと爪

よく「○○のベースジェルは合わない」「☓☓のベースジェルは合う」といったお話を聞きます。

本当にそうした相性といったものはあるのでしょうか。

そして相性とは何なのか。

どうすれば相性の良いベースジェルに出会うことができるのかについて考えていきたいと思います。

サンディング・ノンサンディング

大きく分けてベースジェルには2種類あります。

サンディングを要するものと、ノンサンディングのものです。

これらの違いは…私は「ない」と思っています。

ベースジェルの基本的な思想としては、爪によく密着するが第一です。

それはサンディングが要るものも要らないものも変わりません。

その次にオフができる(できるだけ簡単に)です。

これもどちらも変わりません。

他にも爪の上で縮まないやカラーが縮まずに乗るや、もちろん匂い、色などもありますが、どの項目もサンディング・ノンサンディングに関わらず求められることです。

つまり、サンディング・ノンサンディングとは成分などの違いというよりは、メーカーのコンセプトであって、基本的には同じベースジェルと言えます。

親水性・疎水性

サンディング・ノンサンディングではベースジェルは分類できないとすると、他にどこで分類できるでしょうか。

その一つは「親水性」「疎水性」だと思います。

親水性とは水に親しみがあるの字の如く、水と馴染みのよいことです。

疎水性とは親水性の逆で水に馴染みにくいことです。

油などが疎水性と言えます。

ジェルネイルは油性樹脂でできているので、基本的には疎水性だと思います。

その中でも水酸基や酸性基といった親水性の成分を多く含むものは水に溶けるとは言えませんが、水との馴染みが良いとは言えます。

一般的にこの親水性の程度は水接触角で計測します。

たとえばジェルネイルであれば、薄い硬化膜を作り、未硬化樹脂を取り除き(場合によっては取り除かなくても)そこに水滴を一滴垂らします。

その時の水滴の広がり具合で評価します。

(ここでの撥水は疎水と同じ意味です)

広がらないぷっくりとしたものは疎水性、べちゃーっと広がっているものは親水性です。

手持ちのベースジェルをクリアファイルなどに塗って硬化させて一滴水を垂らして頂くと、ご自身のもつベースジェルが親水か疎水かすぐにわかります。

または成分として「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」を覗いて、「ヒドロキシ」と書かれた「アクリル酸かメタクリル酸」が入っている場合(例えば、メタクリル酸ヒドロキシプロピルやHEMA)は、比較的親水性です。

接着成分

接着成分は大きく分けて、酸系とシランカップリング系に分けられます。

酸系はいわゆる酸が入っているというベースです。

アクリル酸、メタクリル酸、リン酸(またはフォスフェート)などがそれに当たります。

一方酸フリーと謳っているベースのほとんどはシランカップリング系です。

シランカップリングとは、水分に反応して結合を作る成分です。

成分名としては「メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」のような名前が書かれていればシランカップリング系です。

爪表面に水分と反応することで爪との接着や樹脂間の結合を強くします。

これらの分類は非常に大きく異るので、ご購入される前には見ていただいたほうが良いかもしれません。

爪の中のベースジェル

いままではベースジェルの分類について考えてきましたが、私の一番のおすすめとしては、同じジェルを使い続けるということです。

初めてジェルネイルをされる方は爪がまっさらで綺麗なので、爪に水分も油分もしっかり蓄えられており、ジェルネイルがくっつくのに邪魔な成分でいっぱいです。

なかなかそうした場合にはジェルネイルがよくくっつくことはありません。

ところがジェルネイルをすることで、爪の内部にジェルネイルは入り込み、爪の一部がジェルネイルになっていきます(聞こえは良くないですね)。

そうすることで、爪とジェルネイルの馴染みが良くなり、持ちはどんどん良くなります。

ただこのジェルネイルとの馴染みは、同じようなジェルネイルの場合にのみ発揮されます。

つまり上で分類したような親水性のジェルネイルの次に疎水性のジェルネイルを塗ったり、酸系のジェルネイルの次にシランカップリング系のジェルネイルを塗ったりすると、その効果は全く得られず、むしろかえって剥がれやすくなります。

数回に渡って同じジェルを塗ることで、爪の中にジェルネイルがどんどん浸透し(なんとなく気持ち悪いですが)、そのジェルネイルと相性の良い爪になってきます。

浸透といってもおそらく0.01mmや0.1mmといった膜圧の話だとは思うので、それほど心配することはないと思います。

一度使って合わないとなっても、何度か繰り返すことでどんどん持ちは良くなると思うので、使い続けるというのもありかなと思います。

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ツメコ

千趣会「TSUME.CO」ネイルをプリンターで!

TSUME.COとは?

https://tsume.co/

カワイイ!早い!安い!
5本指同時に施術できるネイルプリンターを使った新しいジェルネイルサービスです。

レンド・シーズン・イベント・・・ツメコでしかできない繊細なアート、クリエイターが描いたイラストなど、今すぐしたいデザインがいっぱい!新作も毎月UP♥

ツメコネイルチップ

人気のフラワー、レース、アニマル柄をはじめ、各クリエイターの個性あふれるデザインが満載。オフィスやイベント、パーティなど、シチュエーションに合わせてお楽しみいただけます。

またツメコはネイルプリンターで爪の大小に関わらず均一に施術するので、爪が小さくてジェルネイルで思うようなアートができなかった方や仕事や家事で爪が伸ばせない方にもおすすめです。

とうとうプリンターでネイルができる時代がやってきました。

しかも千趣会と言えば、通販事業の大手企業です。

そんな企業がネイルに参入、期待できますね。

特許も出願中

日常業務の一貫として、ネイル関係の特許を閲覧している時に、見つけました。

JPA_2017213267

どうやらプリンターで絵柄を書くために必要な塗り方(層の重ね方)に特徴があるようです。

一般的なジェルネイルは、全て同じような「ウレタンアクリレート」系の光硬化性樹脂でできていますが、「TSUME.CO」はプリンターで絵柄を印刷しているようです。

もしこの絵柄が一般のご家庭にもある水性インクジェット式のものであれば、ジェルネイルは撥水性が強いのでインクジェットは乗らないと思います。

そこでインクジェットを載せることができるような層を作ることが重要になっていそうです。

私ならいわゆるUVインキと呼ばれる、光硬化性樹脂でできたインクをプリンターから出す方が良いのではないかと考えます。

UVインキは読んで字の如く、シャバシャバのジェルネイルを紙などに印刷するといった技術です。

「エースジェル」を作っていたと思われる「十条ケミカル」も同じくUVインクを得意とする会社でした。

最近の光沢のある広告パネル等はこうしたUVインキで刷られていることが多いみたいです。

ネイルの上に直接こうしたUVインキで印刷したら、層を重ねる必要なく、筆では書くことができない絵柄(たとえば写真とか)を書くことができるようになるんじゃないかなと思います。

競合にAutoNail

恐らくネイルプリンターとしては、AutoNailの方が先にスタートしたのではないかと記憶しています。

https://autonail.net/

こちらは残念ながら一本ずつしか印刷できないようですが、コトとしては「TSUME.CO」と同じですね。

プリンターも小さく、四角く、なんとなくAppleの製品のようでかっこいいですが、約10万円程するとのことで、少し高い印象があります。

サロン専売とのことで、こちらもサロンが導入して、お客様に施術するスタイルですね。

セルフネイル向けの簡易プリンターなどもあれば、セルフネイルがもっと捗るようになるのではないかなと思います。

ネイルプリンターの今後

いわゆるAI台頭時代に今は入ってきてます。

AIによって奪われる職の一つに「ネイリスト」も挙げられています。

これはまさにこの「ネイルプリンター」に取って代わるということだと思います。

今はまだ「印刷する」といったことしかできないネイルプリンターですが、たしかにAIがこのプリンターに入り、またはスキャナーも含み、そしてUV硬化型になれば、爪の形や厚み、カーブを読み取り、最適なフォームのベースジェルを塗布し、硬化、続いて絵柄の印刷…といったように全てAIスキャナープリンターで賄える時代が来てもおかしくないように思います。

まだ先のことかもしれませんが、ネイルプリンターがネイリストにとっては脅威になる日がきっとくるのではないでしょうか。

それでも、私としてはハンドメイドのネイルサロンは生き残れると思います。

というのは、ネイルサロンはただ施術をすることではないからです。

2時間、3時間といった時間をかけて施術する中でお客様との対話は非常に重要です。

心地よい空間をご提供することでお客様のリピートに繋がります。

それは決してネイルプリンターではできないことです。

いや、AIもお客様に合わせて話すようになるのだろうか…。

それだとハンドメイドの良さが…?

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エディット カラージェル

タカラベルモント「edit.」回収か

edit.とは

2017年11月に開催されたエキスポにてデビューしたジェルネイルです。

タカラベルモントが製造販売元となっています。

タカラベルモントと言えば、バイオスカルプチュアが有名ですね。

バイオスカルプチュア自体は南アフリカ共和国が原産国となっているので、恐らくタカラベルモントは輸入しているだけと思われます。

バイオスカルプチュアやシェラック等の海外ジェルを販売することで得たジェルネイルの知識を持って、満を持しての「edit.」の販売だったのではないかなと思います。

更に豪華な事に、「edit.」はVETROでアートディレクターをされていた「竹原」先生が監修されています。

華々しくデビューし、3~4ヶ月目でようやくTATで買えるようになっており、気になってはいましたが、不具合が起きているとのことです。

edit.の不具合の内容

詳しくは「edit.」の公式サイトに掲載されています。

edit.冷温時における固化について

このプレスリリースによると、どうやら低温になるとツヤがなくなり、粒が見られる様になるようです。

なぜそうなるのかについては「撹拌不要で、縮まない為」と書かれていますが、実際に何がどうなってそうなっているのかについては書かれていません。

40度程度まで加温すると品質上問題ないとのことですが、なかなか40度まで温めるのは難しいような気がします。

お湯に漬けるのは、ジェルに水が入る可能性があるので、チャック袋などに入れて漬けるのが良いかもしれません。

それこそお風呂に入る時に一緒に連れて行くと手間ではないかもしれません。

必殺技としては電子レンジでの加熱ですが、本当にすぐに熱くなってしまうので、頻繁に様子を見ながらされるのは良いかもしれませんが、どうなっても責任は取れませんので、自己責任でお願いします。

私は時々ベースジェルが冬の朝で硬い時とかにやります。

または時間がかかっても良いならば、一緒に寝るのもありかもしれません。

寝間着のポケット等に袋にいれたジェルを入れて寝ると、朝にはすっかり戻っているかもしれません。

ただこのようにして戻したとしても、または戻りきらなかった場合、粒が残っていれば塗った際にボコボコの原因になる気がします。

edit.不具合の理由

ジェルネイルを作る研究者から見て、これはほぼ間違いなく「ウレタンアクリレート」の結晶化だと思います。

「ウレタンアクリレート」の中には、結晶性が高いものがあります。

結晶性とは、見た目固体のようになってしまうことです。

通常の温度では非常に高粘度の液体であることが多いですが(水飴のよう)、時々低温になると結晶化してしまうものがあります。

すると、モロモロとしたゼリー状になります。

まさにedit.のカラージェルがゼリー状になっているように見えます。

「ウレタンアクリレート」同士の引き合う力が強いものを使用した時にこうした結晶化現象は起きやすい印象です。

恐らくedit.に使用された「ウレタンアクリレート」もお互いに引き合う力が強いものだと思います。

その結果、たしかに強靭な塗膜が出来上がったり、硬化性が良かったりと良いこともたくさんありますが、ゼリー状になるのは困ったものです。

こうしたことが起きないように、通常テストとして低温での保存安定性を確認します。

例えば北海道の冬の朝でも使えるのか、または輸出するのであれば空輸に耐えられるのか、などそうした耐久性は見るべきだと思うのですが、もしかしたら見落としていたのかもしれません。

または逆に高温50度程度での劣化促進テストも行います。

夏場の倉庫内は非常に高温になりやすく、局所的には60度になることもあります。

そうした中でジェルネイルが変性したりしないか、または常温で2年保管した時の状態を数ヶ月で再現したりと、そうしたテストも必ず行います。

edit.は回収か?

恐らく回収になるのではないかと思います。

冬だけとは言え、これが春になっても恐らく一度結晶化したものは元に戻りにくいので(40度以上になる真夏まで待てば自然に戻る?)、今倉庫にあるもの等は回収されるだろうと思います。

既に購入された商品については、イメージの問題もあるので回収しないかもしれませんが、そんなジェル買わないと思ってしまうユーザーも多いと思うので、イメージダウンはいずれにせよ免れないところですね。

ただ回収されれば、次はより良い製品になって帰ってくることは間違いないので、次世代のedit.に期待したいと思います。

もしご購入を検討されている方がいらっしゃれば、お気をつけ下さい。

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カラージェル

カラージェルの退色を防ぐ為にできること

カラージェルが退色する?

ジェルネイルをされている方またはサロンで働くネイリストの方の中には、カラージェルが退色してしまう問題に遭遇したことある人が何人かいらっしゃるかと思います。

カラージェルは残念ながら退色してしまうことがあります。

それはある意味自然の摂理でもあります。

古いベンチやポスターの特に赤が薄いピンクになっているのをご覧になったことがあるかと思います。

これも同じようなことが起きています。

なぜ退色するのか

このポスター等の日光が長時間あたることにより退色してしまったものは、顔料の特性によるものです。

顔料のいくつかは光に弱いものがあり、長い時間光に曝されることで顔料が壊れ退色してしまいます。

ジェルネイルでも結果としては同じような現象が起きる為に退色してしまいます。

具体的には、化粧品のジェルネイルには化粧品として認められた顔料しか配合することができません。

それらの顔料は比較的、光などの外部からの攻撃に弱い性質を持っています。

ジェルネイルにおいても、つけている時に太陽の光は浴びますので、同じように光で退色する可能性もありますが、その期間は長くても二ヶ月程度なので、私はあまりそれを原因とは考えておりません。

むしろ、ベースジェルに含まれる酸やカラージェルを硬化させる光重合開始剤による影響が大きいと考えています。

ちなみにネイルパフェのHPにも同じような記載がありました。

化粧品登録をしている色素を使った場合、必ず色が退色する、というわけではありません。
弊社の今までの商品開発上の実験では、ある特定の化粧品の色素が退色しやすいというところがわかっております。
その色は弊社のカラーの、06レザンや、61グリシーヌ、マグネットジェルのS12エマンマロンなどに入っている色素です。なので、全ての化粧品登録の色素が退色するわけではありません。
また、今までの経験から言えることとしては、「酸が強い」と思われる他社のジェルと、ネイルパフェジェルの組み合わせは退色しやすいということがわかっており、これはまた別のことと認識しております。

どうすれば退色を防ぐことができるか

起こる原因を考えると、対策が見えてきます。

1.光による退色

これはあまり気にする必要もないですし、難しいので対策なしです。

2.光重合開始剤による退色

固まりが良いカラージェルは大抵の場合多くの光重合開始剤を含んでいます。

その結果、カラーが退色しやすいといった問題も起きやすくなります。

発色が良いことは素晴らしいことですが、過剰に開始剤を入れて硬化させ、退色が起きてしまうものを選ぶよりは、少し発色が劣っても退色しないものを選んだほうが、サロンワーク等においてクレームに繋がる可能性は低くなります。

3.酸性ベースによる退色

ベースジェルは常に爪から水分が供給されます。ベースジェルに含まれる酸性成分はその水に乗ってカラージェルに入り込むかもしれません。

そうなるとカラージェルが酸性ベースの酸に犯されて、顔料が退色してしまうので、できるだけ酸性度の低いベースジェルを選ぶことが重要です。

ではどのように酸性度を見極めるかですが、ホイルアートを直接ベースジェルに施し、クリアで仕上げて過ごすと、ホイルアートが消えてしまうものは酸性度が高いです。

ホイルアートは、アルミを使用しています。

アルミは酸性のものに触れると溶けてしまうので、ベースジェルが酸性である場合、時間の経過でアルミが犯されしまいます。

または匂いを嗅ぐといった方法もなくはないですが、アクリル酸イソボルニルやメタクリル酸イソボルニルといった「イソボルニル系」は匂いが強いため、酸性の匂いをマスクしてしまう可能性があります。

または少しお高いですが、pHメーターなどを購入し測定してみると、それぞれのジェルの酸性度が分かります。

または、この酸に触れていなければ良いので、カラージェルとベースジェルの間にトップジェルを挟むのも効果的です。

トップジェルは硬いので水分等も簡単には通過することができない為、酸も同じように通過できません。

退色しないものがベストですが、化粧品顔料を使用する以上避けられない問題の一つでもあります。

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ネイルパフェ 材料

ジェルネイル「ネイルパフェ」の秘密を暴く

ネイルパフェとは

製品へのこだわり、使い心地、質感、
ネイリストの理想をネイルパフェジェルは追求しました。

爪と肌にやさしい
アレルギーレス
ジェルアレルギーの方でも使えるように、やさしい配合にこだわっています。
「ネイルは楽しみたいけれど、アレルギーでジェルが使えない…」
ネイルパフェ ジェルは、アレルギーを引き起こすと言われている成分は使用していません。
日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている成分のみ100%配合した、化粧品ジェルです。
さらに、製造も充填もすべて信頼できる日本国内の工場で製造している「こだわりの国産ジェル」です。
(※全ての方にアレルギーが出ないということを保証するものではありません。)
国内製造にこだわり、
日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている成分成分のみで作っています。
成分設計へのこだわり
イソボルニルアクリレート、アクリル酸、HEMAの3つの成分を使用していません。

書いてあることはすごく立派なことだと思いました。

そしてとても大事なことであり、よくある謳い文句としての「良さそうに聞こえること」ではなく、本当に考えるべき内容です。

ただ、書いてあることだけを鵜呑みにするのではなく、本当にそうなのかをちゃんと確認していきたいと思います。

ネイルパフェカラージェルの全成分表示

ウレタンアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ホスフィンオキシド誘導体、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、シリカ、(+/-)顔料等

さっそくこれらの成分を調べたところ、ウレタンアクリレートとホスフィンオキシド誘導体は、「化粧品の成分表示名称リスト」には収載されていませんでした。

収載されている原料でのみ作ってはいるけど、表示は収載されている名称を使用していないということでしょうか。

もちろんそれは薬機法違反です。

別記事でも申し上げましたが、基本的に化粧品として販売する上では、この「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている材料と、その名称をラベルに記載することが義務付けられています。

これを守れていないということは、つまり化粧品としては販売してはならず、自主回収の対象です。

ネイルパフェベースジェルの全成分表示

ウレタンアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ホスフィンオキシド誘導体、メタクリル酸、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン

こちらも先程同様、ウレタンアクリレートとホスフィンオキシド誘導体がリスト外の成分です。

ちなみに、ホスフィンオキシド誘導体とは、恐らくトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのことで、光重合開始剤です。

一般的なLEDライトの波長405nmの光を吸収し、硬化させるための光重合開始剤です。

また一つ気になる成分として「メタクリル酸」が含まれていました。

メタクリル酸はそのまま読んで字の如く「酸」です。

しかも、非常に腐食性が高いと言われている「アクリル酸」にメチル基(炭素1個と水素3個)が増えただけの、それほど大きく異ならない成分です。

私なら絶対にジェルネイルには配合しない成分の一つです。

強烈な不快な匂いがします。

もしかするとネイルパフェのベースジェルからはそんな匂いがするかもしれません。

全成分表示はどこから入手しているのか

ネイルパフェを援護するわけではないのですが、恐らくこのメーカーもいわゆるOEM製造を委託しているのだと思います。

つまり自社で工場は持たず、ジェルネイルを作れるメーカーにお願いしているということです。

そうなると、そのジェルネイルを設計した人(会社)から全成分をもらうことになります。

一般的にこうしたネイルメーカーには薬機法等に強い人がいない可能性が高いので、結果としてOEM先から出てきた全成分をそのまま信じて、それが正しいのか確認することなく、ラベルを作製してしまうといったことが起きているのではないかと思います。

売り文句としてはすごく良い言葉が並んでいましたが、実態は少々残念であると言わざるを得ません。

もしかしたら今はもうラベルが変わっているかもしれませんが、そういった不確かなまま製品化したこともまた事実です。

良いジェル・悪いジェルを見極める術を惜しみなくこれからも公開していきますので、皆様自身で良いものを選んで永くジェルネイルを楽しんで下さいますようお願い申し上げます。

 

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化粧品 材料

ジェルネイルの作り方

ジェルネイルの作り方を考える意味

「ジェルネイルを作ってみよう」といったクックパッド的なお話ではなく、ジェルネイルがどんな材料で、どんな風に作られ、どんな管理が必要かといったことを知っておくことが重要だと私は考えています。

ジェルネイルの材料については別の記事でご紹介しているので、そちらも合わせて読んで頂けると、より理解して使うことができるかなと思います。

ジェルネイルの材料

ジェルネイルの最終的な良し悪しは好みを含めて、使い心地であったり、硬化性だったり、色目だったり、そういった「性質」であることは間違いありません。

ただいくら性質が良いとしても、正しく安全に作られているかどうかといったことは中々消費者には分からないことですが、そこまで考えていくことがプロフェッショナルには必要なんじゃないかなと思います。

少し違った話にはなりますが、最近日本企業のずさんな品質管理などが問題になっています。(タカタ、神戸製鋼、日産自動車等々…)

ジェルネイル業界、化粧品業界においても同じことがないとは言い切れません。

タカタはさておき、神戸製鋼や日産自動車の問題は最終的な「性質」には大きな影響、いや全くといっていいほど影響はなかったのではないでしょうか。

車が走らない、途中で壊れるといったこともなく、作ったアルミ製品が破損したりすることもなく、ただその検査体制等が決められたルールを守っていなかったということです。

それでも、それは間違いなく批判されることです。

ジェルネイルも最終的な「性質」が良いからといって、それで良いのでしょうか。

どんなメーカーがどんな風に作り、どんな品質管理を行い、市場に出しているのか、それを知ることもやはり重要ではないでしょうか。

ジェルネイルの作り方

ジェルネイルの作り方自体は非常に簡単です。

材料であるウレタンアクリレート、アクリルモノマー、光重合開始剤それと顔料やフィラーといった添加剤を入れて混ぜるだけです。

原料を入手することができる製造メーカーであれば、誰でも作ることができます。

ただ作るだけなら。

もちろん、ジェルネイルの良し悪しを決める「性質」はその材料の選択や量といった処方の違いによって生まれてきます。

でも、その「処方」が一緒であっても、「性質」が変わってくるのが、「作り方」です。

これは料理とかと同じですね。

良いジェルネイルの作り方

第一にジェルネイルは化粧品であったり、化粧品に準ずるような雑貨品であることから、埃等の異物が混入すること、菌類が混入すること等を絶対に避けるべきものです。

なのでクリーンルームと呼ばれる設備で作られることが好ましいです。

防護服みたいなものを着て、髪の毛等が入らないように、入室前にはエアーシャワーを浴びて、ダストを飛ばし、靴などもちゃんと履き替え、粘着テープ等で埃を落として、手は消毒をしっかり行い、さらに手袋をすることが望ましいです。

ここまでは一般的な化粧品において製造する環境と同じですが、ジェルネイルは蛍光灯でも硬化する性質があります。

そこでイエロールームと呼ばれる紫外線等を遮断するフィルムを蛍光灯などに巻き付け、ジェルネイルが硬化する波長(405nmくらいまで)をしっかりとカットすることが必要です。

そうした環境で作られたジェルは一切光が当たっていないような条件で作れる為、先日のトリネのジェルのように「日焼けした」や「硬化の恐れが」といった話には絶対になりません。

ジェルネイルを作っているメーカーの中には、あまり資金力がないところも多く、そういった設備を準備できていないところも多いのかもしれません。

どんなところで作られているかを知る術はありませんが、ジェルネイルがどのように作られている可能性があるかを知っておくだけでも違うかなと思います。

最終的な「性質」だけに惑わされず、正しいご判断で「良いジェルネイル」を見つけて下さい。

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材料

新たなジェルネイルメーカーの参入

新たなジェルネイルメーカー

特許をJ Plat Patで調べていたところ、これまでにないメーカーからのジェルネイルに関する特許が出願されていました。

JPA_2018016570

【出願人】ケーエスエム株式会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)~(C)を含有し、組成物不揮発分中の30重量%以上が水酸基含有(メタ)アクリレート (A)であることを特徴とする美爪料。
水酸基含有(メタ)アクリレート (A)
不飽和基を有するシランカップリング剤 (B)
光重合開始剤(C)
【請求項2】
更に、シリカ粒子(D)を含有する請求項1記載の美爪料。
【請求項3】
更に、ウレタンアクリレートオリゴマー(E)を含有する請求項1又は2記載の美爪料。
【請求項4】
ベースコートとして使用されるものである請求項1,2又は3記載の美爪料。

この特許について見ると、全体のうち30%がOHを持つモノマー(HEMAやメタクリル酸ヒドロキシプロピル)であり、シランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)も含む、といったベースジェルを特徴としています。

ちなみにこのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を含むベースジェルとしては、プリジェルやシャイニージェルのベースが該当します。

もしかしてケーエスエム株式会社が作っているのかもしれませんね。

ケーエスエム株式会社とは

ケーエスエム株式会社は”ケミカル・アーティスト”としての自覚と誇りを持つ先端技術頭脳集団が集結し、高付加価値のある新しい高機能性樹脂の研究開発に努めております。

具現化された化合物について、研究プロセス、技術開発プロセス、生産プロセスへと展開し、革新的な高機能性樹脂を世の中に提供します。
また、紫外線硬化型樹脂を中心に、ハードコート、電子材料、水性化樹脂、精密接着剤の分野でも活躍し、人々の生活の質的向上に向けて社会貢献致します。

研究から製造までの幅広い分野で、お客様のニーズにお応えすることをモットーとし、お客様はもちろん、社員にとっても無くてはならない”企業”を目指し続けていきます。

どうやらウレタンアクリレートのメーカーのようです。

電材関係を中心にされているようですが、ジェルネイルも作るようですね。

こうしたウレタンアクリレート等の原材料を作るメーカーがジェルネイルまで作るパターンも多くなって来たように思います。

噂ではVETROを作っているところが、ウレタンアクリレート樹脂を作るメーカーだとか。

今後のジェルメーカーの動向

こうした原材料メーカーがどんどん参入してくると、これまでは電材用途等に設計されてきた原材料が、ジェルネイル用途に設計されるようになるかもしれません。

そうなると今まだ問題になっている、持ちの問題や、オフの問題も解決できる可能性があります。

原料の発展にも大いに期待したいです。

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トリネ 回収事案

トリネ クレンジングジェル回収!!

トリネとは?

TAT専売の2017年に出た新しいジェルネイルです。

TRÏNA=TRIP+NAIL

旅する女性、その非日常的な出来事を毎日感じられように。
非日常な出来事との生活をリンクさせる架け橋になれたらと、TRIP(旅)+NAIL=TRÏNAは誕生しました。

100 色以上有るカラーラインナップの名称にも特徴があります。
施術するネイリストだけではなく、 お客様に伝わりやすく覚えて頂けるよう、世界各地の地名を使用しています。

TRÏNAカラージェルが塗られた爪から連想する、新しい旅立ちをお手伝いします。

エキスポかBWでデビューした時はすごく売れててびっくりしました。

容器も可愛くて、良いなあと思っていましたが、化粧品ではなかったと思います。

(もしお持ちの方がいれば、側面ラベルか裏面ラベルを見て下さい、化粧料とかいてなければ化粧品では基本的にありません。)

トリネの回収内容

回収の内容をTATに確認したところ、もう掲載されていませんでした。

回収事は印象良くないですからね、消したのかもしれません。

別サイトに回収の内容があったので、下記に記します。

「トリネ クレンジングジェル 100mL」で、ごく稀に容器内のクレンジングジェルが硬化してしまう事例が確認されていることから、手元の商品が硬化している場合は返金対応する。黄ばみがかってくるという報告も稀にあるが、 直射日光の照射による「日焼け」のような状態で、商品の品質には影響はないため、そのまま使用できる。

ジェルネイル研究者としては、いやいや…と言いたいです。

硬化するために必要なことは光があたる、または熱がかかることです。

一度光があたったジェルは反応が停止しているようで、暗反応が進行します。

暗反応とは暗いところでも起きる反応です。

つまり、このジェルネイルは遮光された環境等では作られておらず、光あたるような場所または熱がかかるような製造をしている、そのもの自体品質として好ましくない製造方法で作られていると考えられます。

そのようなジェルを使うのが良いのか…ご判断下さい。

今硬化していないとしても、もう光や熱が既に新品の状態なのにかかっている製品であることは間違いありません。

 

 

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プライマー

ジェルネイルの持ちを良くする為にはプライマーを塗るべき!

ベースジェルが浮く理由その1:応力

プレパレーションをしっかりとし、ベースジェルを塗り、規定の時間で照射し、完璧に施術したとしても、2週間くらいで浮いたり、欠けたりしてしまうことがあります。

これはなぜ起きるのでしょうか。

塗られた瞬間は爪とベースジェルはしっかりとくっついているように見えます。

ところが、そこには力がかかっている場合があります。

これが応力と呼ばれるものです。

ジェルネイルは光硬化性樹脂であり、硬化する時に体積が約10%程収縮することが知られています。

つまり、ベースジェルを爪に塗って硬化させても約10%程は収縮してしまうので、爪とジェルの界面に応力がかかります。

その結果、少しの力がジェルネイルに加わるだけで、応力を緩和させようとして爪から剥がれるといったことが起きます。

一見、硬化後に縮み等が見られないベースジェルでも、ほぼ間違いなく硬化収縮は起きており、応力がかかっていることは間違いありません。

比較的硬化後の硬度が高いジェル(トップジェルのような)ものはその硬化収縮も大きくなる傾向にあります。

その点からもベースジェルは爪への追従性が良い、硬化後の硬度が低い、柔らかい(決して粘性・粘度のことではありません)ものを選ぶほうが良いかもしれません。

ベースジェルが浮くその理由2:水分によるソークオフ

爪からは絶えず水分がジェルネイルにも供給されます。

もちろん手を洗うといった外部からの水の侵入も考えられます。

ジェルネイルはどちらかと言えば構造が緩い、すかすかの樹脂です。

つまり、その隙間にはどんどんと水分が侵入できます。

硬化後の硬度が高いものほど、密度が高くなるので、水分の侵入はし辛くなります。

比較的親水性の柔らかいベースジェルを塗って水につけておくと、一日後にはふやけてブヨブヨになってしまいます。

これはもちろん爪の上に乗っているベースジェルにも同じことが言え、目には見えないレベルでブヨブヨとしてしまう為に、爪との剥離が起こる、つまり水でソークオフされたような状態になっていると言えます。

それを防ぐためには、できるだけ疎水性のベースジェルで、かつ密度が高く水分が侵入しにくいジェルを作るほうが好ましいと私は考えています。

一方でカルジェルのように水分を透過させるといったメカニズムや、シャイニージェルのように水分で網目を補強し、強くするといった考え方もあります。

このあたりは各社の思惑もありますし、人それぞれ、爪それぞれの相性もあるので、どのベースジェルが自分にあっているのかを探す一つの目安になるかもしれません。

ベースジェルが浮くその理由3:爪への接着力の低さ

そもそもベースジェルが爪と接着してなければ、爪からは容易に剥離してしまいます。

これもまたベースジェルの設計の難しいところですが、基本的には酸性成分を入れることで、爪表面にある水酸基等の極性基と結合し、接着性が出ます。

決して、爪を溶かしてくっついているといったことはないので、ご安心下さい。

もし、溶かしてくっついているのであれば、そんな簡単には取れません。

ベースジェルの接着力は、酸性成分の選定と、酸性成分の量と言っても過言ではないかもしれません。

もちろん酸性成分以外での密着も考えられますが、基本的には酸性成分です。

なぜプライマーを塗ると接着力が上がるのか

例えばベースジェルに酸性成分を10%配合すると、ベースジェルと爪の界面には10%しか酸性成分が存在しないことになります。

その10%でベースジェルが爪にくっついていると思って下さい。

それでは不十分な人(人差があるので)には、より酸性成分を増やしたベースジェルも考えられます。

ところが、そうなると酸性成分は基本的に親水性なので、水を呼んでしまいます。

そうなると、水でソークオフの危険性が高まります。

そうなると、いかに酸性成分を爪との接着に使えて、かつ水でソークオフされないかが重要となります。

その時に使えるのがプライマーです。

プライマーはベースジェルの接着に生かせないものを省いた、いわば接着する成分だけでできている上、水分除去もしてくれるといった理想的な下処理剤です。

プライマーを塗ることで、ベースジェルに含まれる接着成分だけが爪に乗り、接着力を大幅に上げることができます。

ソークオフ性もほとんどの場合悪化するといったことはありません。

ソークオフは、ベースジェルがアセトンによって膨潤することによって爪から剥がすことができるようになることであり、爪とベースジェルの界面を剥がすことではないからです。

酸が入っていないプライマーなども売られていますが、それは大きな効果が見込めないと思います。

プライマーを塗ることで、しっかりとベースジェルが爪に密着し、その結果外からの菌によって成るグリーンネイルなども防ぐことができるので、是非プライマーを塗って、オフする時までちゃんとくっついたままのジェルネイルを楽しんで下さい。