ジェルネイル成分の一つ、HEMA
ジェルネイルはいわゆるモノマーと開始剤から作られています。
そのモノマーのうち、ジェルネイルによく使われているのがHEMAです。
HEMAとは、ヒドロキシエチルメタクリレートという化合物の略称で、表示名称としては、HEMAとなります。
他のモノマーと同じような書き方をすると、メタクリル酸ヒドロキシエチルとも言えます。
比較的小さな分子構造で、ヒドロキシ基(=水酸基)を持つことから、肌なじみが良く、爪への塗り心地の良さから使われることが多いです。
アレルギーとは
HEMAはアレルギー物質である、という噂を聞いたことはないでしょうか。
これは正しくもあり、間違ってもいます。
大前提として、すべての人は、この世に存在する物質のほとんどのものにアレルギー反応を示す可能性があります。
例えば、小麦、花粉、卵、ハウスダストなどが有名ですね、他にも、水、太陽光などもあります。
つまりHEMAに限らず、ジェルネイルに含まれているものはすべてアレルギー反応を起こす可能性があります。
ただしその起こりやすさはそれぞれの物質と、その人によって異なります。
10人中10人がアレルギー反応を示す物質もあれば、10人中1人しか示さない物質もあります。
どちらが安全かはおわかり頂けると思います。
HEMAアレルギー
では実際にHEMAはどうなのか、というのを調べてみるとさっそく文献がヒットしました。
これはゴム手袋をした上で、HEMAがゴム手袋に付着した場合、皮膚に炎症が起きたという事例を報告しています。
つまり素手なんてもっての他、ゴム手袋をしていてもHEMAに接触すればアレルギー反応が起きる可能性があるということです。
SDSという、その物質の説明書があります。
そこの皮膚感作性(アレルギー性)の項目には、
GHS分類: 区分1
本物質を取扱うことにより接触性皮膚炎を発症した歯科技工士、及び本物質の80%溶液を扱う実験技術者がパッチテストで本物質に対して陽性であったとの報告や、電子顕微鏡包埋剤やソフトコンタクトレンズ製造者が本物質に感作された事例の他に複数の事例の記載 (SIDS (2005)、DFGOT vol. 13 (1999)) がある。モルモットを用いた皮膚感作性試験では、陽性と陰性の試験結果が複数報告されている (SIDS (2005))。これらの結果から本物質は感作性を有すると考え、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1, H317に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。
とされており、感作性があるとの結果です。
HEMAだけが危ないわけじゃない
単純にHEMAだけが危ない訳ではありません。
他のモノマーも同じように刺激性やアレルギー性を示すかもしれません。
それだけジェルネイルは危険なものだということです。
爪は死んだ細胞です。
つまり爪に付くだけであれば、おそらく人体に影響は少ないと思います。
しかし塗っている最中に指に付いた、アセトンでソークオフした、ということをすれば、絶対にHEMAや他のモノマーは指と接触し、いつかアレルギー性を示すかもしれません。
そうすればもうその物質が入ったジェルネイルは使うことができなくなるでしょう。
そういう事態を避けるためにも、成分表示を確認し、安全なジェルネイルを使うようにしましょう。
このジェルネイルは安心か?という質問があれば、Twitterの方にメッセージを送ってください。
私が分かる範囲で回答させて頂きたく存じます。
ネイリストの方はこれまで以上に絶対に皮膚につけないということを守ってください。
付いたら拭えば良いなんて考えはやめてください。
キューティクルキワキワまで塗れているジェルネイルは確かに美しく、まさしくプロの技です。
素人セルフネイラーには真似できない芸当です。
ですが、それがプロに求められていることでしょうか。
それ以上に、セルフネイラーが持ちえない、安全に対する知識や、正しいジェルネイルの使い方で、安全に長くジェルネイルを楽しんで頂くようにすることがプロではないでしょうか。
トップの未硬化ジェルの拭き取りもそうです。
一度拭いた面で何度も擦ったりすれば、いつか皮膚と接触します。
恥ずかしい話
お恥ずかしい話ですが、最近、私がやってしまいました。
おそらくゴム手袋にモノマーが付着していたのだと思います。
目の下が痒くなり、その手でかいてしまいました。
すると、何分後かに目が見えづらくなってきました。
なにかゴミでも入ったのかなと思い、トイレの鏡で自分の顔を確認したところ、
目の下が赤く腫れ上がり、水ぶくれのようになっていました。
すぐにその箇所を水で流しましたが、その後2時間ほどその腫れは続きました。
目ということもあって凄く怖かったです。
幸いにも今はなんともありませんが、同じようなことがどなたにも起きる可能性があります。
決して、決して皮膚にはつけないように心がけて下さい。