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つめ ベースジェル 安全性

酸性のジェルネイルは本当に爪に悪いのか?

酸性のベースジェル

ベースジェルは爪に密着させる為に酸性成分が入っています。

全成分表示の「アクリル酸(2-プロペン酸)」や「メタクロイルエチルホスフェート」「メタクロイルエチルフタル酸」などがそれに該当します。

アクリル酸やフタル酸はカルボン酸。

ホスフェートはリン酸です。

酸性度で言うとリン酸の方が強いです。

爪組織はケラチノサイトと呼ばれており、その組織に酸が入り込むことにより、アンカー効果を生み、ベースジェルと爪が接着します。

ベースジェルのような親油性の高いものを、生体組織に接着させるためには、こうした親水性の高い成分を入れる必要があります。

酸は爪に悪い?

レモン汁は酸性です。

コーラも酸性です。

昔、コーラを飲むと骨が溶けるといった眉唾ものの話がありました。

もちろんそんなことはありません。

もしそれが本当ならば、コーラ死やコーラによる骨消失死みたいな話題がもっと挙がるのではないでしょうか。

私は聞いたことがありません。

医者が死因はコーラです。と言っていたら少しシュールですね。

もっと言えば、胃液も酸性です。

もともとが酸性の胃に酸性のものを入れて、影響があるのでしょうか。

そもそもコーラやレモン汁は食品です。

食べても大丈夫な酸性のものを爪に塗ると悪いというのはどういうことなのでしょうか。

つまり、酸性だから悪いということは決してありません。

ジェルネイルはそもそも爪に悪い

そもそも酸性のベースジェルといいよりも、ジェルネイル自体が爪に良いことではありません。

ジェルネイルが爪に蓋をすることで、水分が入ってこなかったり、爪から水分が抜けてしまうことで、爪がペラペラになってしまいます。

それを補う為にジェルネイルで補強する、そしてその結果爪がペラペラになるということを繰り返してしまいます。

それを感じさせない為にフィルインといった技術も開発されました。

これはアセトンを使わないという点で皮膚には良いことですが、根本的な問題を解決しているわけではありません。

弱酸性であることを謳ったベースジェルや、アクリル酸を使っていないベースジェルが安全であるかのような広告を良く見ますが、間違った知識です。

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ブランド ベースジェル マックスオーガニック 特許

オーガニックジェルネイルの謎

マックスオーガニックとは

マックスオーガニックから「オーガニックジェルネイル」なるものが販売されています。

以前オーガニックジェルネイルとは何かと思って調べていましたが、具体的にどうオーガニックなのかについては触れられておらず、断念していましたが、特許を検索したところ、出願されていたので、中身を確認していきたいと思います。

まず、マックスオーガニックの謳い文句を見てみましょう。


オーガニックコスメのニーズが高まり安心な化粧品が充実してきています。しかし、ネイルに関しては例外で、安全やオーガニックに配慮した製品や施術工程がほとんど存在しませんでした。そもそも、ジェルネイルは化学物質がベースになっています。ですから100%オーガニックにすることは不可能ですので開き直っている業界とも言えます。
 
その結果、爪がボロボロになった、ペラペラになったと悩みジェルネイルを休んでいるという方も増えてきました。安全にこだわりたいならネイルは止めるしかない、と考えられていたからです。
  
全ての施術工程で有害揮発性成分をなくし、アシッド=酸性度の高いジェルを不使用としノンアシッドジェルのみを使用し、有害な部分を最大限に減らしました
そしてオーガニック成分を可能な限り増やしました
 
オーガニックコスメにこだわってきた自分自身が、ネイルも安心して楽しみたいという一心から、開拓してきたノウハウです。オーガニックコスメにこだわる方たちに、100%オーガニックではなくても、少しでも多くの安心と安全をお届けしたいと願っています。製品の研究開発は時間がかかるものであり、これからもより良いものへと進化していきます。
 
オーガニックエキスを取り入れ、化粧品許可を受けたオリジナルの国産オーガニックジェルネイルを開発し、ネイル施術の全行程内でジェル以外はすべての製品が100%オーガニック植物性です。これは驚くべき方法です。
ジェルは弱酸性のノンアシッドオーガニックジェル、施術工程においてはアセトン、アクリル、キューティクルニッパーを一切使用しないで非常に美しく仕上げるオーガニックメソッド®の施術。工程は少し手間をかけますが、出来上がりは一般のジェルネイル以上に美しく仕上げることが可能です。抜群にツヤのある仕上がりで、爪の形を美しく整えながら施術を行う方法です。安全にこだわっているカラーも美しくてとても人気があります。
 
・3週間はとれません。
・自分の爪を強く補強でき、いくらでも伸ばせるようになります。
・またアレルギーも起きにくくなります。
※(体質や生活条件等により例外もあります) 


https://www.jelnail.jp/about-organic-nails/

確かに昨今、オーガニックを謳う製品や食品は多くなっている印象を受けます。

オーガニックとは

そもそもオーガニックとはどういう意味でしょうか。


農薬や化学肥料に頼らず、太陽・水・土地・そこに生物など自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法をさします。

オーガニックが広まることにより、人や動植物、微生物などすべての生命にとって、平穏かつ健全な自然環境・社会環境が実現します。

国際的な規模で有機農業推進活動を行っているIFOAM( 国際有機農業運動連盟) は、オーガニックの原則として「生態系」「健康」「公正」「配慮」の4項目を掲げています。


http://www.jona-japan.org/about/

なんとなく「オーガニック」と聞くと、良いもののようなイメージですが、もともとの意味としては、化学農薬を使わないということのようです。

つまり決して「オーガニック」=「体に良い」という意味ではありません。

でも化学農薬を使わないのだから、体に良いのでは?という意見もあると思います。

化学者からすると、この世のすべての物質は「化学物質」であって、天然だから良い、人工だから悪いといった認識は間違っていると思います。

少し話がそれて申し訳ないですが、少し前にはちみつを赤ちゃんに食べさせてしまったというお話がありました。

もちろんはちみつは天然物です。

しかし実は毒性もあります。

あまりにも小さい子はその毒に対する免疫がない為、はちみつを食べるとむしろ健康を害してしまいます。

一方漆はどうでしょうか。

漆は皮膚に付着するだけでかぶれてしまうものです。

もちろん漆も天然物ですが、それは安全と言えるでしょうか。

そうした特定の危ないものだけを挙げて、天然物は安全ではないというのは確かにフェアではないかもしれません。

しかし一方ですべての人工的に作られた化学物質が悪とも言えないのではないでしょうか。

医薬品のほとんどは人工的に作られたものですが、それらは人々の生活を健やかに保つのに大きく貢献しているのではないでしょうか。

農薬も同じです。

単に生産者の怠慢で農薬を使うわけではありません。

もちろん安定的に生産し供給するという大事な面も農薬は担っています。

また何でも無農薬やたい肥農法を使えばよいというものではありません。

例えばたい肥農法にしても、よく使われるのは牛糞です。

糞には大腸菌など人間に害のあるものも含まれています。

こうした菌をしっかりと殺してから使わなければ、たい肥農法は逆に菌をまき散らすだけの農作物を作るだけになってしまいます。

そうした管理がちゃんとされたうえでのオーガニック製品なのかを私たちはどのように確認できるのでしょうか。

それは販売する者の責任で購入者は目隠しで選んでもすべて安全なのでしょうか。

闇雲に「オーガニック」だからというのは、少なくとも間違いであるということは是非とも覚えておいてほしいです。

マックスオーガニックの特許

話が大きく逸れてしまいましたが、マックスオーガニックが謳うオーガニックジェルネイルについて確認したいと思います。

【 請 求 項 1 】
  植 物 油 、 動 物 油 、 及 び 精 油 か ら 成 る 群 よ り 選 択 さ れ る 栄 養 成 分 を 含 む 光 硬 化 性 ジ ェ ル ネ イ ル 用 ジ ェ ル で あ っ て 、 前 記 栄 養 成 分 の 総 量 が 0 . 5 体 積 % 以 上 5 体 積 % 未 満 で あ り 、 カ ラ ー ジ ェ ル 又 は ト ッ プ ジ ェ ル で あ る 光 硬 化 性 ジ ェ ル ネ イ ル 用 ジ ェ ル 。

【 0 0 0 8 】
  本 発 明 の 光 硬 化 性 ジ ェ ル ネ イ ル 用 ジ ェ ル は 、 植 物 油 、 動 物 油 、 及 び / 又 は 精 油 を 0 . 5 体 積 % 以 上 5 体 積 % 未 満 の 量 で 含 む こ と を 特 徴 と す る 。 以 下 、 本 明 細 書 に お い て 、 植 物 油 、 動 物 油 、 精 油 、 及 び こ れ ら の 2 種 以 上 の 混 合 物 を 「 栄 養 成 分 」 と 記 載 す る こ と も あ る 。
【 発 明 の 効 果 】
【 0 0 0 9 】
  栄 養 成 分 を 0 . 5 体 積 % 以 上 5 体 積 % 未 満 の 量 で 含 む こ と に よ り 、 爪 や 皮 膚 へ の ダ メ ー ジ を 低 減 し 、 且 つ 、 ジ ェ ル ネ イ ル に 用 い る 上 で 必 要 と さ れ る 特 性 を 備 え た ジ ェ ル と す る こ と が で き る 。

特許第6483316号

どうやら植物系のオイルを含ませたジェルネイルのようです。

オイルを含ませたジェルネイルと言えば、数年前にこんな特許もありました。

【 請 求 項 1 】 ア ロ マ オ イ ル が 、 5 ~ 7 % の 量 ( 体 積 ) で 添 加 さ れ た こ と を 特 徴 と す る 、 光 硬 化 性 の ベ ー ス ジ ェ ル 組 成 物 。

【 請 求 項 2 】 前 記 ア ロ マ オ イ ル が 、 フ ラ ン キ ン セ ン ス 、 ロ ー ズ ウ ッ ド 、 イ ラ ン イ ラ ン 、 ゼ ラ ニ ウ ム 、 ラ ベ ン ダ ー 及 び テ ィ ー ト ウ リ ー か ら な る 群 か ら 選 択 さ れ る 請 求 項 1 に 記 載 の ベ ー ス ジ ェ ル 組 成 物 。

公開特許公報2016-27011

この特許は5~7%のアロマオイルを含むジェルネイルについて言及しています。

この先行技術がある為に、5%以上オーガニックジェルネイルではオイルを配合できなかったと考えられます。

これが先願主義や特許戦争と言われる話題です。

公開特許公報2016-27011の方が先に出願されているため、オーガニックジェルネイルでは、その技術を避けてしか権利を確保することができません。

厳密にいえば、先行技術はアロマオイルに限定されている為、アロマオイルと言えないオイルであればこの権利の範囲外ともいえそうですが、アロマオイルの規定は明細書中に記載されていることに基づきます。

しかし見てみると、その明細書中にはあまり列挙されておらず、どこまでがオイルに該当するか不明瞭だった為、危険回避のために5%未満としたのではないでしょうか。

またSACRAのジェルにはサクラ葉エキスが含まれており、それもオイルと言えそうです。

実際、このサクラ葉エキスがどこのくらい含まれているのかは分かりませんが、もし0.5%以上含有しているとなると、公知技術としてオイルをその量含ませることができることになり、もしかするとマックスオーガニックのこの特許は無効になるかもしれません。

オイルを含むベースジェルの効果

では実際にオイルを含むジェルネイルにどのくらいの効果があるのでしょうか。

アクリレートモノマーは重合してポリマーになる為、重合したアクリレートモノマーは溶出してくることがありません。

一方こうしたオイルは重合することがないので、ポリマー中に単に担持されているだけになります。

つまりどことも繋がりがないので溶出してくる可能性があります。

特にお風呂などでジェルネイルが温まり、ガラス転移温度を超えたりすると、その担持性は恐らく低くなり、オイルが溶出してくることは想像に難くありません。

となると、ジェルにオイルが含まれることで、せっかくプレパレーションで油分除去をしたところに、再度オイルを塗るようなことになり、ベースジェルと爪の接着面積が少なくなることから、ベースジェルの持ちは悪くなるように思います。

加えて、重合させる時には存在していたオイルが、後にお湯などで抜けてしまうと、そこは空洞になる為、水分なども入りやすくなります。

その結果、グリーンネイルなどの爪の病気にもなりやすいのではないでしょうか。

ジェルネイルはできるだけ重合度を高くして、しっかり硬化させることが重要であると考えます。

そこに重合しない成分や、むしろ重合を阻害しそうな成分をいれることは、すべてにおいてデメリットのように感じます。

一方、そういった植物オイルを入れることで、95%が元々のジェルネイルと同じであったとしても、ネーミングとして「オーガニック」を謳い、あたかも安全そうに振る舞うのは、セールスとしては上手いと感じます。

ジェルネイルを選び、使い、そしてその良い影響も悪い影響も、お客様に与えるのはネイリストです。

そしてセルフの方も、選び、使い、そして良い影響も悪い影響も受けるのは自分です。

選び・使うということは責任があるということです。

市販されているものはすべて安全で、問題のないものだけでは残念ながらありません。

良いものを選ぶ力をぜひつけて頂いて、良い製品を長く楽しんで頂ければ幸いです。

その一助となれるように私も惜しみなく知識を提供させて頂きたく存じます。

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ベースジェル 未分類

ベースジェルを変えることの大きなデメリット

ベースジェルの悩み

お店に行くとたくさんのメーカーからベースジェルが販売されています。

それ以上に楽天などの通販サイトではお店で変えないベースジェルを簡単に買うことができます。

ジェルネイルの一番の悩みは恐らく爪から剥がれてしまうことかと思います。

そこで皆様の多くの方が「良いベースジェルはないか」と悩まれているのではないでしょうか。

ここで「このベースジェルが最強ですよ!」とお伝えできれば良いのですが、残念ながら、万人に合うベースジェルといったものはなく、「これ」とおすすめできず申し訳ないです。

ですが、代わりに「こうすれば良いですよ」ということをお伝えできればと思います。

ベースジェルを保たせる4つの方法

以前の記事でベースジェルを保たせる4つの方法について書かせて頂きました。

その記事を読んでくださったネイリストの方からTwitterの方にメッセージを頂きましたので、ご紹介したいと思います。

こんにちは。初めまして。
ネイリストをしている者です。
「ベースジェルを保たせる方法」を拝見しました。
ずっと謎だった事が分かりとてもスッキリしました。
とても参考になりました、ありがとうございます!
ちなみに、以下謎だった事です。
もしよろしければご覧ください。

当方エースジェルのノアを使っており、
廃盤に伴ってニコジェルに変えました。
すると、ほとんどの方がベースジェルめちゃくちゃはじきました。
見た事も無いくらいに縮みます。
ニコジェルのセミナーでジェルの開発者の方に
相談しましたが、「うちのジェルで縮みはあまり聞いた事が無い、持つはず、塗り方とか量とかを変えてみては」といったアドバイスを頂きました。
確かにエースとニコでは推奨の塗り方が違います。
何度か使っているとマシになってきたので
爪が慣れたのかな?と思いましたが、
ノアはノンアシッドで酸が無いタイプ、
ニコはオフがしづらい分持つ時はすごくもつので
酸性タイプ?
まさに真逆のジェルを使っていた事によるものだと思い
合点がいきました。

メッセージを頂きましたネイリスト様、ありがとうございます。

私もジェルネイルの研究者として、ネイリスト様が受けられた応答は言ってしまったことがあります。

といいますのも、ジェルネイルを市場に出す前には実際の爪でテストを100人単位で行います。

基本的には女性ですが、年齢はバラバラ、職業等もバラバラな方にお願いします。

ベースジェルの開発をしている段階では、比較的似た組成の自社のベースジェルをテストし続けることになるので、その方々の爪はどんどんと自社のベースジェルに都合の良い状態になってきます。

すると、回数を重ねるごとにどんどんと持ちが良くなり、性能が上がったと「勘違い」してしまうことがあります。

またそのように爪が作られてくると、当然縮みなどもなくなってきます。

つまり「持ち」だけでなく、「縮み」などにも爪に染み込んだ前に付けていたジェルネイルの影響はあるということです。

それがネイルサロンで実際に確認されて実証されたことは、研究者としては理論が正しかった証明になるので、非常に喜ばしい反面、今後も気をつけなければならないなと気を引き締める結果でもありました。

ベースジェルを変えることの大きなデメリット

前記事と合わせてお読み頂ければ、このデメリットについてはもうご理解されているかもしれませんが、まとめておきます。

1.縮みがでる可能性がある

2.持ちが悪くなる可能性がある

3.オフがしづらくなる可能性がある

これらはすべて、前のベースジェルが爪に残り、爪と融合してしまう為です。

全く組成の異なる、設計方針の異なるベースジェルは相容れないものです。

時々別メーカーのカラージェル同士を混ぜると、分離してしまったり、顔料のダマが出来たりすることがあります。

まさにこれはこのような設計方針が全く異なるカラージェルを混ぜたために起こる現象です。

一方で同メーカーの同ラインのカラージェルであれば、基本的な組成は同じはずなのでミキシングすることができます。

少し話はズレますが、ベースジェルやトップジェルでカラージェルを希釈してシアーやクリア、グラデーションを作る技術がありますが、その際も、どちらのジェルの方がカラージェルに近いのか、成分を見比べて近い方を選ばれるのが良いかと思います。

ただ酸性系のベースジェルの場合は、絶対にカラージェルとは混ぜないほうが良いです。

これはまた別の記事にしたいと思います。

成分表示からその特性についてご説明致します

またこのネイリストの方から続きのメッセージも頂きました。

実際に使われているベースジェルの組成を見ていただきたいとのことでしたので、成分表示の写真を頂きましてご説明させて頂きました。

もちろん無償でサービスで行っております。

その代わりにブログでそのジェルの写真は使わせて頂きたく存じます。

もしお使いになられてるジェルがどんなものか知りたい方、またはこのジェルからこのジェルへ変えようと思うけれども、大丈夫か、といったことで疑問があれば、Twitterの方にご連絡頂ければ幸いです。

@truegelnail

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ベースジェル

ベースジェルを保たせる4つの方法

ベースジェルはなぜ剥がれてしまうのか

ベースジェルの剥がれにはいくつかの要因があります。

・ベースジェルの性能が低い

・ベースジェルとの相性が悪い

・プレパレーションができていない

・物理的な強い衝撃を受ける

・水分が多く与えられる

残念ながら、どこのベースジェルが良いということは2つ目の問題の、爪との相性ということがあるため、簡単には答えられません。

ベースジェルを選ぶ

ベースジェルにはいくつかの種類があります。

酸性のベースジェル、非酸性のベースジェル、親水性のベースジェル、疎水性のベースジェル、ざっくり分けると4種類です。

一般的には酸性のベースジェルの方が接着力は強いですが、オフがしにくいといった点が挙げられます。

ただ酸性のベースジェルが悪いということは無いと私は考えています。

巷では酸性ベースジェルは爪を溶かすといった噂がありますが、それによって爪が溶けるのであれば、オフは全くできるようなものではなくなります。

それ以上に爪を削ってる時点で溶けるとか以上のことをしてると思うのですが…皆様はどのようにお考えでしょうか。

兎にも角にも、どんなベースジェルが自身に合うのかというのはいくつかのベースジェルを試さなければわかりません。

ぜひご自身にあうベースジェルを見つけてください。

プレパレーションをする

兎にも角にもプレパレーションがしっかりできていなければ、絶対にベースジェルは保ちません。

プレパレーションとは、ジェルネイルを塗る前の爪の前処理のことです。

爪表面に油や皮脂、甘皮、汚れ、前の硬化したジェルネイルが残っているような状態では、どんな良いジェルも乗りません。

特にこの前の硬化したジェルネイルというところがポイントです。

例えば親水性の酸性ベースジェルを塗って硬化させると、爪の細かな隙間にもそのベースジェルが入り込んで行きます。

そしてオフをしてもその入り込んだベースジェルは残るため、爪にジェルネイルが含まれた状態になります。

その上に疎水性の非酸性ベースジェルを塗ると、前とは真逆のベースジェルになるので、弾いてしまいます。

見た目はきれいに乗っていても、細かくは弾いてるかもしれず、そうなると爪にはしっかり乗りません。

また多くの方が消毒用エタノールで爪の拭き取りを行っていますが、それは30%水を含んでいます。

つまり拭いても油は完全に除去できず、かつ水分が爪に残るので、まったく意味がありません。

ダストを拭うことだけが出来ています。

できればアセトンや水を含んでいないもので拭くのが良いです。

同じベースジェルを使い続ける

つまり、いろいろころころとベースジェルを変えてしまっても、弾きによってその性能を十分に評価できないので、ひとつのベースジェルを使い続けることが大切です。

また有名どころのブランドのベースジェルや、レビューが良いベースジェルは基本的にちゃんと作られているので、もちろん相性はありますが、大抵使い続けると付いてくれるようになってきます。

その中でも少しの差として、保ちが良いものがあったり、オフが良いものがあったりします。

そのバランスは皆様の求めるもの次第かなと思います。

絶対に保ってほしい、オフはあまり考えないという方であればパラジェルなどが向いているかもしれません。

オフはそこそこ良い方が良いということであれば、今はもう無いですがエースジェルなどが良かったかもしれません。

水に触れない、硬いものにぶつけない

最後のトピックは冗談ですが、水や硬いものとの衝撃は間違いなくベースジェルが欠けてしまう原因の一つです。

特に温水は爪を柔らかくします。

ジェルも温水によって柔らかくなります。

そうするとベースジェルが爪から剥がれやすくなってしまうので、注意が必要です。

またそうしていつの間にか浮いてしまったジェルと爪の間にはグリーンネイルになってしまう危険性が潜んでいます。

浮きやすい方は水分の取扱いにも少し気を払っていただけるとずいぶん保ちが変わってくると思います。

例えば、お皿を洗うときにはグローブをする等。

手も荒れなくて一石二鳥ですね。

 

 

 

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ノンワイプトップ ミスミラージュ

ミス・ミラージュを調査!(続き)

Miss Mirageとは?(続き)

前回はカラージェルの組成について確認しました。

今回は引き続いてミス・ミラージュからトップジェルとマットトップジェルを見ていきたいと思います。

私の個人的な意見にはなりますが、ジェルネイルのラインナップの中で、最も性能差があるのはベースジェルですが、最も組成に差があるのはトップジェルと思っています。

カラージェルは最も差がないものの一つです。

(一番差がないのは、プレップやオフ剤等ですね)

なので、トップジェルを見ると、そのメーカーの設計思想などが見えてくるかもしれません。

ノンワイプトップジェル

引き続き個人的な意見が続いてしまうのですが、ノンワイプトップほどジェルネイルにおいて難しいものはないとも思っています。

ジェルネイルの基本的なお話にはなりますが、ジェルネイルはラジカル重合を利用して硬化させます。

ラジカル重合は酸素により阻害を受ける反応である為、通常表面に未重合層が残ってしまいます。

ベースジェルとか残ってしまいますよね。

それをなんとかしようと試みたのが、ノンワイプトップジェルです。

酸素による重合阻害よりも強力に固めることで、表面に未重合層が残らないというのが基本的な仕組みです。

そうすることのデメリットとしては、硬化した後の硬さが出てしまったり、硬化熱が高い、他にも黄ばむといったことが懸念されます。

アクリレート同士の反応ではカルボカチオンが使われますが、その時に基底状態で励起三重項状態の酸素と結びつき、アクリレート上に発生したカルボカチオンに酸素がついてしまい、オキシラジカルに変換されます。

このオキシラジカルは非常に反応性が低いので、実質上の反応停止となります。

ここでノンワイプトップジェルを考える為に、使われたのがチオールです。

このチオールは水素の引き抜きを受け、チイラジカルが発生します。

このチイラジカルは酸素との結合を生み出しにくい性質があるので、チイラジカルは酸素による阻害をほとんど受けず、アクリレートやビニルに付加重合していくことができます。

ほとんどのノンワイプトップジェルの匂いを嗅ぐと少し硫黄のような匂いがすると思います。

それがこのチオールです。

ミスミラージュのノンワイプトップジェルの全成分表示

ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アリファティックウレタンアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビフェニルスチルベン、紫401

ポリウレタンアクリレートオリゴマーは前回通りに、総称なので何も示してはいません、もちろんリストにも収載されていないのでアウトです。

アリファティックウレタンアクリレートも上記同様です。

イソボルニルメタクリレートは「メタクリル酸イソボルニル」と記載するのが正しいのでグレーです。

ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは365nmくらいの光重合開始剤です。

ビフェニルスチルベンは蛍光増白剤や増感剤と呼ばれるものですね、380nmくらいの光で電子を渡せるようになります。

紫401は開始剤等による黄みの消しです。

ミスミラージュのノンワイプトップジェルのまとめ

まず光重合開始剤が405nmに対応していないので、これだけの組成では固まるのだろうかと疑問です。固まらないのではないかと思います。

あとはこの配合ではノンワイプトップジェルはできないのではないかと思います。

というのも上記の通り、これだけの組成では酸素阻害に負けてしまい、未重合層が残るような気がします。

あまりにも表示名称がいい加減すぎて再現できないので確認はできないのですが…。

加えて、私は製品を持っていないので確認できないのですが、匂いに少しでも硫黄のような香りがあれば、やはりチオールが含まれていると思うので、それはもちろん記載されていないので、記載違反ですね。

もしお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ匂いを確認して下さい。

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ベースジェル ライト 材料

なぜジェルネイルは欠けてしまうのか

最終工程はお客様によって

ジェルネイルは、従来のマニキュアとは異なり、爪の上で光当てて硬化させるタイプのネイルです。

工業的には光硬化性樹脂と呼ばれています。

そのメカニズムとしては、数百~数万くらいの分子量のモノマーやオリゴマーが、光重合開始剤により発生するラジカルを使ってお互いに結合(重合)し、数十万数百万あるいはそれ以上の分子量にまで増えていくことで、液状から固体へとその性状を変えていきます。

何をイメージするとわかりやすいのか難しいのですが、例えば、お米は炭水化物と呼ばれることはご存知かと思います。

炭水化物の中には、糖質と呼ばれるものがあり、お米はその一つです。

糖質の漢字の中には、糖という言葉があるように、お米は糖から出来ています。

小さな糖が重合し、分子量が大きくなった為に、お米は水分を含ませる前はすごく硬い、まるで硬化後のジェルネイルのような状態です。

一方でガムシロップは糖の中でも小さいものを中心に構成されており、まるで硬化前のジェルネイルのようです。

つまり、ガムシロップが重合し硬化したものがお米になる(本当になる訳ではないですが、イメージとして)ように、ジェルネイルも、硬化前の液状が、重合し、分子量が大きくなることで硬化した状態になります。

ジェルネイルは液体の状態で完成されたものではなく、未完成の状態で売られており、その未完成の液体をお客様の手で最終工程である硬化をさせることで、最終製品になるイメージです。

原料を作る工程、原料を混ぜる工程、液状のジェルネイルを充填する工程、どれも工程はいい加減なものではいけませんよね。

最終工程も同じです。

光硬化性樹脂の最終工程である硬化をいい加減にしてしまうと、せっかくここまでの工程が完璧でも、思ったような最終製品が出来上がらないのはご理解頂けると思います。

つまりジェルネイルはお客様によって完成される製品ということです。

ジェルネイルの持ちにも最終工程は影響する

ここまでお話をご理解頂けていれば、「ジェルネイルの持ちにも最終工程は影響する」ということがご理解頂けると思います。

どれだけ良いジェルであっても、硬化が十分ではない、または硬化しすぎているなど、設計された、想定されたこと以外の工程をしてしまうと、そのジェルが持っている力を十分に発揮することはできなくなってしまいます。

艶などは顕著でしょうし、カラーの半熟(よれ)なども見てわかりやすいですが、ベースジェルの持ちも同じように影響します。

各社のジェルネイルは、できるだけ各社から出されているライトで規定の時間で硬化させることが重要です。

それ以外の条件で行うと、少なくとも100%の力は発揮できないことが多いと思います。

ベースジェルだけが保ちを決めることはない

ジェルネイルの持ちは、ベースジェルに依存すると思われがちですが、そうではありません。

だいたいの場合において、ジェルネイルが剥がれてしまう時、トップジェルだけがめくれたりするでしょうか。

またはベースジェルとカラージェルが層間剥離をしてしまったりするでしょうか。

あまりそういったケースはないかと思います(ゼロではないです)。

大抵の場合、ジェルネイルが浮いてしまった、剥がれた場合は、トップもカラーもベースも一体となって浮いていませんか。

つまり、ジェルネイルはそれぞれの層として形成しますが、最終的には一体の層として捉える必要があります。

ベースジェルだけ変えて、密着性は変わるかもしれませんが、最終的な保ちはそれだけでは決めることができません。

そのベースジェルに相性の良いカラージェル、そしてそのベースジェルとカラージェルと相性のよいトップジェルを選択することが重要となります。

それぞれの層の硬さやジェルの混ざり具合(未硬化層と次の層は必ず混ざる、そこで相性が良くなければ剥離も起きやすい)なども重要となってきます。

ベースジェルをできるだけ良い状態で硬化させるには

とは言え、直接爪に付着する層がベースジェルであることは事実です。

つまりベースジェルが保ちに大きな影響が与えることが間違いありません。

そこでベースジェルはどのように硬化させることが良いのかですが、先程から申し上げているように、各メーカーそれぞれの思惑があって設計されているので、コレという正解はありません。

ただ、傾向がないわけではないので、それをご紹介しようと思います。

まずベースジェルが十分な密着性を発揮する為に硬化からアプローチできることは、十分に硬化すること硬化が早すぎて硬化収縮が起きないこと、この二点です。

一つめの十分に硬化するは、お分かり頂けると思います。

半熟であれば、スカスカな状態なので少しの力でベースジェルが変形したり、水が入り込んだり、様々なことが起きます。

なので十分に中まで硬化させることは最低条件です。

次に硬化が早すぎて硬化収縮が起きないことですが、LED化にともなって硬化時間は30秒や速いもので20秒または10秒といったものもあります。

こうした硬化速度の上昇は、自ずと硬化収縮にも効いてしまいます。

硬化収縮が大きくなると、爪への閉塞感も強まりますし、なによりベースジェルに応力がかかります。

応力がかかると、少しの力で爪から剥離したり、浮いてしまったりということが起きやすくなります。

つまり、各メーカーの条件で硬化させることが一番とは言え、いくつもライトを買うことができないセルフの方やネイルサロンにおいては、あまりにもハイパワーなLEDライトを使うと、硬化収縮が大きくなってしまい、ベースジェルの保ちの悪さに繋がる可能性があります。

適切な硬化で、安心なジェルネイルライフを

適切な硬化をすることで、ベースジェルの保ちは格段に良くなります。

その結果、浮いた隙間から菌が入ってしまうようなグリーンネイルや、浮いてきたジェルを無理やり剥がして爪が薄くなってしまうといった問題をも解決することができます。

なかなかそのジェルにあったライトを毎度買うのはお金がかかるので大変かと思いますが、ベースジェルを買い換えるだけでは、保ちが劇的に良くなるといったことは逆にないとお考え頂いても良いかもしれません。

ベースジェルも決して安くはないですが、それを何種類も試して数万円を使うくらいならば、いまあるジェルに合わせて、ライトをメーカー推奨のものにする方が結果的には良いかもしれません。

36WのLEDと12WのLEDで硬化させたジェルネイルは決して同じものにはなりません。

もちろんUVでも大きく異なります。

ただただWだけが影響することもなく、そのライトの配置や一つ一つのライトの照度、爪までの距離、いろんなことがライトによって影響します。

硬化はお客様の手でしていただくジェルネイルを最終製品とする最後の工程です。

ぜひそこにもご注力頂ければ幸いです。

 

 

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ノンワイプトップ

ノンワイプトップジェルの危険性

ノンワイプトップジェルとは

従来のトップジェルは硬化後に未硬化ジェルの拭き取りが必要でした。

それを不要にしたのがノンワイプトップジェルです。

未硬化ジェルの拭き取りは確かに少し技術が必要で、拭き取りに失敗すると指に付着したり(炎症やアレルギーの原因)、ツヤが出なかったりもします。

あまり通常のサロンワークでは使われることはなかったように思いますが、ミラーネイルが流行ったことにより、サロンワークでもノンワイプトップを使うようになりました。

ちなみにミラーネイルとはノンワイプトップの上に薄いラメを均一にのせることでミラーのような光沢を出すことができます。

未硬化樹脂があるとその分沈んだり、均一にのらないので乱反射が起き、ミラーにはなりません。

そんな利点も多いノンワイプトップジェルですが、いくつか危険性もあるのでご紹介します。

硬化熱が高い

そもそもジェルネイルを硬化する時になぜ未硬化ジェルが残るのかというと、ジェルネイルの重合(硬化)はラジカル反応と呼ばれる反応で、このラジカルは酸素と非常に結合しやすく、酸素とラジカルが反応してしまうと、そこから反応が進まなくなってしまいます。

つまり空気に触れている層はラジカル反応が進行しないので未硬化ジェルとして残ってしまいます。

この空気との反応よりも速く硬化させたり、空気と反応しづらい成分を入れたりして出来上がったのがノンワイプトップジェルです。

硬化は従来のものよりも速い為、硬化熱も自ずと高くなってしまい、少しでも厚めに塗ってしまうと、地獄のような熱さを感じることになってしまいます。

その時の温度は局所的に100度を軽く超えるので火傷といって過言ではありません。

皆様も何度か「あつ!」とライトから手を引っこ抜いてしまったことがあるかと思います。

保管安定性が悪い

もう一つは酸素の反応しにくい成分を含むことによって、保管している間に硬化してしまうということです。

ジェルネイルが保管中になぜ硬化しないのかというと、それは光が当たっていないからだけではありません。

重合禁止剤と呼ばれる成分が入っていたり、容器内に酸素があることによって重合が阻害されるため、反応しないのです。

ところがノンワイプトップジェルでは、その酸素と反応しにくいものが入っているお陰で、暗反応と呼ばれる重合が進むことがあります。

暗反応とは光がなくても進む重合のことです。

つまり、保管しているだけで重合が少しずつ進んでしまい、ボトルタイプの口等に重合物が付着するといったことが起きてしまいます。

特に高温になるとこの現象は盛んになるので、ノンワイプトップはできれば冷蔵庫などで保管されると長持ちするかもしれません。

ただ一度重合がある程度進んでしまったものは、ゲルぽくなったり、塗ってもレベリングしなかったり、また光を当てても完全に重合しなかったりするため、取扱に注意が必要です。

酸素と反応しにくい成分「チオール」

ちなみにこの酸素と反応しにくい成分は、「チオール」や「メルカプタン」と呼ばれる成分で、硫黄のことです。

あの効果がありそうな温泉の匂いです。

ノンワイプトップの多くはこの「チオール」を含んでいる為、匂いもあまり良くないのが特徴です。

人によっては気分が悪くなると思うので、取扱には十分にご注意下さい。

過去には回収事例も

実は今は亡き「エースジェル」のノンワイプトップが昔回収されたことがあります。

確かその時は低温時に白濁または固化してしまうといった内容だったと記憶しておりますが、まさに最近の「edit.」と同じ現象ですね。

ノンワイプトップは自然現象である酸素によるラジカル重合の阻害を超えて作られた製品です。

自然に逆らうということは、無理をしているとも言えます。

そんな無理をしながら作られた製品なので、どこかしら欠点が出てきてしまうのは自然なことかもしれません。

オールグッドな製品を目指して研究は続けていますが、全てが化学で解決できるわけではありません。

ノンワイプトップのお取り扱いにはご注意を。

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ベースジェル

ベースジェルと爪との相性

ベースジェルと爪

よく「○○のベースジェルは合わない」「☓☓のベースジェルは合う」といったお話を聞きます。

本当にそうした相性といったものはあるのでしょうか。

そして相性とは何なのか。

どうすれば相性の良いベースジェルに出会うことができるのかについて考えていきたいと思います。

サンディング・ノンサンディング

大きく分けてベースジェルには2種類あります。

サンディングを要するものと、ノンサンディングのものです。

これらの違いは…私は「ない」と思っています。

ベースジェルの基本的な思想としては、爪によく密着するが第一です。

それはサンディングが要るものも要らないものも変わりません。

その次にオフができる(できるだけ簡単に)です。

これもどちらも変わりません。

他にも爪の上で縮まないやカラーが縮まずに乗るや、もちろん匂い、色などもありますが、どの項目もサンディング・ノンサンディングに関わらず求められることです。

つまり、サンディング・ノンサンディングとは成分などの違いというよりは、メーカーのコンセプトであって、基本的には同じベースジェルと言えます。

親水性・疎水性

サンディング・ノンサンディングではベースジェルは分類できないとすると、他にどこで分類できるでしょうか。

その一つは「親水性」「疎水性」だと思います。

親水性とは水に親しみがあるの字の如く、水と馴染みのよいことです。

疎水性とは親水性の逆で水に馴染みにくいことです。

油などが疎水性と言えます。

ジェルネイルは油性樹脂でできているので、基本的には疎水性だと思います。

その中でも水酸基や酸性基といった親水性の成分を多く含むものは水に溶けるとは言えませんが、水との馴染みが良いとは言えます。

一般的にこの親水性の程度は水接触角で計測します。

たとえばジェルネイルであれば、薄い硬化膜を作り、未硬化樹脂を取り除き(場合によっては取り除かなくても)そこに水滴を一滴垂らします。

その時の水滴の広がり具合で評価します。

(ここでの撥水は疎水と同じ意味です)

広がらないぷっくりとしたものは疎水性、べちゃーっと広がっているものは親水性です。

手持ちのベースジェルをクリアファイルなどに塗って硬化させて一滴水を垂らして頂くと、ご自身のもつベースジェルが親水か疎水かすぐにわかります。

または成分として「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」を覗いて、「ヒドロキシ」と書かれた「アクリル酸かメタクリル酸」が入っている場合(例えば、メタクリル酸ヒドロキシプロピルやHEMA)は、比較的親水性です。

接着成分

接着成分は大きく分けて、酸系とシランカップリング系に分けられます。

酸系はいわゆる酸が入っているというベースです。

アクリル酸、メタクリル酸、リン酸(またはフォスフェート)などがそれに当たります。

一方酸フリーと謳っているベースのほとんどはシランカップリング系です。

シランカップリングとは、水分に反応して結合を作る成分です。

成分名としては「メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」のような名前が書かれていればシランカップリング系です。

爪表面に水分と反応することで爪との接着や樹脂間の結合を強くします。

これらの分類は非常に大きく異るので、ご購入される前には見ていただいたほうが良いかもしれません。

爪の中のベースジェル

いままではベースジェルの分類について考えてきましたが、私の一番のおすすめとしては、同じジェルを使い続けるということです。

初めてジェルネイルをされる方は爪がまっさらで綺麗なので、爪に水分も油分もしっかり蓄えられており、ジェルネイルがくっつくのに邪魔な成分でいっぱいです。

なかなかそうした場合にはジェルネイルがよくくっつくことはありません。

ところがジェルネイルをすることで、爪の内部にジェルネイルは入り込み、爪の一部がジェルネイルになっていきます(聞こえは良くないですね)。

そうすることで、爪とジェルネイルの馴染みが良くなり、持ちはどんどん良くなります。

ただこのジェルネイルとの馴染みは、同じようなジェルネイルの場合にのみ発揮されます。

つまり上で分類したような親水性のジェルネイルの次に疎水性のジェルネイルを塗ったり、酸系のジェルネイルの次にシランカップリング系のジェルネイルを塗ったりすると、その効果は全く得られず、むしろかえって剥がれやすくなります。

数回に渡って同じジェルを塗ることで、爪の中にジェルネイルがどんどん浸透し(なんとなく気持ち悪いですが)、そのジェルネイルと相性の良い爪になってきます。

浸透といってもおそらく0.01mmや0.1mmといった膜圧の話だとは思うので、それほど心配することはないと思います。

一度使って合わないとなっても、何度か繰り返すことでどんどん持ちは良くなると思うので、使い続けるというのもありかなと思います。

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エディット カラージェル

タカラベルモント「edit.」回収か

edit.とは

2017年11月に開催されたエキスポにてデビューしたジェルネイルです。

タカラベルモントが製造販売元となっています。

タカラベルモントと言えば、バイオスカルプチュアが有名ですね。

バイオスカルプチュア自体は南アフリカ共和国が原産国となっているので、恐らくタカラベルモントは輸入しているだけと思われます。

バイオスカルプチュアやシェラック等の海外ジェルを販売することで得たジェルネイルの知識を持って、満を持しての「edit.」の販売だったのではないかなと思います。

更に豪華な事に、「edit.」はVETROでアートディレクターをされていた「竹原」先生が監修されています。

華々しくデビューし、3~4ヶ月目でようやくTATで買えるようになっており、気になってはいましたが、不具合が起きているとのことです。

edit.の不具合の内容

詳しくは「edit.」の公式サイトに掲載されています。

edit.冷温時における固化について

このプレスリリースによると、どうやら低温になるとツヤがなくなり、粒が見られる様になるようです。

なぜそうなるのかについては「撹拌不要で、縮まない為」と書かれていますが、実際に何がどうなってそうなっているのかについては書かれていません。

40度程度まで加温すると品質上問題ないとのことですが、なかなか40度まで温めるのは難しいような気がします。

お湯に漬けるのは、ジェルに水が入る可能性があるので、チャック袋などに入れて漬けるのが良いかもしれません。

それこそお風呂に入る時に一緒に連れて行くと手間ではないかもしれません。

必殺技としては電子レンジでの加熱ですが、本当にすぐに熱くなってしまうので、頻繁に様子を見ながらされるのは良いかもしれませんが、どうなっても責任は取れませんので、自己責任でお願いします。

私は時々ベースジェルが冬の朝で硬い時とかにやります。

または時間がかかっても良いならば、一緒に寝るのもありかもしれません。

寝間着のポケット等に袋にいれたジェルを入れて寝ると、朝にはすっかり戻っているかもしれません。

ただこのようにして戻したとしても、または戻りきらなかった場合、粒が残っていれば塗った際にボコボコの原因になる気がします。

edit.不具合の理由

ジェルネイルを作る研究者から見て、これはほぼ間違いなく「ウレタンアクリレート」の結晶化だと思います。

「ウレタンアクリレート」の中には、結晶性が高いものがあります。

結晶性とは、見た目固体のようになってしまうことです。

通常の温度では非常に高粘度の液体であることが多いですが(水飴のよう)、時々低温になると結晶化してしまうものがあります。

すると、モロモロとしたゼリー状になります。

まさにedit.のカラージェルがゼリー状になっているように見えます。

「ウレタンアクリレート」同士の引き合う力が強いものを使用した時にこうした結晶化現象は起きやすい印象です。

恐らくedit.に使用された「ウレタンアクリレート」もお互いに引き合う力が強いものだと思います。

その結果、たしかに強靭な塗膜が出来上がったり、硬化性が良かったりと良いこともたくさんありますが、ゼリー状になるのは困ったものです。

こうしたことが起きないように、通常テストとして低温での保存安定性を確認します。

例えば北海道の冬の朝でも使えるのか、または輸出するのであれば空輸に耐えられるのか、などそうした耐久性は見るべきだと思うのですが、もしかしたら見落としていたのかもしれません。

または逆に高温50度程度での劣化促進テストも行います。

夏場の倉庫内は非常に高温になりやすく、局所的には60度になることもあります。

そうした中でジェルネイルが変性したりしないか、または常温で2年保管した時の状態を数ヶ月で再現したりと、そうしたテストも必ず行います。

edit.は回収か?

恐らく回収になるのではないかと思います。

冬だけとは言え、これが春になっても恐らく一度結晶化したものは元に戻りにくいので(40度以上になる真夏まで待てば自然に戻る?)、今倉庫にあるもの等は回収されるだろうと思います。

既に購入された商品については、イメージの問題もあるので回収しないかもしれませんが、そんなジェル買わないと思ってしまうユーザーも多いと思うので、イメージダウンはいずれにせよ免れないところですね。

ただ回収されれば、次はより良い製品になって帰ってくることは間違いないので、次世代のedit.に期待したいと思います。

もしご購入を検討されている方がいらっしゃれば、お気をつけ下さい。

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カラージェル

カラージェルの退色を防ぐ為にできること

カラージェルが退色する?

ジェルネイルをされている方またはサロンで働くネイリストの方の中には、カラージェルが退色してしまう問題に遭遇したことある人が何人かいらっしゃるかと思います。

カラージェルは残念ながら退色してしまうことがあります。

それはある意味自然の摂理でもあります。

古いベンチやポスターの特に赤が薄いピンクになっているのをご覧になったことがあるかと思います。

これも同じようなことが起きています。

なぜ退色するのか

このポスター等の日光が長時間あたることにより退色してしまったものは、顔料の特性によるものです。

顔料のいくつかは光に弱いものがあり、長い時間光に曝されることで顔料が壊れ退色してしまいます。

ジェルネイルでも結果としては同じような現象が起きる為に退色してしまいます。

具体的には、化粧品のジェルネイルには化粧品として認められた顔料しか配合することができません。

それらの顔料は比較的、光などの外部からの攻撃に弱い性質を持っています。

ジェルネイルにおいても、つけている時に太陽の光は浴びますので、同じように光で退色する可能性もありますが、その期間は長くても二ヶ月程度なので、私はあまりそれを原因とは考えておりません。

むしろ、ベースジェルに含まれる酸やカラージェルを硬化させる光重合開始剤による影響が大きいと考えています。

ちなみにネイルパフェのHPにも同じような記載がありました。

化粧品登録をしている色素を使った場合、必ず色が退色する、というわけではありません。
弊社の今までの商品開発上の実験では、ある特定の化粧品の色素が退色しやすいというところがわかっております。
その色は弊社のカラーの、06レザンや、61グリシーヌ、マグネットジェルのS12エマンマロンなどに入っている色素です。なので、全ての化粧品登録の色素が退色するわけではありません。
また、今までの経験から言えることとしては、「酸が強い」と思われる他社のジェルと、ネイルパフェジェルの組み合わせは退色しやすいということがわかっており、これはまた別のことと認識しております。

どうすれば退色を防ぐことができるか

起こる原因を考えると、対策が見えてきます。

1.光による退色

これはあまり気にする必要もないですし、難しいので対策なしです。

2.光重合開始剤による退色

固まりが良いカラージェルは大抵の場合多くの光重合開始剤を含んでいます。

その結果、カラーが退色しやすいといった問題も起きやすくなります。

発色が良いことは素晴らしいことですが、過剰に開始剤を入れて硬化させ、退色が起きてしまうものを選ぶよりは、少し発色が劣っても退色しないものを選んだほうが、サロンワーク等においてクレームに繋がる可能性は低くなります。

3.酸性ベースによる退色

ベースジェルは常に爪から水分が供給されます。ベースジェルに含まれる酸性成分はその水に乗ってカラージェルに入り込むかもしれません。

そうなるとカラージェルが酸性ベースの酸に犯されて、顔料が退色してしまうので、できるだけ酸性度の低いベースジェルを選ぶことが重要です。

ではどのように酸性度を見極めるかですが、ホイルアートを直接ベースジェルに施し、クリアで仕上げて過ごすと、ホイルアートが消えてしまうものは酸性度が高いです。

ホイルアートは、アルミを使用しています。

アルミは酸性のものに触れると溶けてしまうので、ベースジェルが酸性である場合、時間の経過でアルミが犯されしまいます。

または匂いを嗅ぐといった方法もなくはないですが、アクリル酸イソボルニルやメタクリル酸イソボルニルといった「イソボルニル系」は匂いが強いため、酸性の匂いをマスクしてしまう可能性があります。

または少しお高いですが、pHメーターなどを購入し測定してみると、それぞれのジェルの酸性度が分かります。

または、この酸に触れていなければ良いので、カラージェルとベースジェルの間にトップジェルを挟むのも効果的です。

トップジェルは硬いので水分等も簡単には通過することができない為、酸も同じように通過できません。

退色しないものがベストですが、化粧品顔料を使用する以上避けられない問題の一つでもあります。

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プライマー

ジェルネイルの持ちを良くする為にはプライマーを塗るべき!

ベースジェルが浮く理由その1:応力

プレパレーションをしっかりとし、ベースジェルを塗り、規定の時間で照射し、完璧に施術したとしても、2週間くらいで浮いたり、欠けたりしてしまうことがあります。

これはなぜ起きるのでしょうか。

塗られた瞬間は爪とベースジェルはしっかりとくっついているように見えます。

ところが、そこには力がかかっている場合があります。

これが応力と呼ばれるものです。

ジェルネイルは光硬化性樹脂であり、硬化する時に体積が約10%程収縮することが知られています。

つまり、ベースジェルを爪に塗って硬化させても約10%程は収縮してしまうので、爪とジェルの界面に応力がかかります。

その結果、少しの力がジェルネイルに加わるだけで、応力を緩和させようとして爪から剥がれるといったことが起きます。

一見、硬化後に縮み等が見られないベースジェルでも、ほぼ間違いなく硬化収縮は起きており、応力がかかっていることは間違いありません。

比較的硬化後の硬度が高いジェル(トップジェルのような)ものはその硬化収縮も大きくなる傾向にあります。

その点からもベースジェルは爪への追従性が良い、硬化後の硬度が低い、柔らかい(決して粘性・粘度のことではありません)ものを選ぶほうが良いかもしれません。

ベースジェルが浮くその理由2:水分によるソークオフ

爪からは絶えず水分がジェルネイルにも供給されます。

もちろん手を洗うといった外部からの水の侵入も考えられます。

ジェルネイルはどちらかと言えば構造が緩い、すかすかの樹脂です。

つまり、その隙間にはどんどんと水分が侵入できます。

硬化後の硬度が高いものほど、密度が高くなるので、水分の侵入はし辛くなります。

比較的親水性の柔らかいベースジェルを塗って水につけておくと、一日後にはふやけてブヨブヨになってしまいます。

これはもちろん爪の上に乗っているベースジェルにも同じことが言え、目には見えないレベルでブヨブヨとしてしまう為に、爪との剥離が起こる、つまり水でソークオフされたような状態になっていると言えます。

それを防ぐためには、できるだけ疎水性のベースジェルで、かつ密度が高く水分が侵入しにくいジェルを作るほうが好ましいと私は考えています。

一方でカルジェルのように水分を透過させるといったメカニズムや、シャイニージェルのように水分で網目を補強し、強くするといった考え方もあります。

このあたりは各社の思惑もありますし、人それぞれ、爪それぞれの相性もあるので、どのベースジェルが自分にあっているのかを探す一つの目安になるかもしれません。

ベースジェルが浮くその理由3:爪への接着力の低さ

そもそもベースジェルが爪と接着してなければ、爪からは容易に剥離してしまいます。

これもまたベースジェルの設計の難しいところですが、基本的には酸性成分を入れることで、爪表面にある水酸基等の極性基と結合し、接着性が出ます。

決して、爪を溶かしてくっついているといったことはないので、ご安心下さい。

もし、溶かしてくっついているのであれば、そんな簡単には取れません。

ベースジェルの接着力は、酸性成分の選定と、酸性成分の量と言っても過言ではないかもしれません。

もちろん酸性成分以外での密着も考えられますが、基本的には酸性成分です。

なぜプライマーを塗ると接着力が上がるのか

例えばベースジェルに酸性成分を10%配合すると、ベースジェルと爪の界面には10%しか酸性成分が存在しないことになります。

その10%でベースジェルが爪にくっついていると思って下さい。

それでは不十分な人(人差があるので)には、より酸性成分を増やしたベースジェルも考えられます。

ところが、そうなると酸性成分は基本的に親水性なので、水を呼んでしまいます。

そうなると、水でソークオフの危険性が高まります。

そうなると、いかに酸性成分を爪との接着に使えて、かつ水でソークオフされないかが重要となります。

その時に使えるのがプライマーです。

プライマーはベースジェルの接着に生かせないものを省いた、いわば接着する成分だけでできている上、水分除去もしてくれるといった理想的な下処理剤です。

プライマーを塗ることで、ベースジェルに含まれる接着成分だけが爪に乗り、接着力を大幅に上げることができます。

ソークオフ性もほとんどの場合悪化するといったことはありません。

ソークオフは、ベースジェルがアセトンによって膨潤することによって爪から剥がすことができるようになることであり、爪とベースジェルの界面を剥がすことではないからです。

酸が入っていないプライマーなども売られていますが、それは大きな効果が見込めないと思います。

プライマーを塗ることで、しっかりとベースジェルが爪に密着し、その結果外からの菌によって成るグリーンネイルなども防ぐことができるので、是非プライマーを塗って、オフする時までちゃんとくっついたままのジェルネイルを楽しんで下さい。

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カラージェル 材料

色素沈着しやすい顔料が含まれているカラーに要注意!!

色素沈着って?

マニキュアでベースコートを塗らずにそのままカラーを塗る方は多いと思います。

すると特に赤系を使った時に除光液で落としても爪や指が赤く染まったことはありませんか?

これが色素沈着です。

細かく砕かれた顔料が爪や皮膚の微細な隙間に入ることで簡単には取れなくなってしまいます。

これを防ぐ為にもマニキュアでもベースコートは塗った方が良いと思います。

ジェルネイルでも色素沈着は起きる!

ジェルネイルはマニキュアよりも多くのカラージェルを塗る為、顔料自体はマニキュアよりも多くなってしまいます。

つまり色素沈着が起きる可能性も高くなってしまいます。

ジェルネイルではほぼ間違いなくベースジェルを塗ると思いますが、残念ながらベースジェルだけでは色素沈着を防ぐことはできません。

色素沈着は付けている間に起こっているのではなく、アセトンでソークオフする時に、アセトン中に顔料が溶出し、その染まったアセトンがベースジェルに入り、または爪とベースジェルの隙間に入り込み、ソークオフもされますが、同時に色素沈着も起こしてしまいます。

これを防ぐ為には、ソークオフする前にカラージェルをほとんど削り取っておく必要があります。

色素沈着を起こしやすい顔料

化粧品に使える顔料は限られています。

化粧品に使える顔料の一覧

この中でも特に「赤104」と呼ばれる顔料は、非常に鮮やかな青みがかった赤色で、蛍光のような色なのですが、とても染着しやすいといった性質を持っています。

実際に「赤104」が含まれるカラージェル数社のものを試したところ、ほぼ全てのカラージェルが染着するといった結果が得られました。

本当にきれいな赤なのですが、残念です。

鮮やかな赤のカラーで成分表示を確認した時に「赤104」と書かれていたら、染着する可能性があることを覚えておかれると良いかもしれません。

またサロンワークにおいては、リピートの方にこの系統のものを使ってしまうと、オフ時にクレームになる可能性があるので削りを多くするとまだ多少マシかもしれません。

 

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トップジェル ライト 材料

ツヤツヤのトップはどうやって作るか

トップだけが艶がでる

トップを塗ってふき取ったときに艶が出なかったら悲しいですよね。

なぜベースジェルでは艶がでないのか(でるものもありますが)。

なぜカラージェルでは艶がでないのか(でるものもありますが…)。

なぜトップなら艶がでるのか、どうしたら艶が出るのかを考えていきたいと思います。

艶がでる仕組み

ご存知の通り、ジェルネイルの硬化(ラジカル重合)は酸素阻害を受けて、表面(酸素に触れている面)に未重合層が発生します。

未重合層の下の層は硬化している層です。

この層がしっかりと硬化しており、未重合層をしっかり取り除くことができれば艶を出すことができます。

つまりトップの艶の差はジェル自身のもつ硬化性と酸素阻害の受けやすさ、それとライトとの相性によります。

さらにふき取り方によっても艶の出方は変わります。

トップのふき取り方とは?

未重合層をしっかり取り除くことが大事とお伝えしましたが、ジェルネイルは基本的に油性の為、水等では除くことができません。

つまり本来手消毒用のエタノール水等ではしっかりと未重合層を取り除くことは難しいです。

ただモノマーの選択によってできる限り水性に近づけることはできる為、そういったジェルの未重合層は水溶性に寄る為ふき取りやすくなります。

例えばHEMAはそれ自身が水に溶けるほどなので、HEMAを多く使っているジェルは未重合層が取り除きやすいです。

また別の方法としては未重合層の量をできるだけ少なくすることでふき取る量を少なくし、艶を出しやすくするといった方法もあります。

こういったジェルはどちらかと言えば硬化熱も高くなる傾向にある為、注意が必要です。

水系では拭えないとすれば、アセトン等でふき取れば良いとなるかもしれませんが、あまりお勧めできません。

光重合系の樹脂はライトに晒されている間だけ重合が進むのではなく、その後もアフターキュアと呼ばれ、ずっと硬化を続けます。

つまりライトから出したばかりのジェルはまだ硬化が十分ではないので、アセトン等で拭いてしまうと硬化層が溶けてしまうので艶がでないことがあります。

どうすれば艶がでるか

どのジェルもこうすれば艶がでるということはありません。

各メーカーの思惑があるので、それに沿った硬化のさせ方、ふき取りの仕方が重要になります。

仕上がりが固めのジェルは、硬化性が良いのでどちらかと言えばふき取りはしっかりした方が艶が出ます。

仕上がりが柔らかいジェルは、逆に優しく吹いてあげないと傷がついてしまうことがあります。

またワイプが良いのかコットンが良いのかもメーカーに依ります。

傾向としては、固めのジェルはワイプでも大丈夫ですが、私の感覚としては多くのジェルはコットンの方が艶がでる印象があります。

おそらく厚みがあるためにしっかり拭き取ることができるのではないかと思います。

5本の指の中で1本だけ曇る!?

ということはありませんか?

サロンワークをしていると、こういうこともあるかなと思います。

これはおそらくふき取りやジェルの問題ではなく(ポリッシュタイプ等であまりにもうっすら塗るとそういうことも起きたりしますが、それは別として)、ライトの問題であることが多いです。

特にLEDライトを使ったときに起きます。

というのは、LEDライトの中身を見ていただけるとわかるのですが、ライトは間隔を空けて設置されています。

この間隔の間やライトの真下に爪がない時に十分な硬化が得られず、艶がでないことがあります。

お手を入れていただく位置をコントロールすることで防げるとは思いますが、正直、そうしたライトは良い製品ではないので、交換されるのもありかなと思います。

艶をしっかり出していくのは難しいですが、ぜひいろいろ試して頂いて、出せる方法を見つけていただければと思います。

 

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カラージェル

攪拌不要のジェルの真実

使用前の攪拌の必要性

カラージェルにはクリアジェルのほかに顔料が含まれています。

顔料はクリアジェルには溶けずに不要成分として浮いているだけです。

その結果、クリアジェルの比重と顔料の比重に差がある場合、たいてい顔料の方が比重が大きいので下に沈んでしまいます。

そのために、カラージェルの上を筆で取っても顔料が少し少なくなってしまっているので、薄くなってしまいます。

それを防ぐためには攪拌が必要でした。

攪拌不要のジェルネイル

攪拌してしまうと空気がジェルに混ざり、気泡になったり、酸素がジェルネイルの中に含まれるので酸素による重合阻害が内部でも起きてしまいます。

そこで攪拌をしなくても良くできないかと考えられたのが、攪拌不要のジェルです。

攪拌不要にするためには、チキソトロピックな性質をジェルネイルに付与する必要があります。

チキソトロピーとは、せん断応力が大きいときに粘度が減少し、せん断応力が小さい時に粘度が減少する性質のことです。

つまり、筆で触ると柔らかくなり、静置された状態では固くなり、流れないようなジェルネイルです。

このような性質を示すジェルはVETROや残念ながら廃番になったラピジェルがそうです。

攪拌不要によるデメリット

ある材料を追加することでチキソトロピー性を付与できますが、その量によって強さが変わります。

刷毛後が残る程になってしまうこともあります。

ある材料は光を透過しない為、カラージェルの硬化性が少し悪くなる可能性があります。

基本的にはそれ以外のデメリットはありません。

もしこれからカラージェルを買われるのであれば、特にセルフの方には攪拌不要のジェルをお勧めします。

一方ネイルサロンでは、朝一で攪拌さえしてしまえば、その日一日は攪拌しなおさなくてもほとんど濃度は変わらないと思うので、入れ替えるほどのメリットはないかもしれません。

攪拌不要で買うべきカラージェル

正直なところ、顔料だけを含むカラー(つまりマットカラー)ではあまり大きな効果はないですが、ラメ系のカラー、特に大きなグリッターなどを含むものでは凄くその効果は大きく、ぎっちり感を味わうことができると思います。

まずはラメ系からご購入されてみてはいかがでしょうか。

 

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カラージェル

カラージェルの良い・悪い

発色が良いカラージェル

カラージェルの良い・悪いは発色の良さだけではありません。

発色の良いカラージェルとは

  1. 顔料が沢山入っている
  2. 発色が良い顔料を使用している
  3. 顔料の分散状態が良い

にまとめられます。

もちろんこの三つが揃っていることが「発色」においては一番ですが、カラージェルに求められることは、それでもしっかりと硬化することです。

顔料が沢山入っているカラージェル

顔料はものによってその価格はバラバラです。

1kgあたり2000円程度のものもあれば、1kgで100万円ほどするものもあります。

つまり安い顔料であれば沢山いれてもコストは上がりませんが、高い顔料であれば沢山入れるとそれだけコストが上がってしまいます。

もちろんメーカーも商売なのでできるだけ安く作りたいと思います。

顔料を沢山いれたい、でもコストは下げたい、と考えた時どうするか。

安い顔料を大量に入れる。

そうなってしまうのは必然ですね。

では高い顔料と安い顔料ではどうちがうのでしょうか。

発色の良い顔料

高い顔料と安い顔料があるいう話をしました。

これは同じ品名の顔料にも言えますし、同じような色目を出す顔料においても言えます。

つまり、例えばA社の赤226号とB社の赤226号は同じ品名でありながら、価格が違うとして、もちろん品質も異なります。

A社の赤226号はほんの少しでも発色し、B社の赤226号は沢山いれなければ発色しないということもあります。

これが顔料の品質の差です。

購入してきたばかりの顔料は砂のような状態です。

これを機械的に砕いたりすることでほぐれ、微細化されます。

この時にほぐれやすいものとほぐれにくいものがあり、ここに品質の差がでてきます。

安いものほどほぐれにくく、高いものほどほぐれやすい傾向にあります。

これが発色の良さに繋がります。

顔料の分散状態が良い

ジェルと顔料をそのまま混ぜても、市販されているカラージェルほどの発色は見込めず、むしろ顔料の粒がカラージェルを塗ったときに残ってしまいます。

これは顔料が十分にほぐれていない状態(=分散状態が悪い)と言えます。

カラージェルを製造するときは、単純にクリアジェルと顔料を混ぜるだけではなく、顔料をしっかりと潰し、ほぐれさせ、樹脂を間に入れ込み、もう一度顔料がくっついたりしない(再凝集)状態にしてあげることが大事です。

顔料とクリアジェルは比重が異なるので、重いものほど下に沈みます。

水に砂を入れたら砂が沈みますよね、でも一時かき混ぜたら浮き上がり一見均一なようになりますが、時間の経過とともにまた沈んでしまいます。

カラージェルも、「ご使用前に攪拌してください」といったものがありますが、これはまさしくこのことです。

クリアジェルの方が顔料に比べて比重が小さいので、顔料が沈んでしまいます。

分散状態がすごく良い状態であれば顔料がクリアジェルにしっかり混ざっているのでこうしたことは起きにくくなります。

カラージェルの一番の難点:硬化

カラージェルはベースジェルやトップジェルと異なり、光を通過させない顔料を沢山含んでいるので、それだけ光の侵入が悪くなってしまいます。

すると奥底まで光が届かなくなり、硬化不良(いわゆる半熟)といった状態になってしまうことがあります。

これはどんな顔料であっても避けられない問題です。

ほぐれやすく、微細化されている顔料であれば少量でも発色します。

ほぐれにくく、微細化されていない顔料であれば大量に入れなければ発色しません。

どちらが硬化しやすいかはお分かりになると思います。

とはいえ、いずれにせよカラージェルは硬化し辛い層であることは間違いないので、できる限り薄く塗り、発色が弱ければ何層か重ねるといった方法がムラなくきれいに硬化不良を起こさず発色した層を作る上では重要となります。

硬化不良になったカラージェルはベースジェルの持ちやトップの艶にも影響します。

綺麗なジェルネイルを長く楽しむ為にもカラージェルの硬化不良を避けるようにして頂ければ幸いです。

 

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ノンサンディングジェル ベースジェル

ノンサンディングの嘘と真実

サンディングとは

ジェルネイルのベースジェルには、塗る前に爪をスポンジバフ等で削るものと削らなくて良いものの二つがあります。

このスポンジバフ等で削ることをサンディングと言います。

サンディングをすることによって爪の表面積が増え、ベースジェルが密着する面積が大きくなる為、よりくっつくようになると考えられています。

「削る」ということばを聞くと、「爪が薄くなる」という印象を持たれるかもしれません。

本当にサンディングは爪を薄くするほど、削るのでしょうか。

サンディングをしたあとの粉の量を思い出してほしいのですが、ごく微量ではないでしょうか。

あるのかないのかわからないくらいに。

そんな量削れたところで、実際に影響が出るほど爪は薄くなるでしょうか。

生活の中でも研磨剤入りのものを触ったときには目には見えないレベルで皮膚や爪は削れています。

それと比べて月一回程度のジェルネイルをつける前に削る量は、おそらく影響がでる範囲とは思えません。

つまりサンディングによって爪が実感できるほど薄くなるといったことはないと言えます。

サンディングする意味

爪の表面をごく僅かに削り、表面積を大きくすると先ほど説明しましたが、サンディングの効果はそれだけではありません。

爪も体の一部なので、そこには必ず水分と油分が存在します。

プレパレーションの前に水エタノール70%溶液などで水分と油分除去と謳いながら爪を拭いますが、そもそもエタノールはそれほど油を溶かす力が強くないので皮脂を十分には除去できません。

加えて水が30%も入っている水溶液で水分除去とは…よくわかりません。

つまりプレパレーションで使う溶液では、爪の水分も油分も全く除去できていません。

ただ消毒液としての効果はあるので、ジェルネイルを付けている最中に外部からやってくる菌によるグリーンネイルは防げませんが、もともと人がもっている菌によるグリーンネイルはある程度防ぐことができると思います。

そこでサンディングが必要になります。

爪表面に存在する水分や油分(油膜)をサンディングにより爪の汚れた部分と一緒に除去することができ、まっさらな良い状態の爪を出すことができます。

その結果、ベースジェルはしっかりとくっつき、付けている最中に菌が入り込んでグリーンネイルになったりすることを防ぐことができます。

サンディングは決して悪いことだけではないので、敬遠されることなく適切に優しい力でさっとして頂くのが良いのかなと考えています。

ノンサンディングジェル

ではノンサンディングはどうなのか、となると、私自身はキャッチコピーとして優秀だと思います。

「ノンパラベン」「パラベンフリー」「シリコンフリー」「オーガニック」

こうしたフレーズはすごく魅力的なワードだと思います。

その一つが「ノンサンディング」ではないでしょうか。

あたかも削らないから良いというイメージで売ることができます。

もちろん爪を全く削らないので削ることに比べて薄くなるかならないかで言えば、実際にならないのでメリットがないとは言いません。

ただ先ほどお話した通り、削らないことによるデメリットもあります。

ノンサンディングジェルは爪を溶かす?!

ではなぜノンサンディングジェルがサンディングをしなくてもくっつくのか、ですが、よく言われるのは「酸が入っていて爪を溶かす!」ですね。

結論から言うと、酸は爪を溶かしません。

そして、サンディングが必要なジェルにも酸は入ってます。

酸性度は中学の理科で習うpHであらわすことができます。

pHが小さいほど、酸性度が高く、pHが7付近で中性、pH14がアルカリ性側です。

ノンサンディングジェルのpHを計ってみたらpHが2くらいだった、といった記事もありますが、レモン汁はpH1~2です。

レモン汁に指を浸していたら爪が溶けるのでしょうか。

レモン汁で牛タン食べれなくなりますね…怖くて。

そもそも胃液もpH1~2くらいです。

体の中は既に酸性ですね。

ノンサンディングジェルで強酸性だから爪に悪いなんてことはないと思います。

ジェルネイルに関する知見は世の中にごろごろと転がっていますが、正直化学の専門ではない方たちが仰っていることなので、頓珍漢な意見が本当に多いです。

ぜひ正しい知識を身に着けて、サロンのネイリストの方であればお客様に正しいご説明をして頂きたいですし、セルフのネイリストの方であれば自分が使うものがどんなものなのかを知って、安全に使っていただければと思います。