カテゴリー
ソークオフ

アセトンを使わないソークオフ

ピアス株式会社

ピアス株式会社をご存知でしょうか。

ピアスは、1947年の創業以来、人間が永遠に追い求める“美容と健康”の分野で優れた製品とサービスを創造、提供してきました。この分野に対する人々の欲求がより高いレベルへと移行している現在、確かな技術力・製品開発力、優れたマーケティング力、そして豊かな想像力を最大限に発揮し、時代のニーズにお応えできるよう日々努力を重ね、積極的な企業活動を通じ社会に貢献していきたいと願っています。

カバーマーク・オリリー・アクセーヌ・イミュ・ケサランパサランなど有名ブランドのグループ企業です。ピアスグループは“美容と健康”の分野で化粧品などの優れた製品とサービスを創造、提供していきます。

化粧品の企画販売をする会社のようです。

研究所や製造工場も持っています。

そんなピアス株式会社から興味深い特許が出願されていました。

アセトンを使わないソークオフ?

JPA_2018140945

【要約】
【課題】有機溶媒を用いなくても、硬化後の人工爪を十分に除去することができ、しかも通常の水では硬化後の人工爪を除去できない人工爪用組成物を提供することを課題とる。
【解決手段】ラジカル反応によって重合するアニオン性モノマーを含む、人工爪用組成物などを提供する。

【請求項1】
ラジカル反応によって重合するアニオン性モノマーを含む、人工爪用組成物。
【請求項2】
アニオン性モノマーは、リン酸基を含むモノマー、硫酸酸基を含むモノマー、及び、カボキシ基を含むモノマーからなる群より選択された少なくとも1種である、請求項1に載の人工爪用組成物。
【請求項3】
ラジカル重合性不飽和二重結合を複数有する前記アニオン性モノマー以外のモノマーをさらに含む、請求項1又は2に記載の人工爪用組成物。
【請求項4】
前記重合によって形成された人工爪を除去するときに、アルカリ性の水溶液たる除去液によって除去されるための、請求項1~3のいずれか1項に記載の人工爪用組成物。

つまり、アルカリ水溶液でソークオフさせようという訳ですね。

アルカリ水溶液といえば、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液など強塩基水溶液を思い浮かべてしまいます。

これらは肌に触れると、肌が溶けてヌルヌルします。

【0059】
除去液は、一般的な方法によって製造される。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩を水と混合することによって除去液を製造することができる。

予想はあたっていましたね。

実施例を見ても、pH11や12の水溶液を使っており、さらに従来と同じ10分~20分浸漬させています。

更にベース層だけを硬化させてそこに浸してソークオフ性を見ています。

うーん、あまり実態にそぐわない実験ですね。

アセトンを使わずにソークオフは…

できそうもない、というのが私の結論です。

できるんでしょうけど、どうもこの場合、アセトンを使ったほうが短時間で負荷なくできるような…と思っていまいます。

いずれにせよ、こういった技術を発達させていくことは、アセトンを使わないソークオフには重要なので、必要な研究ではあります。

どうなっていくのか経過が楽しみです。

カテゴリー
ソークオフ

資生堂と富士フイルムからソークオフが簡単なジェルネイルが出る!?

ソークオフとは

ソークオフとは、ジェルネイルを爪から剥がすことです。

通常はアセトンなどを使い、10分から15分ほど浸し、樹脂を膨らませて取ります。

アセトンは協力な脱脂作用があるので、皮脂なども全て溶かしてしまいます。

その結果、指がカサカサになったりと、嫌なこともいっぱいあります。

アセトンに浸す前にも、トップを削ったりと大変です。

できるだけソークオフが簡単になればいいはネイリストからもセルフネイラーからも聞こえる要望です。

セルフの方にとってもソークオフはとても面倒くさいことだと思います。

資生堂がジェルネイルを検討

特開2009-126833 人工爪組成物

簡単に内容をまとめると、イオン性のモノマーを配合して、pH3.5以下の液体(レモン汁のような)でソークオフできるといったものです。

酸性の水溶液に漬けるだけでソークオフできるのはすごく魅力的ですし、そもそも日本最大の化粧品メーカーである資生堂がジェルネイルをやはり検討していたことが驚きです。

この特許は審査請求されていないので、誰でも使える技術です。

どこかのメーカーからこの技術を応用した簡単に落とすことができるジェルが発売される日も遠くないかもしれません。

または資生堂が本腰を入れてジェルネイルの分野に参入してくることも考えられます。

化粧品の安全性に、ジェルネイルのメーカーとは比べ物にならないほど重きをおいている資生堂がジェルネイルの業界に本当の安全性をもたらしてくれるなら、それは消費者にとってすごく素晴らしいことだとは思いますが、一方でジェルネイル研究者として、資生堂の厳しい安全基準をクリアできるジェルネイルを作ることもまた難しいことを知っています。

この特許自体2009年のものにも関わらず、今になっても資生堂はジェルネイルに参入していないことを考えると、自社の安全基準をクリアできないという結論に至ったのかもしれません。

またはもっと単純に売上面の問題等もあるかとは思います。

富士フイルムもジェルネイルを検討

特開2017-141187 光硬化型人工爪用除去液、光硬化型人工爪の除去方法、及び、ネイルアートセット

以前にも富士フイルムがジェルネイルを検討している可能性について記事にしましたが、こちらは資生堂の特許に似たソークオフ性に関する特許です。

除去液が酸性であり、イオン性のモノマーを含むジェルネイルであるところに共通点がありますが、酸性に偏らす為の成分を限定しており、ピログルタミン酸かグルコノラクトンを使用することとされています。

私はどちらの成分も初めて耳にしました。

明細書中では、高極性(高い親水性)の為に、皮膚を保水する成分として働くといったことが書かれていました。

オフしながら、保水するといった、まさに理想的なソークオフだと思います。

富士フイルムがジェルネイルに参入しているのかどうか分かりませんが、(もしかしたらOEM等でもう世の中に出ているのかもしれません)もしこの技術でソークオフが劇的に改善されるなら、早く商品化してほしいですね。

ソークオフの今後

酸性除去液とイオン性のモノマーの組み合わせはどちらの企業も注目しているようですね。

既にジェルネイルに参入しているメーカーもこの技術に注目して貰えれば、新しいジェルが今後直ぐにでも出てくるかもしれませんね。

いずれにせよ、ソークオフが劇的に改善される日も近いかもしれません。

新しいジェルはきっとエキスポやビューティワールドジャパンで発表されると思うので、今後私もチェックを続けて、素晴らしいものがあればいち早く紹介したいと思います。

カテゴリー
つめ ソークオフ

ジェルネイルをしていても爪が薄くならない3つのこと

どうして爪が薄くなるのか

ジェルネイルを長くされているとなんとなく爪が薄くなった、欠けやすくなったと感じていらっしゃる方は多いと思います。

残念ながら実際に爪は欠けやすくなると私も思います。

これはジェルネイルとしての宿命なのかもしれません。

何とか出来る限り爪を薄くならないようにするためにできることを化粧品研究者の目線からアドバイスします。

サンディングのし過ぎに注意

ノンサンディングジェルの謳う文句の常套句ですが、確かにサンディングのし過ぎは爪が薄くなる原因です。

検定を受けられた方ならご存知かと思いますが、サンディングの程度は「爪表面の光沢がうっすらなくなる程度」で十分です。

180Gのスポンジバフで優しく爪表面を撫でるようにして下さい。

力強く擦ってもただいたずらに爪を痛めるだけです。

ましてやより目の粗いバフやクリアファイルで明らかに傷をつける方もいらっしゃいますが、絶対にやめた方が良いです。

ソークオフの時にアセトンに浸す時間を長くする

前に「爪の保護の為にはソークオフが一番大事!!」という記事を書きました。

ソークオフはジェルにアセトンを染み込ませ、膨潤させることを目的としています。

そうすることで爪とジェルの間の結合が切れて、簡単にジェルを落とすことができるようになります。

ただアセトンに長く浸すことは、確かに人体的にはあまり良くないことかもしれません。

一方であまりにも短い時間でわずかにしか膨潤していないジェルをメタルプッシャーなどで無理やりに剥がすことは、ネイルプレートが剥がれる原因です。

その結果、サンディングなんかとはくらべものにならないほど爪が薄くなります。

爪が薄くなったと顕著に感じられる方の原因はほぼこの無理やり剥がしてしまっているオフにあります。

本当にちゃんと膨潤していれば、わずかな力で、またはアルミホイルを外した時点でぽろっと取れます。

これが理想です。

オフした後にしっかりと保水する

アセトンに浸しや指や爪は言えば強力なクレンジングで水分や皮脂を落とした状態です。

洗顔後には化粧水が必須なように、ソークオフ後にも保水が必要です。

爪もアセトンに浸されることによってその中から水分が抜け、かさかさになってしまいます。

ここですぐにジェルを付けるので保水されることなく、かさかさの爪にジェルが乗ってしまいます。

すると水分を補給することができなくなり、どんどん固く脆い爪になってしまいます。

結果的に爪はやせ細り、ぺろぺろ爪の完成です。

もしジェルを外した後に休息期間を設けずに連続して付けるのであれば、少なくとも保水効果のあるものをジェルネイルを塗った爪の上からでも塗り、保水してあげることが大事です。

またジェルネイルがついている爪は指から本当は水分が供給されて潤うはずが、ジェルネイルによって蓋されている状態になるので、上手く水分の供給もされません。

もちろん手洗いなどで水分がじかに爪に触れることもないので外部からの給水も見込めません。

ジェルネイルを長く楽しむ為にも付けている間のケアも絶やさずして頂ければ幸いです。

カテゴリー
ソークオフ

爪の保護の為にはソークオフが一番大事!!

ソークオフとは

ジェルネイルは光硬化性の樹脂でできており、言えばプラスチックでコーティングするようなものです。

身の回りにある光硬化性樹脂でコートされた製品で言うと、iPhoneとかのスマホの画面なんかも光硬化性樹脂(ジェルネイルとほとんど一緒の材料)で作られていたりします。

そんなコーティングが簡単に剥がれることはなく、爪からジェルネイルを取る為の操作をソークオフと呼び、アセトン等でコーティングを浸し、浮いてくるのを10分~20分くらい待つ必要があります。

スマホの画面を無理やり剥がしたら、スマホ自体壊れそうですよね。

ジェルネイルも無理やり剥がしたら爪が傷んでしまいます。

マニキュアとジェルネイルの違い

では、なぜアセトンにジェルネイルを浸すと、爪から取ることができるのでしょうか。

マニキュアは除光液で擦るだけで簡単に落ちるのに、なぜジェルネイルは簡単に落ちないのでしょうか。

そもそもマニキュアはもともと硬化してあるものを、有機溶剤に溶かしています。

ペンキとかマジックなんかと似たような発想です。

なので、出来上がった膜自体が脆く、爪でひっかいたりするだけで剥がれたりしてしまいます。

一方でジェルネイルは爪の上で光硬化反応が進行し、重合します。

つまり塗った分すべてが一枚の膜のようになります。

なので爪でひっかいたりしても、スマホの画面を引っかくのと同じように剥がれるといったことはありません。

ソークオフの原理

ではなぜアセトンに浸しておくとジェルネイルを剥がすことができるようになるのでしょう。

光硬化によって出来上がったジェルネイルは一見固いプラスチックと同じようですが、プラスチックとして売られているものと比べると非常に柔らかい分類です。

柔らかいとうことは、モノマーが重合してできあがったポリマーが流動的であると言えます。

ポリマーが流動的であるということは、つまり隙間もあるということです。

この隙間にアセトンが入り込むことによって、ポリマー同志のくっつきが弱まり、膜自体が柔らかくなります。

これを膨潤すると言います。

そうなることで、爪とのくっついていたポリマーも徐々に離れ、爪から剥がすことができるようになります。

ソークオフを早くする為には

つまりジェルネイルの中にアセトンが少しでも早く入り込んでくれれば、ソークオフを早くすることができます。

ではどうやって早く入れ込むかですが、アセトンはそのまま液体の状態でも硬化したジェルネイルに入っていくと思いますが、それ以上に気体になって入り込んでいくと思います。

アセトンの揮発は室温で十分起きますが、やはり温めるともっと早くなるので、アセトンを浸した上からハンドウォーマーなどで温めるとより早くとれるようになると思います。

逆に冬は指先が冷えているので取れにくくなると思います。

それと爪先は指から出ている分、体温がほとんどかからないので取れにくくなってしまいます。

しかも爪先は水分が少ないので脆く、二枚爪や欠けを起こしやすいので十分注意してソークオフする必要があると思います。

アセトン以外でのソークオフ

いくつかのメーカーからはアセトン以外のエタノールとかでソークオフできるジェルも販売されています。

化粧品研究者としては、それは確かに有機溶剤であって、樹脂膜に浸透するものであれば、メタノール(飲むと目が失明します)でも、イソプロパノール(手消毒用のアレ)でも落とせるとは思いますが、先ほど申し上げた通り、気化して浸透することが大事なので、アセトンよりは単純に遅くなります。

それでも、アセトンの油脂水分全部持っていくぜ、といった強い力が苦手な人には良いかもしれません。

アセトン以外ではないですが、やはり極限まで薄く削るといったことも良い方法だと思います。

それだけ浸透させる力が不要になるので、早く取れます。

さっと削って長く置くよりは、時間をかけて削って少し置く方が、体への負担は間違いなく小さいです。

身体的苦痛という意味では削られる時間は、多少苦痛かもしれませんが…。

これからのソークオフに求められること

アセトン以外のマイルドな有機溶剤で(できれば水で!でも生活水で落ちてしまうのでダメですね)、より短時間で、できるだけ削らずソークオフできることが間違いなく望まれていることだと思います。

それを実現させるべく私もさらなるジェルネイルの開発に取り組んでまいります。

実は素晴らしい材料が見つかり、それをジェルネイルの材料とすることでソークオフを1分くらいにしてしまうものがあります。

これを今すぐにでも商品化したい気持ちは山々なのですが、安全性や安定性、持ち、硬化性、層関相性など様々な検討をしなければなりません。

そのためにはもう少し時間がかかりそうですが、できるだけ早くお届けできるように頑張りますので、楽しみにして下されば幸いです。