Miss Mirageとは?(続き)
前回はカラージェルの組成について確認しました。
今回は引き続いてミス・ミラージュからトップジェルとマットトップジェルを見ていきたいと思います。
私の個人的な意見にはなりますが、ジェルネイルのラインナップの中で、最も性能差があるのはベースジェルですが、最も組成に差があるのはトップジェルと思っています。
カラージェルは最も差がないものの一つです。
(一番差がないのは、プレップやオフ剤等ですね)
なので、トップジェルを見ると、そのメーカーの設計思想などが見えてくるかもしれません。
ノンワイプトップジェル
引き続き個人的な意見が続いてしまうのですが、ノンワイプトップほどジェルネイルにおいて難しいものはないとも思っています。
ジェルネイルの基本的なお話にはなりますが、ジェルネイルはラジカル重合を利用して硬化させます。
ラジカル重合は酸素により阻害を受ける反応である為、通常表面に未重合層が残ってしまいます。
ベースジェルとか残ってしまいますよね。
それをなんとかしようと試みたのが、ノンワイプトップジェルです。
酸素による重合阻害よりも強力に固めることで、表面に未重合層が残らないというのが基本的な仕組みです。
そうすることのデメリットとしては、硬化した後の硬さが出てしまったり、硬化熱が高い、他にも黄ばむといったことが懸念されます。
アクリレート同士の反応ではカルボカチオンが使われますが、その時に基底状態で励起三重項状態の酸素と結びつき、アクリレート上に発生したカルボカチオンに酸素がついてしまい、オキシラジカルに変換されます。
このオキシラジカルは非常に反応性が低いので、実質上の反応停止となります。
ここでノンワイプトップジェルを考える為に、使われたのがチオールです。
このチオールは水素の引き抜きを受け、チイラジカルが発生します。
このチイラジカルは酸素との結合を生み出しにくい性質があるので、チイラジカルは酸素による阻害をほとんど受けず、アクリレートやビニルに付加重合していくことができます。
ほとんどのノンワイプトップジェルの匂いを嗅ぐと少し硫黄のような匂いがすると思います。
それがこのチオールです。
ミスミラージュのノンワイプトップジェルの全成分表示
ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アリファティックウレタンアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビフェニルスチルベン、紫401
ポリウレタンアクリレートオリゴマーは前回通りに、総称なので何も示してはいません、もちろんリストにも収載されていないのでアウトです。
アリファティックウレタンアクリレートも上記同様です。
イソボルニルメタクリレートは「メタクリル酸イソボルニル」と記載するのが正しいのでグレーです。
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは365nmくらいの光重合開始剤です。
ビフェニルスチルベンは蛍光増白剤や増感剤と呼ばれるものですね、380nmくらいの光で電子を渡せるようになります。
紫401は開始剤等による黄みの消しです。
ミスミラージュのノンワイプトップジェルのまとめ
まず光重合開始剤が405nmに対応していないので、これだけの組成では固まるのだろうかと疑問です。固まらないのではないかと思います。
あとはこの配合ではノンワイプトップジェルはできないのではないかと思います。
というのも上記の通り、これだけの組成では酸素阻害に負けてしまい、未重合層が残るような気がします。
あまりにも表示名称がいい加減すぎて再現できないので確認はできないのですが…。
加えて、私は製品を持っていないので確認できないのですが、匂いに少しでも硫黄のような香りがあれば、やはりチオールが含まれていると思うので、それはもちろん記載されていないので、記載違反ですね。
もしお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ匂いを確認して下さい。