ベースジェルと爪
よく「○○のベースジェルは合わない」「☓☓のベースジェルは合う」といったお話を聞きます。
本当にそうした相性といったものはあるのでしょうか。
そして相性とは何なのか。
どうすれば相性の良いベースジェルに出会うことができるのかについて考えていきたいと思います。
サンディング・ノンサンディング
大きく分けてベースジェルには2種類あります。
サンディングを要するものと、ノンサンディングのものです。
これらの違いは…私は「ない」と思っています。
ベースジェルの基本的な思想としては、爪によく密着するが第一です。
それはサンディングが要るものも要らないものも変わりません。
その次にオフができる(できるだけ簡単に)です。
これもどちらも変わりません。
他にも爪の上で縮まないやカラーが縮まずに乗るや、もちろん匂い、色などもありますが、どの項目もサンディング・ノンサンディングに関わらず求められることです。
つまり、サンディング・ノンサンディングとは成分などの違いというよりは、メーカーのコンセプトであって、基本的には同じベースジェルと言えます。
親水性・疎水性
サンディング・ノンサンディングではベースジェルは分類できないとすると、他にどこで分類できるでしょうか。
その一つは「親水性」「疎水性」だと思います。
親水性とは水に親しみがあるの字の如く、水と馴染みのよいことです。
疎水性とは親水性の逆で水に馴染みにくいことです。
油などが疎水性と言えます。
ジェルネイルは油性樹脂でできているので、基本的には疎水性だと思います。
その中でも水酸基や酸性基といった親水性の成分を多く含むものは水に溶けるとは言えませんが、水との馴染みが良いとは言えます。
一般的にこの親水性の程度は水接触角で計測します。
たとえばジェルネイルであれば、薄い硬化膜を作り、未硬化樹脂を取り除き(場合によっては取り除かなくても)そこに水滴を一滴垂らします。
その時の水滴の広がり具合で評価します。
(ここでの撥水は疎水と同じ意味です)
広がらないぷっくりとしたものは疎水性、べちゃーっと広がっているものは親水性です。
手持ちのベースジェルをクリアファイルなどに塗って硬化させて一滴水を垂らして頂くと、ご自身のもつベースジェルが親水か疎水かすぐにわかります。
または成分として「ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン」を覗いて、「ヒドロキシ」と書かれた「アクリル酸かメタクリル酸」が入っている場合(例えば、メタクリル酸ヒドロキシプロピルやHEMA)は、比較的親水性です。
接着成分
接着成分は大きく分けて、酸系とシランカップリング系に分けられます。
酸系はいわゆる酸が入っているというベースです。
アクリル酸、メタクリル酸、リン酸(またはフォスフェート)などがそれに当たります。
一方酸フリーと謳っているベースのほとんどはシランカップリング系です。
シランカップリングとは、水分に反応して結合を作る成分です。
成分名としては「メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」のような名前が書かれていればシランカップリング系です。
爪表面に水分と反応することで爪との接着や樹脂間の結合を強くします。
これらの分類は非常に大きく異るので、ご購入される前には見ていただいたほうが良いかもしれません。
爪の中のベースジェル
いままではベースジェルの分類について考えてきましたが、私の一番のおすすめとしては、同じジェルを使い続けるということです。
初めてジェルネイルをされる方は爪がまっさらで綺麗なので、爪に水分も油分もしっかり蓄えられており、ジェルネイルがくっつくのに邪魔な成分でいっぱいです。
なかなかそうした場合にはジェルネイルがよくくっつくことはありません。
ところがジェルネイルをすることで、爪の内部にジェルネイルは入り込み、爪の一部がジェルネイルになっていきます(聞こえは良くないですね)。
そうすることで、爪とジェルネイルの馴染みが良くなり、持ちはどんどん良くなります。
ただこのジェルネイルとの馴染みは、同じようなジェルネイルの場合にのみ発揮されます。
つまり上で分類したような親水性のジェルネイルの次に疎水性のジェルネイルを塗ったり、酸系のジェルネイルの次にシランカップリング系のジェルネイルを塗ったりすると、その効果は全く得られず、むしろかえって剥がれやすくなります。
数回に渡って同じジェルを塗ることで、爪の中にジェルネイルがどんどん浸透し(なんとなく気持ち悪いですが)、そのジェルネイルと相性の良い爪になってきます。
浸透といってもおそらく0.01mmや0.1mmといった膜圧の話だとは思うので、それほど心配することはないと思います。
一度使って合わないとなっても、何度か繰り返すことでどんどん持ちは良くなると思うので、使い続けるというのもありかなと思います。