化粧品研究者が教えるジェルネイルの真実

LEDライトで硬化させてUVライトで除去できるジェルネイル

ESPS2018

European Symposium of Photopolymer Science

先日、フランスで開催されたEuropean Symposium of Photopolymer Scienceに参加してきました。

Photopolymer、つまり光硬化樹脂に関するシンポジウムでした。

講演者の方もアカデミックの方が多く、最新の光硬化技術について聞くことができました。

その中に非常に興味深いものがあったので、少しだけご紹介させて頂きます。

光硬化のトレンドは長波長化?

ジェルネイルも歴史的に365nmを使っていた頃から、今はLEDの405nmを使うようになってきました。

しかしある分野においてはそれ以上の500nmに近い光を使って硬化をさせようとしているようです。

ご存知の通り、波長が短くなればなるほど、人体への影響も大きくなります。

そこでジェルネイル業界でもLEDが今は推奨されています。

ところが405nmは可視光と紫外線のギリギリに属しており、まだ十分に安全とは言えません。

そこでより安全である長波長化が検討されています。

これによりお客様には安心してライトをご使用頂けます。

(今でもジェルネイルで手が日焼けするのではないか?といった疑問を持たれている方はいらっしゃると思います。)

また長波長化させることで、内部への光の侵入が良くなる為、内部硬化が良くなります。

つまり、所謂半熟とよばれるカラーの硬化不良などが防げるようになります。

特に黄色や黒で半熟を経験された方は多いと思います。

これらの色は特に今のLEDでは硬めにくい為です。

LEDで硬化させ、UVで除去するジェルネイル

先の話と少し矛盾してしまうのですが、ライトによる人体の影響よりも、もっと直接的に人体に影響を与えている行為が、アセトンによるソークオフです。

アセトンはご存知の通り、有機溶剤で、シンナーやガソリンといったものと同じような分類です。

そのようなものを爪につけて、しかも15分といった長い時間皮膚にも付着することは、非常に危険な行為です。

またこういった有機溶剤が直接人体に触れることも問題ですが、ジェルネイルがアセトンにより膨潤して来た時に、未反応のモノマーが溶出してくることも問題です。

つまりソークオフ時にアセトンが触れている皮膚にはモノマーが直接触れる可能性が高いということです。

モノマーは皮膚炎症を起こしたり、アレルギーを引き起こす可能性が高い物質です。

ソークオフの間、15分間もの間、こうした物質に触れることで、炎症やアレルギーになる可能性は非常に高くなります。

そこでピールオフやアセトン意外での除去なども検討されていますが、持ちがイマイチであったり、ソークオフ性が悪かったり、と品質面で従来のジェルネイルに劣っています。

そこで、新たな技術である405nmを用いて硬化させ、365nmで除去するといった反応をジェルネイルに応用することで、光だけを用いたオフが可能になると考えています。

これは新技術なので、ここでは公開できませんが、いち早く商品化できるように努めますので、期待してお待ち下さい。