妊娠中に避けるべきこと
妊娠されると胎児への影響を考え、いろんなことを避けるようになると思います。
過度な運動やお腹に負担のかかること、カフェインやアルコールなどの摂取など様々ありますが、ジェルネイルについてはいかがでしょうか。
液体でもなく(硬化すれば)、口に入れるものでもなく、お腹とは直接関係のないジェルネイルですが妊娠中にしても良いのか考えてみましょう。
ジェルネイルによる影響
ジェルネイルは作業として、有機溶剤を使います。
もしオフをするのであればアセトンも使いますし、削るのであれば硬化したジェルも粉塵として舞い上がります。(集塵機を使っても0%にすることは到底できません)
アセトン中には硬化した後のジェルネイルに含まれていた未重合成分のモノマーや光重合開始材が溶出します。
削る際も内部に残っていた未重合層が表面に露出することになるので、削りカスが皮膚炎を起こしたり、アレルギー反応を示したりすることが知られています。
またジェルネイルを付けている最中でも、指で唇を触るなどによって口に炎症が出る場合が知られています。
皮膚科学学会等でも挙げられる症例です。
つまり、ジェルネイルをすること=何かしらのダメージを負う可能性は0ではありません。
胎児への影響
硬化前のジェルネイルの匂いを嗅いだことがある方も多いかと思います。
いくつかのモノマーは独特の香りをもつものがあります。
イソボルニルアクリレート(表示名称:アクリル酸イソボルニル)やイソボルニルメタクリレート(表示名称:メタクリル酸イソボルニル)は、独特の香りを持ちます。
表示名称にこれらの名前があるジェルの匂いを嗅いで頂くと、ほぼ間違いなくその匂いを嗅ぐことができるので、覚えておいても良いかもしれません。
その匂いがすれば、どちらかが入っています。
他にもよく言われるのがベースジェルがすっぱい匂いがする、ということです。
これは恐らく酸性モノマーによる匂いです。
ジェルネイルに使われる酸性モノマーはリン酸系が多い印象です。
匂いがあまりしないメジャーなモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート(表示名称:HEMA)やヒドロキシプロピルメタクリレート(表示名称:メタクリル酸ヒドロキシプロピル)が挙げられます。
ただしここで重要なのは、匂いがしない=安全では決してありません。
また匂いがしない=揮発していないでもありません。
一酸化炭素にも匂いはないですが、吸っただけでほぼ死んでしまいます。
つまりジェルネイルに匂いがないものを選んだからといって、その成分は揮発していない訳ではなく、空気中にはかならずモノマーが飛散している状態になるので、モノマーを含んだ空気を吸うことになってしまいます。
そしてそれが胎児に影響があるかどうか、といったことはまだ結論付けられていませんが、それらの成分に皮膚炎を起こすあるいはアレルギー性があることを考えると、決して良いものではないだろうと想像できます。
妊娠中はネイルを控えるべき?
妊娠したからといって今までジェルネイルを楽しまれていた方はすぐに辞めるのは難しいかもしれません。(爪がペラペラ、綺麗でいたい等)
とはいえ、従来のマニキュアと呼ばれるシンナーのような匂いがするものは、ジェルネイルとほぼ同じくらいに良くない成分で構成されています。
なので私からのおすすめとしては最近発売された「水性ネイル」です。
水とエタノールを主成分として(消毒液)、そこにポリマーが分散しています。
溶剤型のマニキュアとは異なり匂いはほぼありません。
主成分が水なので飛んだとしても水蒸気となります。
こうしたものであれば取るのも簡単ですし、まだ差し支えないのかなと思います。
ジェルネイルをこれまで楽しまれていた方にはちょっと苦痛かもしれませんが、その期間はちょっと避けられた方が良いかもしれません。
母子ともに健康にストレスなく妊娠中をお過ごしいただければ幸いです。