化粧品研究者が教えるジェルネイルの真実

化粧品のジェルネイルと雑貨のジェルネイル(続き)

化粧品としてのジェルネイル

すべての材料の申請も済み、表示名称を入手しても、すべてのジェルネイルが化粧品として販売できるわけではありません。

実はジェルネイルの業界だけではないのですが、色物を扱う化粧品の分野には代えられないルールがあります。

顔料・染料(色をつける材料)は既存に登録されているものしか使うことができない。

ということです。

これは実は結構やっかりな問題なのです。

化粧品顔料

ジェルネイルは水に溶けるようなものではないので、つまり油性です。

油性のものには基本的に染料は使えないので、一般的には顔料を使用します。

顔料とは、もともとは鉱石などを砕いてできた色の粉のことです。

日本画と呼ばれるものは膠(にかわ)という糊成分と顔料だけを混ぜた「岩絵の具」と呼ばれる絵具で書かれていました。

その顔料は何十種類か化粧品として登録されてはいるのですが、化粧品に配合できるのは、そのすでに登録されたものしか使えないため、それらの顔料の組み合わせでしか色を作ることができません。

化学技術の発展と共に顔料も進化し、新しい顔料がどんどんと作り出されています。

つい先日も新たな無機顔料「YInMnブルー」がオレゴン州立大学で作られました。

ものすごくよさそうな青なのですが、残念ながら化粧品には使うことができません。

蛍光色などもその一つです。

雑貨のジェルネイル

一方で雑貨のジェルネイルにはそうした制約がないため、基本的にどんな材料でも使うことができます。

蛍光色の顔料や、蓄光する顔料、熱で変色する顔料などです。

これまでに特色のあるものを作ろうと思うと化粧品の制限は邪魔となり、雑貨として販売を決断するメーカーもあるのではないかなと思います。

ここまで読んでいただければお分かり頂けたかと思いますが、化粧品と雑貨の差に安全性の差はないと言えます。

ただこうしたルールがある為に、化粧品として販売することができない結果が雑貨での販売なのだと思います。

製品の安全性はすべてに勝る

とはいえ、ではどんなものを入れてもそれで良いのか、ということはメーカーの倫理に委ねられます。

基準の一つに数年前に話題になった「ホルマリン」というものがあります。

これもまた「配合禁止成分」の一つなので、安全性というよりは配合してはいけないという話なのですが、どうしても製造の過程などで意図せずホルマリンが含まれてしまう材料などもあります。

意図はしていないが、材料に「ホルマリン」が付着してしまったために、製品中からも「ホルマリン」が検出され、回収に至ったケースがダイソーさんのマニキュアです。

どういった経緯でホルマリンが混入してしまったのか、私にはわかりませんが、これは他人ごとではない問題でした。

ネイル業界はすぐにこの流れに敏感になり、かなり多くの会社が自社製品のホルマリン検査をしたと聞いております。

一部製品からは実際に検出されていまい、回収をしたという噂もあります。

(確かにあの頃、パッケージの変更だとか、いろいろな理由で数十種類を廃番にしたメーカーがありましたね…違うことを祈りたいです)

雑貨か化粧品か

たとえ雑貨品であったとしても、こうしたホルマリンの検査や、使用する材料の安全性、他製品の安定性などが十分に確認されているものがほとんどだと思います。

逆に化粧品だからといってこうした検査が十分にされているかどうかは分かりません。

ただこうした検査はすべてお金がかかります。

つまりお金のない会社はどうしてもこうした検査がおざなりになりがちになることは想像できることです。

盲目的な信頼にはなってしまいますが、できるだけ名前の知れた大きなメーカーのジェルネイルをご購入されるほうが、安心できると私は思います。

プチプラ300円のジェルネイルなどを見ると、私はぎょっとしてしまいます。

どう考えても日本の原料などを使えばその価格は達成できないからです。

この話はまた別の記事にてご紹介しようと思います。