化粧品研究者が教えるジェルネイルの真実

化粧品って本当に安全・安心なの?

化粧品の重大な事件

カネボウの白斑事件や茶のしずくの加水分解小麦などは、まだ記憶に新しいかと思いますが、これらはすべて化粧品として販売されていました。

カネボウの白斑事件では、ロドデノールと呼ばれる物質が美白成分として配合されておりました。

こうした美白成分がメラニン合成経路にあるチロシナーゼと呼ばれる酵素を阻害して、メラニンが生成されなくなり、肌が白くなる、美白に繋がるのです。

ところが、ロドデノールは思った以上にチロシナーゼ阻害活性を生んでしまい、残念ながら白斑となって表れてしまいました。

つまり、化粧品=安心・安全とは言えません。

化粧品とは?

化粧品メーカーに勤務する研究者の立場から、化粧品を説明すると、「厚生労働省に決められた配合禁止成分を配合していないもので、表示に関するルールを守れば、どんなものでも化粧品として売ることができる」となります。

厚生労働省に決められた配合禁止成分については、下記を参照してください。

配合禁止成分

表示に関しても細かいルールが設定されていますが、また別の記事にて詳細はご説明したいと思います。

「どんなものでも」と書きましたが、これが本当にどんなものでも、なのです。

厳密に言うと、化粧品にももちろん定義があり、肌に直接触れて、美的外観を整えるものといった定義がされております。

ただその範囲であれば、どんなものでも「厚生労働省に決められた配合禁止成分を配合しないこと」と「表示に関するルールを守る」ことさえ満たしていれば、化粧品として販売することができます。

化粧品を販売する為に試験はない

どんなものでも化粧品として販売できると説明しましたが、実は化粧品は「試験をなにもしなくても」販売することができます。

国に定められた安全性に関する試験などは一切ありません。

たとえば皮膚に接触した瞬間に真っ赤になるほどの刺激性がある化粧水を化粧品として販売することもできます。

これがカネボウの白斑事件や茶のしずく石鹸の加水分解事件に繋がった原因の一つかもしれません。

化粧品を化粧品として販売することにおいては、化粧品メーカーの独自試験(するもしないも自由)において、化粧品メーカー基準(あるかどうかも分かりません)を満たすことしか、制約がありません。

つまり、明日化粧品を売れる会社を作ったとして、明後日にはもう化粧品を販売することができるのです。安全性を確かめることなく。

化粧品だから、安心・安全は大間違い

「これは化粧品だから、安心・安全」は大間違いです。

逆に「これは化粧品じゃない、雑貨品だから危ないかもしれない」これも間違いです。

ただし化粧品の定義「肌に直接触れて、美的外観を整えるもの」に当てはまるものであれば、それは化粧品として売るべきだと思います。

ではどうして化粧品というカテゴリーがあるのでしょう。

化粧品として売るなら、全成分表示をしなければならない

私は化粧品研究者として、化粧品はこのことに尽きると思います。

化粧品のパッケージを見ると、聞きなれない成分が羅列しているかと思います。

最近ではパラベンなどの防腐剤があまり良くない、シャンプー等にシリコン系のものが良くない、といった情報も得られるようになってきましたが、まだまだ不足しているのではないかと思います。

多くの方にとっては、それはなかなか理解しづらいものかもしれませんが、できるだけどういった成分が何のために配合されていて、どんな毒性や危険性があるのかについても、お知らせできればと思っております。

全成分表示は、化粧品の良し悪しを見極める私たちの強い味方です。

それがあることで化粧品はほぼすべてを丸裸にされているようなものです。

化粧品であるから安心・安全とは言えません。

でも全成分表示を見ることで、自分でその危険性や安全性を少し理解することができれば、よいよいものを選ぶことができるようになると信じています。